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#落語 #久米宏#ほにゃらら#評伝「電話番が宇宙をつないだ日」「ほにゃらら一代記」

@落語 #久米宏#ほにゃらら#評伝「電話番が宇宙をつないだ日」「ほにゃらら一代記」 「電話番が宇宙をつないだ日」 えー、どうも。談志でございます。 もっとも今日は談志が出てきちゃいけねぇ話なんだが、出てきちまった以上、しゃべる。しゃべらにゃ落語じゃねぇ。 久米宏って男の話でしてね。 ええ、あの久米さん。軽い、うまい、憎たらしいほど当意即妙。 ところがですよ、原点がどこだと思います? 華やかなスタジオ? 違う。 スポットライト? 違う。 ――電話番。 これがいい。 TBSの若手時代。 アナウンサーってぇのはね、当時は重厚長大。 声は太く、間は長く、顔は険しく。 ニュースは読み上げるもんで、考えるもんじゃなかった。 そこへ来て久米宏。 志望じゃなかった。 向いてもいなかった。 生放送に放り込まれて、緊張で胃腸炎。 飯が喉を通らねぇ。 落語家が高座で噛むと芸だが、アナウンサーが噛むと事故。 この差はでけぇ。 ラジオのレギュラーに抜てきされたと思ったら、栄養失調で結核。 五週で降板。 人生ってぇのはね、上げて落とす。落としてからが本番。 そこで内勤。電話番。 誰も見ちゃいねぇ。 誰も評価しねぇ。 同期はスター、後輩は追い越す。 自分は受話器とにらめっこ。 このとき普通の人間はどうする? 腐る。ひがむ。酒を飲む。 ところが久米は違った。 研究を始めた。 電話番をしながら、同僚のラジオを聴く。 テレビを見る。 メモを取る。 この言い回しはなぜ通る。 この間はなぜ笑いが起きる。 この人はなぜ生活臭がする。 あ、生活臭。これがミソ。 久米は考えた。 「アナウンサーに生活感はいらねぇ」 季節の話? いらねぇ。 昨日の晩飯? どうでもいい。 世界情勢、宇宙、自然。 人間の半径を越えた話だけをする。 つまり、どこに住んでるかわからねぇ男になる。 これ、落語で言やぁ禁じ手だ。 落語は生活感の塊だ。 だがテレビは違う。 テレビはよそ行きだ。 久米はそこを嗅ぎ分けた。 声も分析した。 低くもねぇ、高くもねぇ。 重厚にやると沈む。 ならば軽くいこう。 軽いってぇのは浅いんじゃない。 速いんだ。 速いってぇのは雑じゃない。 切り返しが利くんだ。 ここが談志的に言やぁ、 頭の回転と舌の回転を同じギアにした男。 これができねぇと、どっちかが空回りする。 で、時代が追いつく。 アナウンサーが読む人から語る人へ。 個性を出しちゃいけねぇ時代が終わる。 久米宏、登場。 あれよあれよと、ザ・ベストテン。 ニュースステーション。 だがね、みんな勘違いしてる。 久米は才能でしゃべったんじゃねぇ。 暇でしゃべったんだ。 電話番の暇。 追い抜かれる暇。 何者でもない暇。 暇が人を作る。 忙しい奴に哲学はねぇ。 思い出してみなさい。 電話が鳴らねぇ時間。 誰も振り向かねぇ机。 あそこで人は二つに分かれる。 腐るか、考えるか。 久米は考えた。 それだけの話だ。 だが、それが難しい。 最後にね、皮肉を一つ。 いまの世の中、しゃべりたい奴は山ほどいる。 だが、黙って聞く電話番はいねぇ。 久米宏は、しゃべりの名人であり、 聞く修行をした男だった。 だから軽い。 だから深い。 電話番が宇宙をつないだ。 この噺、オチはない。 人生にオチがあると思ってる奴が、だいたい転ぶ。 おあとがよろしいようで 2幕目 「ほにゃらら一代記」 えー…… 拍手なんかしなくていい。 どうせ拍手したって、あんた方、あとで寝るんだから。 え? 「今日は誰の噺だ」って? 決まってるじゃないか。 言えない人の噺だよ。 ――今の日本ね、言えないことばっかりだろ? 言ったら怒られる、書いたら消される、放送したらスポンサーが逃げる。 だから皆さん、便利な言葉を使うようになった。 「ほにゃらら」 これを考えた男の噺だ。 昔ね、日本の放送界はまだ“声”が主役だった。 顔なんか映らない。 ラジオだ。 顔が映らないってことはね、人格も映らないんだ。 今みたいに「好感度」なんて概念はない。 あるのは声と間と、ちょっとした毒。 そこにいた男。 名前を言っちゃいけない男。 いや、言えない男。 本人の名前は―― 言わなくていいや。 どうせ言ったところで、あんた方、 「ああ、あの人ね」って言うだけだ。 この男、若いころ結核をやってね。 肺をやられた。 肺をやられるってのは、芸人にとっちゃ致命傷だ。 息が続かない。 声が飛ばない。 でもね、不思議なもんで、黙ってる時間が長くなると、人は考える。 ――人はね、喋れなくなると、余計なことを思いつく。 この男、現場から外されて、 内勤だの電話番だの、 まあ、言っちゃえば“干された”わけだ。 普通なら腐る。 酒飲む。 女に逃げる。 政治を語り出す。 一番ダメなやつだ。 ところがこの男、 言葉を観察し始めた。 「どうして人は、言いたいことをそのまま言わないんだ?」 いい質問だ。 答えは簡単だ。 言ったら面倒くさいからだ。 ラジオに投稿が来る。 「匿名希望」。 これがね、実に多い。 今も多い。 人間ってのは、自分の意見に自信がないくせに、 他人に読まれたい生き物なんだ。 そこで男は考えた。 「匿名希望をどう読むか」 「匿名希望」って言うとさ、 なんかカタいだろ? 役所みたいだ。 人の体温がない。 だから彼は、名前をちょっと崩した。 音をずらした。 意味を抜いた。 「ほにゃらへにゃら」 ……これだ。 意味はない。 だけど、気配はある。 本人には分かる。 他人には分からない。 分からないから、誰も怒らない。 ――これ、実はものすごく日本的なんだよ。 そのうちテレビに行く。 クイズ番組だ。 答えを言っちゃいけない。 でも、言いたい。 言いたいけど言えない。 そこで出てきた。 「答えは……ほにゃらら」 客が笑う。 出演者も助かる。 スポンサーも安心。 誰も損しない。 これをね、 「逃げ」だって言う人がいる。 違う。 これは技術だ。 言わない技術。 ぼかす技術。 間で伝える技術。 落語と同じだ。 全部言ったら、野暮。

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うっちー ユーチューブアドレス https://www.youtube.com/channel/UCGkI3Cpu_a6yvizyqQLbKKA 全部聴きたい方は、公開してますそこで、聴いてください( ´∀` )