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(ショートショート)猫にこんばんは

 僕は仕事が終わって、暗い夜道をトボトボと歩いて帰っていた。

 街灯の光だけが輝く中、一匹の猫が、その小さな体に光を受け止めながら、僕のほうへまっすぐ歩いてきた。


 「君も独りかい?」

 僕は、その猫に向かって静かに「猫にこんばんは」と挨拶をした。

 猫は一瞬立ち止まり、やがて僕の後についてくる。

 どうせ明日は休みだ。今日は、この猫と普段なら歩かない遠い公園まで、一緒に過ごそう。

 この街のどこかで、誰にも知られず、けなげに暮らしている猫。そして、僕。

 誰も歓声を上げない夜の静けさの中、目立つのだけが正解ではないはずだ、と僕は強く感じた。

 僕は、夜道を歩く猫との静かな連帯に、そっと心を温めた。


Fin


↑この企画に参加しました。
ありがとうございました。