肝細胞癌に対するマイクロバブルを用いた放射線増感:第Ⅱ相無作為化試験における安全性と有効性の評価

Microbubble-based Radiosensitization of Hepatocellular Carcinoma: Evaluation of Safety and Efficacy in a Phase II Randomized Trial
Microbubble-based Radiosensitization of Hepatocellular Carcinoma: Evaluation of Safety and Efficacy in a Phase II Randomized TrialRadiology


Abstract

背景

 超音波造影剤はガスで満たされたマイクロバブルであり、超音波誘導マイクロバブル破壊(ultrasound-triggered microbubble destruction:UTMD)などによって局所的に破壊することができる。UTMD は、腫瘍を放射線に対して感受性化させる生体効果を引き起こす可能性がある。しかし、肝細胞癌(HCC)患者において、UTMD と放射線治療を併用した際の有効性と安全性は明らかではない。

目的

 90Y(イットリウム90)経動脈的放射線塞栓術(TARE)を受ける HCC 患者において、UTMD の治療効果および安全性を評価すること。

材料と方法

 本前向き第Ⅱ相臨床試験は、2017年7月から2024年2月に実施された。90Y-TARE を予定されている HCC 患者を、UTMD を3回併用した 90Y-TARE(治療群)と、90Y-TARE 単独(対照群)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、MRI または CT を用いた modified RECIST による治療効果判定であった。副次評価項目には、安全性、全生存期間、次治療までの期間、肝移植の実施率、移植時の病理学的治療効果が含まれた。一般検査値やバイタルサインの変化は対応のある・ない t 検定で比較し、生存期間およびニ次治療までの期間はログランク検定により群間比較を行い、治療効果の分布は Mann-Whitney U 検定で比較した。

結果

 研究対象者は98名(平均年齢 69 ± 8.4 歳、男性 71名)であった。安全性解析では、治療群において初回 UTMD 前後のバイタルサインに有意差は認められなかった(全て P ≥ .07)。また、治療前後の一般検査値の変化についても、治療群と対照群の間で有意差は認められなかった(全て P ≥ .08)。
 治療効果に関して、対照群では安定(SD)34%(17/50)、部分奏効(PR)22%(11/50)、完全奏効(CR)44%(22/50)であった。一方、治療群では SD 4%(2/48)、PR 35%(17/48)、CR 60%(29/48)であった。つまり、UTMD の併用により CR+PR の割合は30ポイント上昇した(治療群 96%[46/48] vs 対照群 66%[33/50];P = .01)。
 全生存期間は治療群の方が対照群より良好であり、死亡ハザード比は 0.51(95% CI:0.28–0.95、P = .03)であった。

結論

 90Y-TARE 単独と比較して、UTMD を併用したマイクロバブル放射線増感療法は、安全性が同等で、治療効果の改善と生存期間の延長が得られた。
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 Radiology 2025年9月号、トーマス・ジェファーソン大学からの多施設共同Phase II試験です。本文は読めていません。欧米ではイットリウム90を塞栓物質に含侵させたRadioembolizationという手法が、肝動脈化学塞栓療法の効果を上回るとして、10年以上前から行われてきました。超音波照射によるマイクロバブルのキャビテーションによって癌細胞に抗癌剤を導入する基礎実験の話は聞くのですが、放射線増感効果というのは不勉強で知りませんでした。

 治療成績はとても良いのですが、引っ掛かる点はII相試験の98例のエントリーに対して、7年間を要していることです。放射性物質を使用するのでカテーテル室全体に遮蔽の設備が必要で、大掛かりになることから導入可能な施設がかなり限られるということがあります。日本でRadioembolizationが受け入れられなかった大きな理由かと思われます。

 Figureに超音波照射の画像が載っていますが、それほど画像全体の輝度は髙くはなく、音圧はあまり髙くないのかなと想像します。HIFU、ヒストトリプシーと、超音波照射による治療が少しずつ拡がってきているということが感じられました。

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