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SNSしか見ていないと選挙は読めない─陰謀論に落ちる前に見るべき現実


はじめに


最近、選挙結果をめぐって「おかしい」「不正ではないか」という声をSNS上で頻繁に見かけるようになった。


このアカウントは参政党系インフルエンサー


しかし、現場感覚で言えば、その多くは不正の証拠というより、観測範囲の偏りが生んだ違和感に近い。

ここを切り分けない限り、議論は永遠に噛み合わない。

結論から言う。

SNS中心の観測だけでは、地方の投票行動はかなりの確率で読み誤る。

そして、その「説明できない空白」に、陰謀論が入り込む余地が生まれる。


■現場で起きているもっと地味な現実


私は農業の現場や地方の空気に一定程度触れている立場だが、そこで実際に何度も聞いた声がある。

「自民党はダメ。農業政策をちゃんと打ち出しているのは参政党くらいだ」

この評価が妥当かどうかは別問題として、重要なのはこう受け止めている農家層が実際に存在するという事実だ。

都市部のSNSタイムラインだけを見ていると、これはかなり意外に映るかもしれない。

地方では、
• 肥料・資材価格の高騰
• 米価への不安
• 後継者問題
• JAや既存農政への静かな不満

といったストレスが、長い時間をかけて蓄積している。

そこに、
• 食糧安全保障
• 食糧自給率
• 日本の農を守る

といった短くて「情緒に届くメッセージ」が入ると、一定の共鳴が起きるのは、むしろ自然な流れでもある。

これは陰謀ではなく、政治マーケティングとして説明可能な現象だ。


■「運動していないのに票が出た」の落とし穴


SNS上でよく見かけるのが、

選挙運動していない
→ なのに得票が多い
→ おかしい

という推論だ。

だが、これは選挙の実態から見るとかなり危うい。

なぜなら、投票行動には表に見えにくい経路がいくつもあるからだ。

例えば、
• 家庭内での説得
• 支持者から親世代への波及
• 地域コミュニティの口コミ
• 組織票や準組織票
• 高齢層の静かな投票行動

こうした動きは、SNSの可視圏にはほとんど現れない。

だが、票には確実に反映される。

ここを見落とすと、

「見えていない=存在しない」

という典型的な認知ミスに落ちる。


■「田舎の高齢者はネットを見ていない」はもう古い


ここで一つ、重要な補正を入れておきたい。

いまや地方の高齢層も、スマホやPCで普通にネットを見る。
これは現場感覚としても間違いない。

ただし、本当に重要なのはそこではない。

彼らが接触している情報環境は、都市部のSNSタイムラインとは必ずしも同じではない。

例えば多くの場合、
• Yahooニュース
• ポータルサイト
• LINE経由の記事共有
• テレビ連動のニュース閲覧
• 検索ベースの情報取得

といった経路が中心になる。

一方、政治クラスタが主に見ているのは、
• X(旧Twitter)
• Threads
• YouTube政治系
• インフルエンサー投稿

であることが多い。

つまり同じ「ネット利用者」でも、情報流通のエコシステムが別物なのだ。

ここを混同すると、現実の票の動きが説明できなくなる。


■なぜ陰謀論に接続してしまうのか


人間の認知は、思っている以上に単純だ。
1. 予想と違う結果が出る
2. 理由がわからない
3. 強い違和感が残る
4. 単純な説明に引き寄せられる

陰謀論は、この④の需要に対して非常に強い“商品”として機能する。

特にSNS環境では、
• 似た意見ばかり流れてくる
• 投稿しない閲覧層が見えない
• 地域差が圧縮される

という条件が重なり、「本来起きている普通の現象」が、異常に見えてしまう。

ここに冷静な補助線を引けるかどうかが、今後ますます重要になる。


■恐怖ナラティブに飲まれないために


私は、選挙制度が完璧無欠だと言いたいわけではない。

制度は常に検証されるべきだし、改善議論は必要だ。

しかし同時に、

説明可能な現象まで陰謀で埋めてしまう態度

は、現実認識を確実に歪める。

大事なのは、
• 違和感を持つこと
• しかしすぐ陰謀に飛びつかないこと
• 現場の情報と突き合わせること
• 複数の説明可能性を残すこと

この姿勢だと思う。

SNSの熱量は時に現実を照らすが、同時に視野を狭める。

だからこそ、タイムラインの外側にある地味で可視化されにくい動きに、どれだけ目を向けられるか。

そこが、これからの政治観察の分水嶺になるはずだ。



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#政治とSNS
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(了)

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