トイ・ストーリー5から考える人間関係
人は、ずっと同じ距離ではいられない
先日、トイ・ストーリー5を見た。
子どもの頃なら、ただおもちゃたちの冒険を楽しんでいたと思う。
でもおじさんになった今は、少し違うところが気になった。
仲間との距離。
役割の変化。
誰かに必要とされたい気持ち。
置いていかれたくない不安。
おもちゃの話なのに、ずいぶん人間くさい。
映画を見ながら、僕は職場や家族、昔の友人のことを考えていた。
人間関係は、ずっと同じ形ではいられない。
昔は毎日のように話していた人と、いつの間にか連絡を取らなくなる。
頼ってくれていた後輩が、自分で判断できるようになる。
何でも「パパ」と呼んでいた子どもが、少しずつ一人でできるようになる。
良い変化のはずなのに、少し寂しい。
人間は面倒くさい。
頼られすぎると疲れるのに、頼られなくなると寂しくなる。
近すぎれば息苦しいのに、離れると不安になる。
僕は昔から、この距離の変化が苦手だった。
相手の返事が少し遅い。
前より話しかけられなくなった。
別の人に相談している。
それだけで、
「嫌われたのかな」
「もう必要じゃないのかな」
と勝手に考えてしまう。
相手に何も聞かないまま、自分の中だけで話を進める。
そして傷つかないように、自分から距離を取る。
今思えば、かなり面倒くさい人間です。
でも、人間関係がこじれる時って、案外こういうものだと思う。
怒っているように見えて、実は寂しい。
冷たくしているように見えて、実は傷つくのが怖い。
「別にいいけど」と言いながら、全然よくない。
僕にも覚えがあります。
介護の現場でも、関係は変わっていく。
新人の頃は、先輩が怖かった。
何を聞けばいいかもわからず、声をかけるだけで緊張した。
でも、少しずつ仕事を覚えると、関係も変わる。
教わる側だった自分が、相談される側になる。
そして今度は、自分が後輩との距離に悩む。
どこまで教えるか。
どこまで任せるか。
どこまで踏み込むか。
近すぎてもいけない。
遠すぎてもいけない。
人と人の間には、たぶん正解の距離なんてない。
その時々で、少しずつ調整していくしかない。
だから大事なのは、昔と同じ関係を守り続けることではないのだと思う。
相手が変わったら、関わり方も変える。
自分の役割が変わったら、距離も見直す。
昔のままではいられないことを、裏切りだと思わない。
ここが難しい。
昔みたいに話せない。
前ほど頼られない。
一緒にいる時間が減った。
そうなると、関係が終わったように感じることがある。
でも、距離が変わることと、大切ではなくなることは同じではない。
毎日会わなくても、大事な人はいる。
前ほど話さなくても、心に残る関係はある。
役割が終わっても、一緒に過ごした時間まで消えるわけではない。
トイ・ストーリーを見ていると、そんなことを思う。
ずっと隣にいることだけが、仲間ではない。
ずっと一番でいることだけが、絆でもない。
同じ場所にいられなくなっても、残るものはある。
僕はこれまで、人間関係で何度も失敗してきた。
言わなくてもわかるだろうと思った。
相手の気持ちを勝手に決めつけた。
寂しいのに、平気なふりをした。
言わなくていいことを言い、言うべきことを飲み込んだ。
人間関係が下手な人間の見本市みたいなものです。
だから今は、少しだけ言葉にした方がいいと思っている。
「ありがとう」
「助かった」
「最近どう?」
「また話そう」
その程度でいい。
人は思っているほど、こちらの気持ちを察してくれない。
こちらも、相手の気持ちはわからない。
だから、不器用でも言葉にする。
それだけで切れずに済む関係もある。
もちろん、言葉にしても終わる関係はある。
もう戻れない関係もある。
でも、それまでの時間に意味がなかったわけではない。
人間関係には、たぶん季節がある。
近くにいる時期もある。
少し離れる時期もある。
また重なる時期もある。
そのまま戻らないこともある。
それでも、一緒にいた時間は残る。
トイ・ストーリー5を見て、僕はそんなことを考えた。
人は、ずっと同じ距離ではいられない。
でも、変わることは、終わることではない。
相手を自分の近くに置き続けることより、変わっていく相手を認めること。
そして、その時の距離で関わり直すこと。
それが、人間関係を続けていくということなのかもしれない。
おもちゃの映画を見て、ずいぶん真面目なことを考えてしまった。
映画館ではポップコーンを食べていただけなんですけどね。
経験は誰かの希望になる。
読んでくださった方、ありがとうございました。
またお越しください。
やまにぃー
