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私の半生は恋愛アプリゲームから始まった


やりたい放題の半生 ― 第一話:ボルテージ編


最初は、テレビのCMだった。

当時、あのCMはしょっちゅう流れていた。
「結婚したのか、俺以外のやつと」
——その台詞は、なんか妙に耳に残った。
「俺を殺しに来たんだろ。君になら殺されてもいい」とか
吉祥寺で五人の同級生と再会するとか
いろんなパターンがあって
どれも少しやりすぎなくらいドラマチックで
でも気になった。

とりあえずアプリをいれてみた。

最初のうちは無料で読めた。
お金をかけずに読んでいたけれど
どうしても先が知りたくなって課金した。
たしか一回三百円くらい。
漫画一冊買うことを考えれば別にいいや
と思ったら、気づけば次々と課金していた。

ボルテージのゲームには、バッドエンドが存在しなかった。
選択肢は二つあるくらいで、どれを選んでも
ちゃんとキャラクターと恋愛ができた。
こんなに私だけを思ってくれるなんて
と思いながら読んでいた。
それがなんか、すごく幸せだった。


「5股かけてるやんか」と友達に言われたことがある。

ボルテージのゲームにはだいたい5人くらいキャラクターがいて
誰を選ぶか選べるしくみだった。
だから5股、という理屈らしい。
でも違う。
一人を選ぶと、その人との話が始まる。
別のキャラを選べば、また全然違う話になる。
つまり、そのとき選んだ相手とだけ恋愛するから
浮気なんてしていない——と
一生懸命言い訳した覚えがある。

それに、選ばなかったキャラも、ちゃんと私の幸せを願ってくれた。
恋の相手をしてくれるキャラは
誰も彼も、全員私しか見ていなかった。
私だけを永遠に愛してくれる存在。
それがもう、幸せだった。

人間は裏切る。
私が思い描くような人ではなかったりする。
人間関係で悩んで、うまくいかなくて
ほんとうにしんどい。
恋愛なんてこりごりだと思っていた頃だった。
だから二次元のキャラクターにしか恋愛しないってのは
すごくよくわかる。
今なら「フィクトセクシャル」という言葉があると知っているけれど、
あの頃の私はそんな言葉も知らないまま
ただ、この世界の心地よさにどっぷりはまっていた。


そうしているうちに、ふと思った。

——イケメンを、描きたい


これまで絵なんて難しくて無理だと思いこんでいた。
でも、デジタルイラストというものがあると知った。
それを勉強すれば、描く人になれるかもしれない。
それいい、と思った。
気づいたらイラスト教室に申し込んでいた。

イラスト・キャラクターデザインの専門学校。
受講料は70万円だった。

あの頃の私は迷わなかった。
描きたかったから。
ボルテージのあのイケメンたちみたいな絵を
自分の手で描きたかった。
「俺以外のやつと」のあのセリフに背中を押されて
私はペンタブを買い、学校に通い始めた。

ボルテージが私を、そこへ連れていった。


次回:イラスト学校で出会った乙女ゲームの世界、そして刀剣乱舞へ——

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