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【第5回】古墳時代②古墳時代後期に見る、国家形成の歩み

ヤマト王権は大王おおきみが全体を統治し、それに各豪族が服属する形で王権を構成していた。
古墳時代は日本列島が統一国家へと向かう大きな転換期となった。


1.氏姓制度

氏姓制度はヤマト王権による統治の仕組みである。
それぞれの豪族たちは血縁関係で結ばれた(うじ)と呼ばれる同族団をなしていた。この氏は「地名」を氏の名前とするもの(高市群蘇我邑を本拠地とする蘇我氏など)と、「職業」を氏の名前にするもの(軍事や刑罰の職務にあたった物部氏など)に大別された。
大王はこの氏に(かばね)と呼ばれる位階を示す称号を与えた。
地名を由来とした中央の氏には「おみ」を、職業を由来とした中央の氏には「むらじ」を与え、地方の有力豪族には「きみ」、その他の豪族には「あたい」を与えた。
こうしてヤマト王権は骨組みを整えていった。

2. 聖帝・仁徳天皇

仁徳天皇(松岡寿 筆)

16代天皇の仁徳天皇は、その徳の高さから「聖帝」と称えられた。
仁徳天皇が眠るとされる大仙陵古墳(仁徳天皇陵古墳/大阪府堺市)は全長が525mにも及び、面積は世界最大を誇る。
手作業で土を盛り上げて作られたこの古墳は、10tトラック27万台分の土を使用しているとのことで、奴隷のいない日本でこの大きさの古墳を作り上げたところに凄みを感じる。
まさに聖帝と言われた仁徳天皇の人徳と偉業を今に伝えていると言える。

〈仁徳天皇の民を思う逸話〉
仁徳天皇が高い山から国を見渡すと、どの家からも竈の煙が昇っていなかった。その様子を見た仁徳天皇は、民の苦しみを憂い、3年間の税を免除した。
3年後、家々からは竈の煙が立ち昇った。
しかし仁徳天皇は税を取ろうとせず、さらに3年間、税を免除した。
この逸話は、仁徳天皇の民への深い愛情を示している。
一方で自らは質素倹約に努めた。税収が無いため宮中は修繕や改修もできずすっかり荒廃した。
今度は民が立ち上がった。
これまでの恩返しとして、荒廃した宮殿を民自らが新築に建て替えた。

その他、仁徳天皇は、河内平野一帯での治水工事など大規模な公共事業を行い、農業生産の向上に尽力した。
仁徳天皇の治世は、後の天皇たちにも模範とされ、日本の国家形成に大きな影響を与えた。

3. 文字の登場

5世紀に入ると、日本でも文字が使われるようになった。
稲荷山古墳(埼玉県)や江田船山古墳(熊本県)から出土した鉄剣や鉄刀には、「獲加多支鹵大王(ワカタケル大王)」、つまり21代天皇の雄略天皇の名前が刻まれていた。
雄略天皇は、『宋書』倭国伝にも登場する。
この時期、日本の天皇は5代にわたって宋の皇帝へ朝貢を行っていたとある。
『宋書』では5人の天皇はそれぞれ、「讃」・「珍」・「済」・「興」・「武」という名前で記されており、5人目の「武」こそが雄略天皇であった。

猪狩りをする雄略天皇(安達吟光 画)

この朝貢は、高句麗をはじめとする朝鮮半島の国々から、「」という権益を守るための外交手段であったと考えられる。
雄略天皇はこの朝貢で、6国(倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓)の軍事権を宋の皇帝に認めさせた。
宋の滅亡後、日本は独自の道を歩み始め、推古天皇の時代まで中国への朝貢を停止した。
稲荷山古墳(埼玉県)から出土した鉄剣の銘文には「倭の大王」、また江田船山古墳(熊本県)から出土した鉄刀の銘文には「治天下大王」の称号が現れていることから、大陸の冊封体制からの独立を目指す雄略天皇の意思がうかがえる。

4. 百済経由で大陸文化を取り入れる

朝貢を停止し、推古天皇の時代の聖徳太子による遣隋使派遣による外交再開までの間は、日本は朝鮮半島の百済を経由して大陸文化を取り入れた。
取り入れるだけでなく独自に変化を加えた。
「漢字」を基に「平仮名」や「片仮名」を生み出すなど、日本独自の文字文化が発展した。
この時期に『帝記』や『旧辞』といった歴史書が編纂された。
今は失われた文書であるが、後年の『古事記』編纂の基礎となった。

5.古墳時代の終焉

古墳時代は538年の仏教伝来とともに終焉に向かう。
蘇我氏は仏教を肯定し、物部氏は仏教を否定した。
蘇我氏と物部氏が対立するが、政略結婚で影響力を高めた蘇我氏系の天皇が続き、仏教は歴代天皇により肯定されるようになる。
また、前方後円墳は天皇と同じ形の古墳を作ることで朝廷との繋がりを世に知らしめる役割も持ったが、律令国家に向けた国づくりに向けて、天皇の権威を明確にすることが重要視される中、天皇の墓のみに特別性を持たせるような考え方に変わり、前方後円墳は姿を消していった。
前方後円墳に最後に埋葬された天皇は30代敏達天皇である。

古墳時代は、日本が国家としての基盤を築き、大陸文化を取り入れながら独自の文化を育んだ重要な時代であった。

次は飛鳥時代ですね。

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