【コレクション】『ベルギー奇想の系譜』Bunkamura ザ・ミュージアム フライヤー

怪物のルーツはここにある!Bunkamura『ベルギー奇想の系譜』展で500年の脳内トリップ
今回は、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」の魅力をたっぷりお届けします。
フライヤーに描かれた異様な怪物たちに惹かれて足を運びましたが、一歩足を踏み入れると、そこは500年分のみる恐ろしくも美しい「奇妙な夢の世界」でした。
## 🎨 フライヤーの主役は誰?ボスの工房が描いた「地獄」
まず目を引くのが、チラシのメインビジュアルになっている強烈な絵画。
これは15〜16世紀に活躍した天才、ヒエロニムス・ボスの工房による『トゥヌグダルの幻視』という作品の一部分です。
* 巨大な生首:耳から巨大な刃物が突き刺さり、目からは怪物が覗いています。
* 謎の湯船:その下では、罪人たちが大釜の液体に浸けられています。
* 二足歩行のネズミ(?):手前で陽気に楽器を吹いている奇妙な生き物。
写実的で妙にリアルだからこそ、不気味なのにどこかコミカルで、ずっと見入ってしまう不思議な魅力があります。
## 📜 500年受け継がれる「奇想」の歴史
この展覧会の面白いところは、中世の怪物絵画から現代アートまで、ベルギーという土地に流れる「同じ遺伝子(DNA)」を網羅している点です。
## 1. 奇想の始まり(中世〜ルネサンス)
ボスやブリューゲル(父)といった巨匠たちが、人間の罪や地獄、ことわざを「異形の怪物」として可視化しました。
ここがすべての原点です。
## 2. 内面への潜行(19世紀末・象徴主義)
ジェームズ・アンソールが描く不気味な「仮面」や、フェルナン・クノップフの静けさの中に漂うエロティシズムなど、世紀末の不安な精神世界が描かれます。
## 3. 脳内世界の具現化(20世紀・シュルレアリスム)
日本でも大人気のルネ・マグリットやポール・デルヴォーが登場。
日常の景色をあり得ない組み合わせで狂わせる、哲学的な「奇想」へと進化します。
## 4. 現代への継承
現代アーティストのヤン・ファーブルらが、その伝統を過激で刺激的なインスタレーションとして現代に蘇らせています。
ただ「怖い」「気持ち悪い」だけではなく、どの時代の作品も「超絶技巧のリアリズム」で描かれているため、説得力が凄まじいです。
現実の不安や人間の本音を、ユーモアと幻想で包み隠したベルギー美術の奥深さに圧倒されっぱなしの展示でした。

•フライヤー中面より
500年の美術の旅へ!『ベルギー奇想の系譜』展で巡る、3つの異世界
渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」の展示内容を、章ごとの見どころと一緒にじっくりレポートします。
この展覧会は、中世末期から現代まで約500年にわたるベルギー美術の「奇想」を3つの章でたどる、まさに壮大な「脳内トリップ」でした!
## 🏰 第1章:15-17世紀のフランドル美術 〜怪物の原点と地獄の誘い〜
旅の始まりは、徹底したリアルな写実主義の上に「あり得ない幻想」を出現させたフランドル絵画から。
* ボスの系譜とルーベンスの衝撃
チラシのメインを飾るヒエロニムス・ボスの工房作『トゥヌグダルの幻視』をはじめ、悪魔や怪物のオンパレード!
