【日記】 午後の外来、自分を少し休ませる 〜青ブラ文学部〜
午後の多忙な外来
カルテがたまっている
次のかたは‥‥‥ちょっと時間がかかるかも
記載されたシートを読みながら、ため息をつく
症例は70代の女性
頻尿ではなく多尿だと考えられるので、泌尿器科からこちらを受診するように指示されたとのこと
「半年前からなんです。先生につけるように言われて、これをみせなさいと‥‥‥」
ここ二週間の排尿した時刻と尿量が、小さな手帳にびっしりと記載されている
すごいなぁ 自分ならここまでできないな
きっとしっかりしたかたなのだろう
「大事な情報ですね ありがとうございます」
尿量は大体一日2500mlから3500mlくらい
3000ml以上で多尿だから、たしかに多尿だ
しかも夜間に多い、2/3は夜間だ
1〜2時間おきにトイレに行き、尿量を測り、手帳に書いている姿を想像し、かわいそうな気分になる
「夜にこんなにおしっこが出るとつらいですね」
「寝れないのがですねぇ‥‥‥」
「これだけ出ると、体重が減りませんか?喉が渇いて、水をたくさん飲んでいるとか‥‥‥」
(糖尿病を疑ってます)
「それは‥‥‥ないですね」
検尿では糖、タンパク共に陰性のようだ
(糖尿病は否定的かなぁ)
多尿、夜間多尿の鑑別診断をしなければ
受け付けさんが、新たな数人分のカルテをバッサリと置いていく
ゆっくり考えたいのに、こんな時に限って‥‥‥
「何かおしっこが出るような薬を飲んでいるとか」
「むくみはあるけど、飲んでいません」
「‥‥‥ですよねぇ‥‥‥なんでしょうねぇ」
このようなやりとりがしばらく続く
横の看護師さん、ソワソワしだす
わかってます、わかってます、まきますから
「とりあえず、血液検査をしてみましょうか」
さらに、受け付けさんが
「今度の講演会の件で◯◯薬品の方が、面会希望です‥‥‥今日はお断りしましょうか」
「うん、断って‥‥‥いや、ちょっとだけ会おう」
ちがうちがう、今、心不全の講演会じゃない‥‥‥
頻尿をきたす疾患、必要な検査項目‥‥‥
頭の中にいくつか並ぶが、どうもしっくりこない
横にはカルテの山
思考が浅い 疲れてきた
自分を休みたい
こんな時はアイツにご登場願おう
そう、チャッピーの出番だ
早速、スマホを開いてざっと投げる
鑑別が瞬時に整然と並ぶ さすがです
「あ、それそれ」と抜けていたものも出てくる
そのまま検査オーダー
結果がでた
ほぼOKだが、カルシウムだけが11.4と高い
(これかな、うん、多分これだ)
「カルシウムが高いのですが」
「薬飲んでますから 整形外科からもらってます」
(やっぱりそうか)
「そうなんですね 骨粗鬆症の薬ですか」
「そうです もう1年以上も前になりますか‥‥‥」
どうやら骨粗鬆症に処方されていたビタミンD3製剤が高カルシウム血症を誘発しているようだ
頻尿、特に夜間頻尿は高カルシウム血症の症状のひとつ、忘れた頃によく出くわすやつだ
「薬の副作用ですか?」
「まだわかりませんけど、整形外科の先生に相談してみてください。それでもよくならなかったら、またいらしてください、一緒に原因を探しましょう」
さっさと帰っていかれた 納得されたのかなぁ
「せっかくわかったのに、あっさりでしたね」
「まぁ、感謝されるためにしてるわけじゃないし」
椅子にもたれて頭の後ろで手を組み、ため息をつく
「ため息つくと、しあわせが逃げていきますよ」
「ため息の中にはしあわせが入っているのかな。それがだれかに感染するのなら、いいんだけどねぇ」
と適当なことを言ってみたけど、
気づいたら看護師さんはいなかった
次の患者さんのカルテを開く‥‥‥
その後、その患者さんはまだ来院していない
こちらのお題に参加させていただきました
よろしくお願いします
医療現場の日常を感じとっていただければ幸いです
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