物件の管理状態、現地で5分あれば分かる。自分が見ている7箇所
正直、最初に収益物件を見に行ったとき、自分は全然見れてなかった。間取りと利回りの数字しか頭になくて、エントランスを通り過ぎたことすら記憶にない。あとで管理状態がひどいと気づいて、あのときちゃんと見ていればと思った経験がある。
評価の現場では、物件の価格を弾く前に建物の状態を確認するんだが、そこで毎回思うのは「管理状態は隠せない」ということだ。見ようとすれば、だいたい現地で分かる。
まずエントランスで止まる
物件に着いたら、中に入る前にエントランスで一度立ち止まってほしい。
ポストを見る。チラシや郵便物がはみ出ていないか。ポスト周りに広告が落ちていないか。ここミスる人多いんだが、ポスト周りは住民と管理会社、両方のモラルがそのまま出る場所だ。チラシが散乱しているマンションで、住民同士のトラブルがないケースをあまり見たことがない。
掲示板も必ず読む。「廊下での騒音にご注意ください」程度ならまあ普通の注意書きだ。ただ「夜間の騒音について複数の住民からクレームが入っています」とか「廊下への私物放置を繰り返す方がいます」といった具体的な内容が貼ってある場合は、話が変わる。管理組合がそれを貼らざるを得ない状況にある、ということだから。
エントランスの床や照明もざっと見る。タイルが割れたままになっていないか、電球が切れていて暗くなっている箇所がないか。新しい建物かどうかは関係なくて、古くてもきれいに保たれているマンションは普通にある。逆に築浅でも荒れているところは荒れている。
ゴミ置き場と廊下で「住民の質」が分かる
ゴミ置き場は、できれば見ておきたい。
分別がきちんと守られているか、カラスよけのネットが整理されているか。ゴミ置き場が汚いマンションで、他の共用部だけきれいというのは、たぶんない。表のエントランスだけ管理会社が手を入れていて、奥は放置というパターンもあるので、ゴミ置き場まで足を運ぶのは理にかなっている。
共用廊下も歩いてほしい。自転車や段ボール、傘立てが私物で埋まっていないか。消火器が規定の場所に置かれているか。廊下の端に荷物が積まれているマンションで、管理組合がしっかり機能しているのを見たことがない。たぶん、そういう物件は総会もろくに開かれていない。
時間帯を変えて見に行けるなら、それに越したことはない。昼間に来るとシーンとしていて管理良さそうに見えても、夜は廊下が騒がしいということが普通にある。自分の場合は、気になる物件は夕方にもう一度来るようにしている。
修繕積立金の「積まれ方」を聞く
現地で分かることに加えて、数字の話もしておく。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、修繕積立金が計画に対して不足しているマンションの割合は36.6%にのぼる。3棟に1棟以上が不足している計算だ。
不足の原因として多いのが「段階増額積立方式」の値上げが実行できていないケースだ。新築時に月8,000円だった積立金が、計画上は最終的に月28,000円超まで上げないといけないのに、住民の反対で値上げが止まってしまう。そのまま大規模修繕の時期を迎えると、一時金を徴収するか、工事を先送りにするかという話になる。
売主か管理会社に「現在の積立金の総額はいくらか」「直近の大規模修繕はいつ実施したか」を確認する。答えが曖昧だったり、数字を出し渋る場合は、それ自体がサインだ。
重要事項説明書に修繕積立金の積立状況が記載されているので、購入前に必ず読む。滞納があればその分は買い手に引き継がれることもある。この前提、実は成立していないと気づかずに契約してしまう人がいる。
「管理を買え」というのはこういうことだ
不動産業界に「中古マンションは管理を買え」という言葉がある。使い古された表現ではあるんだが、現地を何十件と見ていると、これは本当にそうだと感じる。
建物の築年数は変えられない。立地も変えられない。でも管理の質は、管理組合と管理会社の組み合わせ次第で大きく変わる。そしてその質は、現地を歩けばだいたい見える。
評価の現場では、外観や共用部の状態が悪い物件に「管理良好」という評価をつけることは、まずできない。現地の状態は正直だ。
この記事が参考になった方へ。
実際の物件で買付上限をどう逆算しているか、数式と手順を全部まとめた記事があります。よければ。
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