ポケットに些少の虚構冬の虹 乾鉄片子 

本当にやりたいことは何だろう。自分のいる今ここよりもっとずっと素敵なところに行ってみたい。住んでみたい。たとえばニューヨーク。夢は膨らみ、実現に向けて一歩進む。ニューヨークを舞台にしたテレビ・ドラマを見ていると、いつしか通行人の一人となって人の群れに混じる。ポケットにあるドル紙幣を握りホットドッグを注文する。寒さが身に沁みる頃、ふわっと現れた虹を見て、いつのまにかニューヨークにかかる虹を見ている。