若い女性に鏡を見せる「高慢の悪魔」など、人間の罪や欲望をユーモラスかつ不気味に可視化しています。
* ブリューゲルらが繋ぐバトン
ボスが作り出した「奇想」のルーツを、ピーテル・ブリューゲル(父)たちがどう受け継ぎ、さらに巨匠ルーベンスらが新たな展開を見せていったのか、その系譜の力強さに最初から圧倒されます。
## 👁️ 第2章:19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派・表現主義 〜現実を背に、夢の内面へ〜
18世紀の科学の発達によって一度は影を潜めた「不可解なもの」。
しかし、産業革命を経た19世紀末、画家たちは再び「人間の内面や夢、無意識」へと目を向けます。
* 現実からの逃避と精神世界
ジャン・デルヴィルの『メドゥーサ』など、静謐(せいひつ)でありながらどこか不穏で、エロティシズムや死の気配を漂わせる作品が並びます。
* 仮面と骸骨の奇才
ジェームズ・アンソールやフェルナン・クノップフといった、この時代を代表するスター作家たちが、現実の不安を独特の幻想世界へと昇華させていく過程がスリリングです。
## 🍏 第3章:20世紀のシュルレアリスムから現代まで 〜日常を揺るがす、現代の奇想〜
最後は、今なお私たちの創造力を刺激し続ける20世紀以降のモダン・アートのエリアです。
* マグリットとデルヴォーの脳内世界
日本でも大人気のルネ・マグリットやポール・デルヴォーが登場。見慣れたはずの日常(空、鳥、人物など)の組み合わせを狂わせ、見る者の常識を優しく、かつ鋭く揺さぶってきます。
* 現代に息づく「奇想の遺伝子」
さらに、現代アーティストのヤン・ファーブルによる刺激的な彫刻やインスタレーションへ。
500年前のボスが描いた怪物たちのDNAが、形を変えてしっかりと現代アートに受け継がれていることに深い感動を覚えます。
なぜ「奇想」に惹かれるのか?
大国の間で翻弄されてきたベルギーの歴史。
だからこそ、画家たちはただ目に見える現実を描くのではなく、「心の中の光と闇」をキャンバスにぶつけたのかもしれません。

•フライヤー最終面より
見逃せない3つのポイント&音声ガイドやイベント情報まとめ!
展覧会の章ごとの魅力はもちろんですが、今回の『ベルギー奇想の系譜』展は、展示方法や関連イベント、音声ガイドの豪華さも大きな話題になっています。
実際に足を運ぶ前にチェックしておきたい「見どころのまとめ」と、展覧会を120%楽しむための情報をレポートします!
## 💡 ここに注目!展覧会の「3大みどころ」
## ① 中世から現代まで500年を一気におさらい!
15・16世紀のフランドル絵画から、19世紀の象徴派、そして現代のコンテンポラリー・アートまで、約120点もの作品が集結。
これほど長い歴史の「奇想」をテーマに沿って一気に見られる機会は滅多にありません。
## ② 古今東西のスター作家、総勢30名が大集結!
ボス派やブリューゲル、ルーベンス、クノップフ、アンソール、マグリット、デルヴォー、そして現代のヤン・ファーブルまで、
ベルギー美術のオールスターが勢揃いしています。
作家ごとのアプローチの違いを見比べるのが本当に楽しい!
## ③ 表現のデパート!五感で楽しむベルギー美術
この展覧会の面白いところは、絵画や版画だけではありません。
彫刻、音、インスタレーションなど、様々な表現が散りばめられています。
幻想と耽美、皮肉とユーモアが混ざり合った、自由で独創的な世界を五感で堪能できます。
## 🎧 音声ガイドはあの「速水奨」さん!
今回の音声ガイドのナレーターは、大人気声優の速水奨(はやみ しょう)さん。
低く深く、どこか怪しげで魅力的なあの“美声”が、奇妙で幻想的なベルギー美術の世界へナビゲートしてくれます。
解説を聴きながら絵を見つめていると、本当に異世界に迷い込んだかのような深い没入感が味わえるので、絶対にレンタルすることをおすすめします!(収録時間:約30分 / 520円)
## 🗓️ イベント&ワークショップも超豪華!
会期中には、美術ファンにはたまらない特別なイベントも多数開催されています。
* 記念講演会「ボスからブリューゲルの世界」
森洋子氏(明治大学名誉教授)による、奇想のルーツを紐解くディープな講演。
* スペシャルトーク「中世と現代をつなぐ奇想の系譜」
辻惟雄氏×小池寿子氏による、洋の東西を超えて「奇想」の本質に迫る豪華対談。
* 夏休み企画!3Dアーティスト永井秀幸氏によるワークショップ
鉛筆だけで描いた絵が飛び出す「3Dトリックアート」で話題の永井氏による、子供から大人まで楽しめる体験型イベント。
## 🏛️ 展覧会インフォメーション
* 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横)
* アクセス:JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩約7分
* 当日券:一般 1,500円 / 大学・高校生 1,000円 / 中学・小学生 700円
(※前売券や団体割引もあります)
中世の悪魔から現代の刺激的なアートまで、脳内を刺激されっぱなしの素晴らしい展覧会でした。
渋谷での開催なので、お買い物ついでにふらっと異世界へトリップしてみてはいかがでしょうか?
