【連載小説】檻城の姫君|第三章 第五話 「大宴会」
▼前回▼
※予期せぬ騒ぎが起こる大宴会。
翔とフライは、どんな展開に巻き込まれるのか──
エイムはフライを解放した。
エイムは、翔の言うことはなんでも聞くようになった。
フライの猫ピアス銃も返してくれたし、金庫にも、小判とかを全部戻した。
嘘みたいだけど、本当だった。
で、頭(かしら)が言うことを聞けば子分もそいつの言うことを聞く。
翔はボスキャラの上を行く大ボス、いわゆ<あのお方>扱いである。ラスボス倒したと思つたら、もう一匹ボスが控えてました━━みたいなもんである。そういう扱いである。ようするに、一番強い。一番偉い。怒濤のごとく持ち上げられて、大宴会が開かれてしまった。
「認めないっ! 私こんなの絶対認めないっ‼︎」
そういう状況で、反対する奴は絶対出てくる。成り上がり者が認められるには相当苦労しないといけない。
苦労しても認めてくれない奴もいる。その筆頭が、誰あろうプリンセス・フライその猫であった。
「え、えっとー……」
翔は頬を掻いた。さっきからずっとエイムが引っついている。今も抱きつかれている。
「よっ! ご両人! 憎いねっ‼︎」
「姐さんにも、春が来ましたねっ!」
「アニキ! 翔アニキと呼ばせて下さいっ‼︎」
カナエがスゴイ音を立てて、持ってきた追加料理をテーブルの上に置いていった。
……怒っている。カナエは絶対怒っている。どうやらカナエはフライ陣営らしい。
翔がフライ以外の女と仲良くするのがおもしろくないのだ。
━━広くもないユウゾウの食堂は、猫で一杯だ。廊下とか、至る所からもバカ騒ぎしている声が聞こえる。お花見のようだ。
「ダ~リン。だいすき~」
酒臭い息を拭きかけながら、エイムは婀娜(あだ)っぽく翔に多りかかってくる。ここで、翔が鼻の下伸ばしてるなんて思ったら、大間違いだ。
だって、エイムは猫なのである。実際の翔は、エイムの真っ白な毛が顔や腕をくすぐる度、笑いをこらえるので必死だった。
「でさー、兄ぃがもーぉすごいのなんのって! もう、あんときの兄貴ったら、本当にすごかったね! ありゃもう触(ふ)れもせず惑星ぶっ壊しちゃいそうなくらい‼︎ あの兄ぃの姿見たら、コスモドラゴンだってフレアドラゴンだって逃げてっちまうね! いやもう、惑星一つなんてちゃちなもんじゃねぇ! 七つの宇宙だ! いやいや違う‼︎ そんなもんじゃねぇやっ‼︎ 七つの宇宙の向こうの向こう、そのまた向こうのまた向こう、どでかい宇宙すべて‼︎ この世のありとあらゆるもの全部ブッ壊れちまうくらいありゃー怖かったね‼︎」
猫たちから感嘆の声が上がる。サイトは酒の勢いかどんどん話をでっかくしていく。翔へ向けられまくる素直な猫たちからの尊敬の眼差し。
フロントも同じようなことを言っている。
リアが一匹地団駄を踏んで、決定的瞬間に居合わせられなかったと喚いている。
「俺は、クラッシャーかよ……」
猫は気のいい奴が多いらしい。大抵は素直に翔を認めてしまった。反対するのなんてほんの一握り。少数派だ。酒飲んで歌い踊るだけで満足して、その喜びをそのまんま、翔は素晴らしいという思いに変換してしまう猫もいる。
白状しよう。これはエイムの作戦なのだ。宇宙海賊たちの翔支持率が急上昇し、半比例して、ユウゾウのロボットたち(ユウゾウも含めて)の翔支持率が急下降していく。
今までユウゾウのロボットたちにアンケートを取ったとしたら、人気男性キャラナンバーワンは、断然トップで翔だった。女性キャラは言うまでもなくフライ。ベストカップルは誰一人疑うことなく翔&フライだった。
━━怒るはずである。彼らの怒りは、当然といえば当然だった。
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▼次回 第六話 「波紋」▼
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https://note.com/usagisantoka/n/na28673f5c44c
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