イラストから空想した世界を書いて下さい。(ショートショート)雪明りとかさじぞう
深々と降り積もる雪の中に、六体の地蔵が静かに並んでいた。
吐き出す息は白く、辺りは凍てつくような静寂に包まれている。
市場で売れ残ってしまった数枚の笠を抱え、おじいさんは足を止めた。
ひび割れた石の頭には容赦なく雪が積もり、まるでお地蔵様たちが寒さに耐えているように見えたのだ。
「これでは、あまりに寒かろうて」
おじいさんは凍えた指先で、一つ、また一つと、売り物にならなかった笠を地蔵の頭に被せていく。
冷たい風が吹き抜ける中、おじいさんは言葉を失くしたように、ただ黙々とその作業を続けた。
藁の感触を確かめながら、丁寧に紐を結び、雪を払う。
ふと目を向ければ、遠くの里にある家の灯りが、雪の結晶を反射してきらめやかに光っていた。
暖かな囲炉裏を囲む家族の気配が、黄金色の光となって闇の中に浮かび上がっている。
その光景はあまりに美しく、おじいさんの凍てついた心を仄かに温めた。
最後の地蔵に自分の手ぬぐいを巻いてやると、おじいさんは満足げに頷いた。
「お地蔵様も、これで少しは温かくなったと、喜んでくださっていると信じよう」
家々の灯りに背を向け、真っ白な帰路を歩き出す。
おじいさんの背後で、笠を被った地蔵たちは、降りしきる雪の中で静かに、そしてどこか誇らしげに佇んでいた。

Fin。
※この小説はフィクションです。
登場するモノや人物は存在しません。
↑この企画に参加しました。
ありがとうございました。
