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Beer Journey#001 なぜ、あの日のビールは忘れられないのか。


1.忘れられない一杯

あなたにとって、忘れられない一杯はあるだろうか?
高級なビールでも、一番おしかったビールでもない。
なぜか、今でも思い出せる一杯。
これは、私にとっての忘れられない1杯のお話。

2.ホーチミンで飲んだサイゴンスペシャル

気温は30度前後、東南アジアらしい蒸し暑い気温の中、昼食場所を探し歩き回ってた。道路を走るバイクの群れ。信号が変わると一気に同じ方向へブンブンと音が重なり、流れ込んでいく。

だんだんと汗が増えていき、さっきマッサージしてスッキリしたはずの足の軽さは少しづつ失われ、一歩踏み出すたびに重くなっていった。

時刻は14時をまわった。

昼のピークはすぎ、休憩に入った店もちらほらでてきた。焦る気持ちも増していき、とりあえず店が多そうな方向へ歩こうと、また10分ほど歩き続ける。最悪早めの夜ご飯にするか、など諦めの気持ちもでてきていた。

そして、少し先にようやく雰囲気の良さそうなお店を発見した。

道路沿いの良い雰囲気のローカルな食堂。午後の日差しが店内まで差し込み、静かな空気が流れていた。人も少なく、ここならゆっくり休めるだろうと思い吸い込まれるように店に入っていった。

お店のスタッフはニコッと微笑み「ハロ~」と言って、お好きな席へどうぞ、と案内してくれた。英語のメニュー表を手に取り、机のベトナム語のメニューと取り替えてくれた。品数は思いのほか豊富だった。他の店ではあまりみない野菜のスープやタイ料理を彷彿とさせるパイナップルチャーハンなど、若干インバウンド要素も入れつつ、お店のオリジナルにも気合いを入れているお店だった。

いろいろ悩んだが、フォーは朝食べたので、ごはんものとカボチャの入ったスープを注文した。

そして肝心な飲み物。

レモングラスティーやアイスティーで乾いた喉を潤そうと考えたが、
視線に入ってくる「Alcohol」の文字。

今回は1人旅。
この後、特に予定もない。
何をするにも私の自由。
誰かに合わせる必要もない。
時間を気にする必要もない。

普段であれば、仕事に追われ解放されたいとばかり考えている。
でもこの旅の期間は自由なのだ。

私は一時の解放という名のもとアルコールメニューの1行目に記してある「サイゴンスペシャル」を注文した。もちろんボトルで。

3.忘れられない理由は、味だけではなかった

ビールはすぐに運ばれてきた。

素晴らしいことにグラスが完璧に冷えている。こんなにも冷やされたグラスは東京でもなかなかでてこない。あったとしてもよっぽどいい居酒屋くらいだろう。

ボトルも負けじと冷えていた。かわいいサイズのボトルから注がれるそれが私のものだという事実が何よりの幸せであった。

サラサラと注がれたビールに満たされたグラスのひんやりとした持ち手を掴み、手の平から温度が下がっていく。持ち上がったグラスは口元へゆっくり近づいていき、ついに口の中へ流れ込んだ。

「ああ。」

その一言しかでなかった。

今日も明日も予定がない、何をしてもいいという自由、マッサージで癒された体、蒸し暑いなか歩き回り汗ばんだ体に流し込まれる冷えたビール。蒸し暑さも、疲れも、一緒に流してくれた。すでに満たされた状態をより完全なものにしてくれたのだ。

あの日、私は自由だった。
「この瞬間がずっと続けばいい」そう心から思えた。

Beer Journeyのはじまり

Beer Journeyは、最高を完成させる一杯を探す旅。
あなたにとって、最高を完成させた一杯はどんな一杯だっただろうか?

それでは、また次の旅で。Beer Journey🍺


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