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映画館【上田映劇】

長野県上田市【上田映劇】さん
赴きました。

 1917年(大正6年)、当初「上田劇場」として創業。2027年には110周年を迎えることとなる、歴史ある立派な映画館です。昭和期に「上田映画劇場」に改称、2016年からの「上田映劇再起動プロジェクト」を経て、2017年から映画定期上映と同時に、劇場の保存及び活用、地域文化の振興に取り組まれています。館内の立派な構造、ステージ、格天井様式は見事なもので、その様相は、歴史の紹介とともにリーフレットや公式サイトにて掲載されています。また上映作品ごとにひとつひとつ製作されているという映画はんこ(映劇はんこ)が面白い名物となっています。

 この日は『ネネットとボニ』を観るまでの空き時間、館内の喫茶室、重澤珈琲さんにて杏ジャムとクリームチーズのトーストと林檎ジュースをいただきました。

 面白いのは、劇場運営を支える「特別会員」となりますと、お得な鑑賞料金、専用手帳の発行に加えて、映劇応援プレートが座席に付けてもらえるとのことです。劇場の座席を見て回りますと、大好きな『キツツキと雨』の沖田修一監督、いま最も多忙を極める大泉洋さん、井浦新さん、数多くの映画予告ナレーションを務めている板倉光隆さんのプレートを見つけました。

 『ネネットとボニ』を観たこともあって、やはりおウチで観るシネマと、映画館の消灯のなかでスクリーンと向き合うのとでは、映画の印象は全く異なりますね。外で独りパンを齧る一場面や、自分勝手な身内に苛々していくだけの場面なんかも、画と音に吸い込まれたり、何故だか頭に焼き付いていく、精神的な、感覚的な余地が生じていきますね。こういった感覚が生じるのは、生き物のなかでも人間だけだろうなと思います。映画館で映画を観るというのは、私はいま人間としてしっかり生きておりますよぅ、と自覚できる場でもありますね。何かこう、疲れてしまったときや、落ち着けないとき、気が乗らないとき、将来の不安や、行き先が定まらないとき、人生いろいろありますが、笑えそうなコメディや痛快エンターテインメントではなく、敢えて、日常的なものだったり、生活感が曝け出されていくような、そういった映像や音響に浸ってみるのも、疲れやすい日々を送るなかで、ひとつの選択肢として考えてみてもいいのではないでしょうか。そうクレール・ドゥニ監督作品は、おウチの画面と映画館のスクリーンとでは、印象はだいぶ変わりますよ、きっと。

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