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父の施設探しが始まった ― 終の住処を探す現実

「終の住処を探す
その言葉を、自分が現実として使う日が来るとは思っていなかった。

父の施設探しが始まった。

リハビリ病院には、疾患別に入院期間の上限がある。
60日、90日、150日、180日。

父は、高次脳機能障害を伴う重症脳血管障害に該当し、
**最長150日(約5か月)**の対象となった。

11月初めに入院したとき、
「1月に入ってから探せばいいかな」
どこかで、まだ時間があると思っていた。

けれど実際には、
施設探しは“家族が主役”にならなければ進まない。

見学の予約、情報収集、申し込み。
仕事をしながら進める日々は、想像以上に慌ただしく、心も追いつかなかった。


特養は「待つ」のが前提

特別養護老人ホーム(特養)は、
待機者100〜150人と説明されることも多い。

その数字を見たとき、
「父の順番は本当に来るのだろうか」
と胸の奥がざわついた。
実際は、とりあえず申し込みをしたり、複数申し込みをする人もあるため、どのタイミングで空くかはわからないようだ。
早急に入所が必要な人は、割り込みをする場合もある。

でも、早めに申し込むしかない。

1月になり、市内で実家から近い施設を
3か所に絞って見学することにした。

終の住処になるかもしれない場所だからこそ、
できるだけ父に合うところを選びたいと思った。


見学で伝えた、父の今の姿

見学では、父の状態を用紙に記入した。

高次脳機能障害による
• 認知機能の低下、記憶障害
•     言葉が上手く話せず、意思疎通困難
• 気分のムラ
• 声出し
• 介護拒否の不安

家族としての心配を、正直に伝えた。

相談員さんは
「そういう方は多いですよ」
「大丈夫ですよ」
と声をかけてくださった。

その言葉に、
少しだけ肩の力が抜けた気がした。

施設の雰囲気も色々だった。
ユニット型で、1ユニットごとに共有スペースがあり、スタッフも固定されているため
安心感はある。
そして、実家から一番近い施設は、木の温もりがあり温かい雰囲気だった。
自分ならここならいいなと感じた。


特養の種類と、費用という現実

特養には
**従来は型(多床室)**と
**ユニット型(個室・少人数ケア)**がある。

市内の特養は、ほぼユニット型だった。
厚生労働省から設備や基準の通達があり
新しい施設はユニット型が主流になりつつあるようだ。

グループごとにユニットケアをしており、各ユニットに担当の介護職員がつくため信頼関係が築け、また利用者さん一人ひとりの生活リズムを尊重した介護が提供できる。
個室の中心にリビングなどの共用空間があるため、利用者さんが在宅に近い感覚で過ごせるのが特徴。

生活の質は高いが、費用も上がる。
でも、個室だから目が行き届きにくいという気もする。
昔は多床型がメインで、4人部屋で費用も安かった。

現在の特養の費用は、
月15万〜16万円前後かかることが多い。
これは地域や、部屋料金、食費の差が大きい。
都会になれば待機人数も費用も増える傾向にある。

父は
• 要介護5  
• 負担割合1割 自己負担29000円
• 課税世帯

介護保険自己負担は約29000円。
そこに居住費2000円✖️30日
食費1400円✖️30日
日常生活費 10000〜20000円
各種サービス加算が加わり、
合計15万円台となる。

「特養は安い」というイメージとは、
ずいぶん違う現実だった。


年金だけでは厳しいという事実

両親の年金は2人で約19万円。
父の施設費に16万円かかると、
母の生活はどうなるのだろうと考えてしまう。

国民年金だけで
施設費用を賄うのは難しい家庭も多い。
家を売ってその費用に当てたり、貯金を切り崩して入所される人もある。

こうなるとやはり老後にお金が必要なのは理解できる。
年金で生活というのは、健康寿命が長く
最期まで元気に過ごせばということに限られる。


訪問看護師として、家族として

私は訪問看護師として働いている。

費用の問題で特養に入れず、
在宅介護を続けているご家庭を
これまで数多く見てきた。

在宅介護は費用を抑えられるが、家族の負担はとても大きい。

今の私は、
支える側であり、
支えられる家族側でもある。

その両方を生きている。


申し込み、そして次の選択

私たちは
3か所を見学し、3か所に申し込みをした。

しかし1月、
病院から2月末退院を告げられた。

特養の空きは、まだ見えていない。

そのため、
一度、介護老人保健施設(老健)に入り、特養待ちという選択肢が現実的になってきた。

終の住処にたどり着くまで、
いくつもの施設を経由する現実を
いま、身をもって感じている。



制度として知っていたはずのことが、
家族の立場になると、
まったく違う重さで心にのしかかる。

迷いながらでも、
父が少しでも安心して過ごせる場所を
探し続けていこうと思う。

父シリーズをお読みいただきありがとうございます。
もし今、
親の施設探しや介護で悩んでいる方がいたら、
迷っているのは、あなただけではありません。

私自身も、まだ答えの途中です。
それぞれのペースで、
それぞれの「最善」を探していけたらと願っています。
この投稿が、これから考える人の参考になれば幸いです。

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