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「つなぐ」の裏側-学生奮闘記-

一人の学生が、教員から一本の動画を紹介されました。
YouTubeで観たのは、北村仁&UD DANCERS JAPANのパフォーマンス。
最初は「すごいダンスだな」と感じながら見ていたそうです。
ところが、映像を見終わった直後に教員から「あれは手話にもなっているんだよ」と聞いて驚いたと言います。
瞬間的に、学生の中で何かが動き出しました。
「この人たちと一緒に公演をつくりたい!」
その衝動こそが、すべての始まりでした。

やがてこの学生の心の中に、一つの問いが生まれました。
「障がいのある人も、そうでない人も、共に楽しめる公演を創るには?」
自身の想いを形にしようと学生は企画書をまとめ、「企画制作演習Ⅱ」の授業課題として提出しました。この授業では、学生が考えた約20本の企画案の中から、教員による選考を経て2本が採択されます。第一次選考は5月、第二次選考は6月。厳正な審査を通過し、「つなぐ」は正式に授業の中で動き始めました。

採択されたその日から、学生たちの奮闘が始まりました。
北村仁&UD DANCERS JAPANへの出演依頼はもちろん、本学ならではのオリジナルな舞台とするために、ジャズコース/ポップ&ロックミュージックコースの先生方へ「Showa Dream Band」の結成をお願いするという大仕事がありました。先生方は「学生の力になりたい」と心よく引き受けてくださり、その言葉に学生たちは胸を熱くしました。支えてくださる存在のありがたみを、身をもって感じた瞬間でもありました。

さらに、チラシデザインや広報の打ち合わせ、手話通訳や字幕、ヒアリングループ、車椅子席の設置など、多様な方々が舞台を楽しむための工夫を一つひとつ形にしていきました。その過程で、想像以上に多くの調整や判断が必要なことを学生たちは悟っていきます。授業時間だけでなく放課後も集まり、意見を交わしながら議論を重ね、ときに迷いながらも少しずつ「つなぐ」の輪郭を描き出していきました。

学生たちが議論を重ねる「運営研究所」

プロジェクトがスタートしてから3ヶ月後の9月6日、平塚で行われた「手話とダンスで世界をつなぐ UD LIVE 2025 手話ダンスで世界記録に挑戦!」を、学生と共に観に行きました。そこで一同は、衝撃を受けました。照明が落ち、音楽が始まると空気が一変します。UD DANCERS JAPANのメンバーの中には聴覚に障がいを持つダンサーもいますが、まるで音を聴いているかのように踊り、手のひらが言葉を奏で、身体が音を語る…。息を呑むような集中と見えない呼吸の重なりの中で、「この人たちと、本当に舞台をつくるんだ」ということを、学生たちは静かに実感しました。

10月には、NKZ(中尾ゼミ生)で、公演のブランドムービー(おまけのNG集も含む)を撮影しました。出演は学生たち自身で、編集は教員と学生が一緒に行いました。セリフのテンポや動きを確認しながら、何度も撮り直しを重ねます。撮影後には、慣れないナレーションの収録も。約90秒という短い映像の中に、半年間の想いをどう込めるか…。試行錯誤の末、「一人でも多くの方にこの公演のことが届くように」と、NKZのゼミ生3人は真剣にカメラの前に立ちました。

公演準備を進める中で、思うようにいかないこともあります。むしろ、思うようにはいかないことだらけです。それでも学生たちは、「どうすればこの公演の魅力を知っていただけるのか?」「どうすればお越しくださる方の心に届くのか?」を必死に考え続けています。その姿を見ていると、アートマネジメントとはまさに人に寄り添い、心を動かし、誰かを幸せにするための仕事・学問なのだと感じます。

大変なことも多いのですが、学生たちにはこの経験を通じて、「アートマネジメントとは、人を幸せにする幸せな仕事である」ことを、感じとってもらえたらと願っています。

「つなぐ」~音楽と手話ダンスが心を結ぶ~

2025年 11 月 22 日(土)17時(開場16時30分)
会場:昭和音楽大学 北校舎5F スタジオ・リリエ


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