•エピソードやトリビアなど
ブログのネタや、読み物として非常に面白い「ベルギー奇想の系譜」展にまつわるトリビア、アーティストの裏話をまとめました!
## 👁️ チラシの主役『トゥヌグダルの幻視』の裏話・トリビア
* 実は近年まで「いつ描かれたか」謎だった?
チラシのメインビジュアルである『トゥヌグダルの幻視』は、巨匠ヒエロニムス・ボスの死後に流行した「ボス風の絵(模倣品)」の一つだと長年思われていました。
しかし、2017年の展覧会直前の科学的調査により、ボスの真作と同じ時代・同じ材質の木板が使われていることが判明。
「ボスの生前に、彼のすぐ近く(工房)で制作された本物である」と証明され、美術界を沸かせました。
* 中央の「巨大な生首」の正体は?
これは単なるお化けではなく、キリスト教の聖書にある「目があっても何も見ず、耳があっても何も聞かない(神を拒む罪人)」を文字通り具現化したものとされています。
だからよく見ると、目はうつろで何も見えていません。
* 元ネタは中世の「臨死体験」ストーリー
この絵は、12世紀にアイルランドの修道士が書いた『トゥヌグダルの幻視』という実在の説話がベースです。
悪行三昧だった騎士トゥヌグダルが、ある日食事中に喉を詰まらせて仮死状態(臨死体験)になり、天使に連れられて地獄をツアーするお話です。
あまりの恐怖に、生き返った後は超善人になったという、当時の「道徳教育」のための絵でした。
## 🎭 アーティストたちの強烈なエピソード
## 1. ジェームズ・アンソール:なぜ「仮面」と「骸骨」ばかり描いた?(第2章)
* 実家がお土産屋さんだった
アンソールがなぜあんなに不気味な仮面ばかり描いたのかというと、彼の母親がベルギーの観光地オーステンデで「カーニバル用の仮面や貝殻、骨董品」を売るお土産屋さんを営んでいたからです。
子供の頃から日常的に不気味な仮面に囲まれて育った経験が、そのまま彼の脳内世界(奇想)のベースになりました。
* 生前は超バッシングされたが、最後は男爵に
彼の描く絵は当時「気持ち悪い」「悪趣味だ」と大バッシングを受け、美術グループから除名されそうになったことも。
しかし晩年になると一転して評価され、最終的にはベルギー国王から「男爵」の位を授けられるほどの国家的大スターになりました。
## 2. ルネ・マグリット:シュルレアリスムの巨匠の意外すぎる私生活(第3章)
* 芸術家らしからぬ「超・普通」のサラリーマン生活
あんなに奇妙な絵を描くマグリットですが、私生活は驚くほど生真面目でした。
アトリエを持たず、自宅の食堂の片隅で、毎日スーツとネクタイを着用し、決まった時間に絵を描いていました。
絵の具で部屋が汚れるのを極端に嫌い、絵の具を床に一滴もこぼさなかったという几帳面すぎる都市伝説があります。
* 映画『マトリックス』や『ルパン三世』の元ネタに
彼の描く「黒い山高帽をかぶった顔のない男」のモチーフは、映画『マトリックス』のエージェント・スミスのビジュアルに影響を与えています。
また、スタジオジブリの宮崎駿監督もマグリットのファンとして知られ、『ルパン三世 カリオストロの城』の時計塔のデザインなどにその影響が見られます。
## 3. ヤン・ファーブル:現代に生きる奇想の遺伝子(第3章)
* 曾祖父はあの有名な「昆虫記」のファーブル!
