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インフレ税という、見えない徴収 ~インフレーションが居座ると、PBたんは黒髪になるのか~【アシハラナカツ王国物語】

※この物語はフィクションです。実在する国家・制度・団体・人物とは一切関係ありません。


ふと、気づいてしまった

王国の片隅で、ある学者がつぶやいた。
「もしかして、インフ姉さんがこのまま居座り続けたら……PBたん、黒髪になるんじゃ……」
もふもふ団の一人が、思わず振り返った。
「どういうことです?」


天秤のからくり

貸借対照天秤の負債皿には、こくさいの残高が積まれている。
その金額は、名目上、ずっと変わらない。
しかし、物価がじわじわと上がり続けると、話は少し変わってくる。
王国全体の経済規模(名目GDP)も、税収も、物価や賃金の上昇とともに、名目上は大きくなっていく。
こくさいの残高そのものが増えていなければ、王国全体との比較でみれば、負債皿は相対的に軽く見えることがある。
「インフレーションが居座れば居座るほど、負債皿は……軽くなる?」
学者は、そう言いかけて、口をつぐんだ。
「言い方が乱暴です。金利が上がれば利払いも増えますし、こくさいの残高が経済の成長より速いペースで増え続ければ、話は別です」
もふもふ団の何人かが、静かに天秤を見つめていた。


もふもふ団のジレンマ

黒髪至上主義のもふもふ団にとって、負債皿が軽くなることは、本来なら望むところのはずだった。
「では、インフ姉さんを歓迎すればいいのでは?」
若手の団員がそう言うと、長老が首を振った。
「それは、違う」
負債皿が軽くなる裏側で、何が起きているのか。
現金や預金を持つ王国民の、実質的な価値が目減りしているのだ。
給料の額面は変わらなくても、買えるものはどんどん減っていく。
これは、税金という形を取らない、見えない負担だった。

用語解説:インフレ税
物価上昇によって、現金や預金など名目で固定された資産の実質的な価値が目減りする現象。政府や借金をしている側は実質的な負担が軽くなる一方、現金や預金を持つ人は、知らないうちに購買力を失っていく。「税」という名前が付いているが、政府が制度として徴収しているわけではなく、この現象を比喩的にそう呼んでいるにすぎない。

「つまり……国民から集めた見えない徴収で、PBたんが黒髪(PBが黒字化)になるかもしれない、ってことですか」
長老は、ゆっくりとうなずいた。
「だから、これは手放しに喜べる話ではない」


海の向こうでは、もう見た話

自由の国では、長年インフ姉と付き合ってきた庶民たちが、こう漏らしていた。
「それ、こっちはもうずっと前から経験してるやつだよ」
資産を持つ層は、株や不動産の値上がりで恩恵を受けやすい。借金をして家や設備を買っていた人も、その借金の実質的な負担が軽くなる場合がある。
一方、現金や預金しか持たない層は、じわじわと実質的な購買力を削られていく。
同じインフレでも、資産を持つかどうかで、受け取り方はまったく違ってくる。
それでも、髪色より
PBたんは、自分の赤い髪を鏡で見つめた。
「黒髪になる方法は、あった。」
「でも……」
「その代償が、みんなの生活なら。」
「私は、このままでもいいかな。」
もふもふ団は、誰も答えられなかった。
国民のひとこと 「なんか思ってたのと違う……」 「黒髪になったところで、生活が楽にならないなら、意味なくない?」


作者あとがき

この回は、インフレが政府債務の実質的な負担を軽くする一方、現金や預金を持つ人の購買力を目減りさせる「インフレ税」という現象を描きました。どちらか一方が正しい・間違っているという話ではなく、誰が資産をどう持っているかで、恩恵と負担の受け方が変わる、という構造そのものを描いています。


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