Silent Fragments #5
このページは、“#5” にあたる物語です。
これは、伝えられなかった言葉たちが、
まだ誰かを想っている欠片。
イラストと音楽に導かれるまま、
あなたの感覚で読み進めてみてください。
第5章:Distant Horizons – 音なき世界の記録者
― 音が消えても、歩き続けた理由 ―
この世界には 空がなかった
光も 祈りも 音さえも
とっくに消えていた
それでも
歩く足音だけが かすかに続いていた
──彼のものだった
彼には名前があった
けれど もう誰も呼ばない
自分で名乗ることも
必要なくなっていた
それでも なぜか
この世界に “まだ何かがある気がして”
彼は歩き続けていた
誰かの名が彫られた石
忘れられた旋律の断片
壊れた灯台の祈りの台に
手を伸ばして触れるたび
「ここに 誰かが生きていた」と
確かに思えた
想いは 音よりも深く残る
記憶よりも長く漂う
たとえ名が消えても
“誰かのために祈った心”だけは
風になって この世界を流れている
音がない世界で
彼は 誰かの声を聴いた
それは 幼い少女の歌
それは 星の詩
それは 言葉にならなかった懺悔
そして 名もなき祈り
それらすべてが 彼の中で
静かに ひとつの音に重なっていった
誰もいない丘で
彼は 足を止めた
その手には ひとつの鈴
音は鳴らなかった
けれど 風が吹いた瞬間
確かに 震えた
──君はまだ、ここにいたんだね
そうつぶやいて 彼はまた歩き出す
音なき世界を
誰のためでもなく
でも 確かに“誰かを信じたまま”で
かつて誰かが
信じきれなかった未来を
いま 彼が拾い集めている
その歩みが
またどこかの夜明けへと
繋がっていることを信じて

🌱物語はこのまま第6章へと続いていきます
この世界が、あなたの想像で広がっていくことを願っています。
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