イラストから空想した世界を書いて下さい&【第42回】3つのお題に空想のひらめきを(ショートショート)空にひらく小さなドア、虹の向こう側
それは、まぶたの裏に広がる、どこか懐かしく、けれど見知らぬ場所だった。
私は、深い眠りの淵で、不思議な夢を見ていた。
どこまでも続く、吸い込まれるような蒼穹。
その真ん中に、ぽつんと、木製の小さなドアが現れた。
それは、まるで空が呼吸を止めた瞬間に生まれた、秘密の入り口のようだった。
「あそこに行かなきゃ」
私は、その空にひらく小さなドアを目指して、綿飴のように柔らかい雲の階段を一段、また一段と上り始めた。
足を踏み出すたびに、雲は優しく私を受け止め、心地よい浮遊感が全身を包む。
ようやく辿り着き、錆びついたノブを回してドアを開ける。
その向こう側には、言葉を失うほど美しい光景が広がっていた。
何重にも重なり合う虹が空を彩り、光の粒子がダイヤモンドのようにきらめいている。
「さあ、雲の上の忘れ物を取りに行こう」
誰かが囁いたような、あるいは私自身の心の声がしたような、不思議な意志が胸を突いた。
忘れ物? それが何か、今の私には分からない。
けれど、それは、成長という長い坂道を上る途中で、いつの間にか心の中に置き忘れてきた、大切で、そして脆い何かであることだけは分かった。
このドアの向こうに広がる光景は、もしかしたら、私が今まで見てきた、けれど忘れてしまった夢の欠片かもしれない。
夜のすきまに落ちた夢を一つひとつ、丁寧に拾い集めて、もう一度私の心の中にしまおう。
あの頃の、純粋で、真っ直ぐな心を取り戻すために。
私は、光の溢れる世界へと足を踏み出した。
Fin。
※この小説はフィクションです。
登場するモノや人物は存在しません。

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ありがとうございました。