現代アートのセクションで、無数の緑色の甲虫(タマムシ)を集めて作った鎧の彫刻『フランダースの戦士』を出展したヤン・ファーブル。
実は、『昆虫記』で世界的に有名なアンリ・ファーブルのひ孫にあたります。彼が虫の死骸や羽をアートの素材として愛用しているのは、まさに血筋と言えます。
•展覧会基本情報など
## 時代ごとに見る奇想の系譜
## 1. ルーツとしての15〜16世紀:フランドル絵画の怪物たち
* ヒエロニムス・ボス:人間の欲望や罪、それらを待ち受ける地獄のイメージを、魚や昆虫、身の回りの道具を組み合わせた奇怪な悪魔や怪物としてリアルに描き出し、奇想の伝統を築きました。
* ピーテル・ブリューゲル(父):ボスの強い影響(ボス・リバイバル)を受けながら、人間の愚行や風刺を独自の幻想的な世界観で表現しました。
## 2. 19世紀末:精神世界への逃避と象徴主義
* ジェームズ・アンソール:人間の偽善や虚飾を皮肉るために「仮面」や「骸骨」をモチーフにした、極めてユニークな作品群を残しました。
* フェルナン・クノップフ:目に見えない内面の世界や、静謐でありながらどこか不穏でエロティシズムを感じさせる夢幻的な世界を描きました。
## 3. 20世紀:現実を揺るがすシュルレアリスム
* ルネ・マグリット:日常のありふれた事物(鳥、帽子、空など)の組み合わせやサイズを狂わせることで、見る者の既成概念を覆す哲学的な絵画を生み出しました。
* ポール・デルヴォー:夜の駅や古代の建築を舞台に、無表情な裸婦や骸骨が佇む、孤独で夢のような独自の絵画世界を確立しました。
## 4. 現代:系譜を受け継ぐ現代アート
* ヤン・ファーブル:タマムシの羽を用いた彫刻など、生と死、変容をテーマに、中世からのベルギー美術のDNAを刺激的な手法で引き継いでいます。
## なぜベルギーで「奇想」が育まれたのか?
この地域は歴史的に何度も大国の戦場となり、支配者が変わるという過酷な運命を辿ってきました。
そうした現実の厳しさや不安が、画家たちを「目に見える現実の写実」に留まらせず、「内面の恐怖や夢、ユーモアを交えた幻想世界」へと向かわせたと考えられています。
## 🏛️ 展覧会 概要
* 展覧会名:ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
* 展示規模:ベルギー美術のオールスター総勢30名による、およそ500年にわたる「奇想」の系譜をたどる約120点のコレクション
* 主催:Bunkamura、東京新聞
* 後援:ベルギー大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、J-WAVE
## 📅 東京展の基本情報(Bunkamura ザ・ミュージアム)
| 会期 | 2017年7月15日(土) 〜 9月24日(日) ※7月18日(火)、8/22(火)のみ休館 |
| 開館時間 | 10:00 〜 18:00(入館は17:30まで) ※毎週金・土曜日は21:00まで夜間開館(入館は20:30まで) |
| 会場 | Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横) 〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 |
| アクセス | JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩約7分 |
| お問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
## 🎫 チケット料金(当日券)
* 一般:1,500円
* 大学・高校生:1,000円
* 中学・小学生:700円
* ※20名以上の団体割引や、お得な前売券(2017年7月14日まで販売)もありました。
## 🚌 日本国内の巡回情報
実はこの展覧会、東京だけでなく日本国内の3つの美術館を巡回した大規模なプロジェクトでした。日本国内での全体のスケジュールは以下の通りです。
1. 宇都宮美術館:2017年3月19日〜5月7日
2. 兵庫県立美術館:2017年5月20日〜7月9日
3. Bunkamura ザ・ミュージアム:2017年7月15日〜9月24日(グラントフィナーレ)
【naotoより】
ボスってネーデルラントというイメージですが、ベルギーの方なんですね。
同じネーデルラントでも、ブリューゲル一家はオランダの方ですけどね。
ボスの絵は、小さい頃に見たらトラウマになる人もいそうですね。
