重くて、しんどくて、傷つく場所。映画『ゼロ・グラビティ』から感じる「重力の愛おしさ」
はじめに
映画館で観た人の多くが
「宇宙酔いしそうになった」
「息ができなかった」
と口を揃えて言った映画があります。
それが、アルフォンソ・キュアロン監督の
『ゼロ・グラビティ』です。
※原題:GRAVITY(グラビティ)
スペースシャトルの大破によって、
漆黒の宇宙空間に放り出されてしまった
宇宙飛行士のライアンが、
残ったわずかな酸素と知恵を振り絞って
地球への帰還を目指す物語。
一見すると、
リアルで圧倒的な宇宙サバイバル映画ですが、
実はこの作品、
ただのパニックホラーではありません。
その根底にあるのは、
「心が完全に折れてしまった人間が、
もう一度生きることを決意する」
という、力強い「再生」のテーマです。
💡【あらかじめお伝えしたいこと】
・本記事は、筆者(田端うつ郎)による
個人的な考察・見解を多分に含みます。
・ストーリーの核心に触れる
「ネタバレ」が含まれていますので、
未読の方はご注意ください。
📢【 大切なご報告】
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アフィリエイト報酬などの営利目的は
一切ありません。
純粋に、この『作品』の魅力を伝えたい、
その一心で執筆しています。
あらすじ
地球の上空370km。
スペースシャトルの船外でハブ望遠鏡の
修理作業を行っていた
メディカル・エンジニアのライアンと、
ベテラン飛行士のマット。
そこへ、破壊された人工衛星の破片が
猛スピードで襲いかかります。
シャトルは大破。
ライアンは宇宙の闇へと投げ出され、
完全に孤立してしまいます。
通信も途絶え、残された酸素もあとわずか。
絶望的な状況のなか、
彼女は地球へ帰るための命がけのサバイバルに
挑むことになります。
1.「完全な孤独」と、心が抱える「喪失感」
主人公のライアンは、
幼い娘を不慮の事故で亡くしています。
それ以来、
彼女は生きる目的を見失い、
ただ淡々と毎日をやり過ごすためだけに
生きていました。
彼女にとって地球での生活は、
「娘のいない、寂しくてたまらない場所」
だったのです。
そんな彼女が、
宇宙で一人きりになり、
周囲との繋がりを完全に断ち切られて漂流する姿。
これはまさに、彼女が現実世界で
自分の殻に閉じこもってしまっていた
「心の闇」そのものの
メタファー(比喩)に見えてきます。
静かで、誰も傷つけてこない、漆黒の宇宙。
それは過酷でありながら、
傷ついた彼女にとっては、
どこか「他者から隠れるための場所」
だったのかもしれません。
2.諦めかけたときに起きる「奇跡」
酸素が尽きかけ、
あらゆる帰還の手段が断たれたとき、
主人公は「もういいや…」と
一度完全に生きることを諦めます。
自らコックピットの酸素を遮断し、
目を閉じる。
その絶望の淵で、
彼女はある不思議な体験をします。
傷つくのが怖くて、
何も考えずに漂うだけの場所から、
もう一度「傷つくかもしれない現実(地球)」
へ戻る覚悟を決める。
自ら酸素のスイッチを入れ直し、
あがく道を選んだ瞬間、
彼女の瞳に再び「生」の光が宿ります。
3.「重力」の重みと、立ち上がる喜び
その後の主人公は、どうなったのか…。
是非、この映画で確認してほしい。
この映画から重力を感じるはずです。
少なくとも、
僕は重力の喜びを感じました。
邦題は『ゼロ・グラビティ(無重力)』ですが、
この映画が本当に描きたかったのは、
原題の「グラビティ」が示すとおり、
最後に主人公が体感する
「重力の愛おしさ」です。
重力がある世界は、
身体が重くて、しんどくて、
傷つく場所。
つまり「辛い現実」そのものです。
でも、だからこそ自分の足で
しっかりと地面を踏み締め、
生きていける場所でもある。
彼女のラストシーンは、
人間が持つ再生のエネルギーを、
これ以上ない説得力で教えてくれます。
さいごに
映画『ゼロ・グラビティ』は、
ただ宇宙の恐怖を描いた映画ではありません。
深い絶望の中にいる人間が、
どうやって暗闇から抜け出し、
もう一度生きる一歩を踏み出すのかを静かに、
そして力強く問いかけてくる傑作です。
ただ漂っているだけの方がラクかもしれない。
しかし、漂うことは不安が付きまといます。
どれだけ重くて苦しくても、
僕はこの世界で生きていく。
もし今、何かに深く傷ついていたり、
目の前の現実が重くてしんどいと
感じていたりするなら、
ぜひこの映画から生きることを
感じ取ってみて下さい。
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