見出し画像

モノローグ演劇会KOCHI2026脚本執筆後記

久米から、今年もモノローグ演劇会に出たいと申し出があった。
その時私は自劇団の本番前であったためかなり余裕がなく、とりあえず「また後で考えるべきこと」リストにぶち込んでいた。
しかし本番後に改めて考えてみると、わたしにそんな余裕はあるのか?と。
私はなんだか今疲れている。明確に体と心にその感覚だけがあった。本番後すぐにそんなことを考えていたからかもしれない。いや、その可能性は大いにある。

しかし、この春ついに迎えた初めての職場の部署移動は働く場所や出勤時間こそ変わっていないものの、結構メンタル的ダメージというか、その場に適応するために消費する心のカロリーのようなものが大きかった。
だから正直に久米にそのことを伝えてみた。
久米春花という人間はシャカリキ馬車馬マンであり、時間があれば演劇のことを考えている、私とは真逆の人間である。ついでに私は暇さえされば今日食べるものの事とアイドルの事しか考えていない。真逆だ。
正直この不安と今の余裕のなさが伝わるかな?と不安だった。
しかし意外や意外。久米は「そうか。じゃあ、どうしようかな」と極めて建設的に話に向き合ってくれた。自分はモノローグ演劇会に出たいけれど、鈴江さんが難しいなら方法を考えると。
どうやら、東京に行って向こうで演劇をしている人を見て、考え方が変わったようだ。東京に行く、東京の人々と触れ合う、それが久米の考え方をこんなに変えるのだとは驚いた。でも東京という場所で久米が少し息が吸いやすくなっているなら、うん、東京ってええとこなんやなとそう思う鈴江であった。

さて、そんなわけで、台本を書こうかと申し出たのは私だった。きっかけは極めてシンプルで調子に乗っていたのである。

香川で3月上旬くらいに一人芝居のワークショップがあった。「INDEPENDENT」という、一人芝居のフェス?のようなものがある。元々観に行ってみたいと思っていたこともあり、応募してみた。ふたを開けてみると、1日目は一人芝居とはどんなものか座学で勉強し、実際に見て学び、そして2日目にはワークショップ参加者で1本一人芝居を作ってみようという超絶濃密ワークショップだった。そしてその2日目で私は人生で初めて、台本をかいてみた。
決して面白いものではない。でも、書こうと思ったら書けちゃった、という経験が私を大いに調子付かせた。
ワークショップの台本も書けちゃったから、モノローグ演劇会の台本もかけちゃうんじゃなかろうか。

大いなる失敗と後悔のプロローグである。

どんな台本がいいか、2人で話し合った。その時久米から出たのは、「女子高生になりたい」ということだった。まあ、その辺の詳しい事情は、探せば彼女の昔のnoteとかで読めると思うのであえて言わないけど、いろいろあって久米はめちゃめちゃJKという生き物に憧れている。そして同時期に金曜ロードショーで久しぶりに観た「耳をすませば」に私はいたく感動した。いや、彼らは中学生やろ、というツッコミはいったんひっこめてもらって。「学校」という場所。それは日本人の多くの人が経験していて「懐かしい」と感じる人が比較的多く、そのなかで自分と他者との関係にやきもきしたり、悩んだり、勇気を出して踏み込むことも、そうして傷ついたことも、みんな一度は経験したことがあるのではないか。これは、共感を得られやすい題材かもしれない。

そういう点でなぜか二人の気持ちはシンクロし、いや、シンクロというと重なり合うので、重なり合ってはいないので、並走し、「JKものにしよう」ということになった。

書き始めて気づいた。

まずぶち当たった壁は、5分という時間制限だった。
5分は、物語を展開させるにはあまりに短すぎた。
しかし、5分であることを意識して書いてみると、とたんに面白くなくなる。
5分のジレンマ。ジレンマオブ、5ミニッツ。

もう一つは、前回もJKものだったなあということ。
もう一つは、わたしが創作するとすべてJKが恋をする。
駄目だ。コメットの次回作が、コメットの過去作に似ている。コメットは永遠にJKしかしないのか?JKは恋しかしないのか?学生はもっと、いろんなことをしているはずだ。勉強に部活……。そうだ、部活だ。部活動をテーマに2作品書いてみた。

おもんない!!!なんだこれは!!!無難におちついた!!!落ち着いとる!!!

そう、なんかおしゃれで、なんかエモくて、なんかノスタルジー。そんな話が仕上がった。……こんな話は私が書きたい話ではない!!!悩み、苦しみはてた鈴江は、一回すべてのことを忘れ、台本を書かねばいかんということも忘れ、ただただひたすらその時に自分が悩んでいたことを書き連ねた。そうするとなぜか、なぜかそれは面白いような気がしてきた。

久米に送ってみた。久米も気に入った。

こうしてできたのが今回の作品だ。

だから、本当に久米春花を演じることを全く想定して書いていない、めちゃめちゃ鈴江の独白である。さてさて、久米春花がそれをどう料理して演じてくれるのか。久米には申し訳ない気持ちもちょっとあるが、いや、1ミリ程度しかないが、久米の体を通して私の言葉が出てくると、どうなってしまうのか。それが楽しみである。


いいなと思ったら応援しよう!