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採血が苦手すぎて隣の人と目が合ってギョッとされる



採血が苦手だ。

血が抜かれていくのをじっとみていられる人もいるだろうが、私はそれができない。
今まさに血管を流れているものを針で吸い出しているのだ。

吸血されたらゾンビになってしまうではないか。恐怖。

苦手な理由は他にもある。

採血のため私が腕を差し出すと、たいていの看護師さんは「う〜む」という顔になる。

必ず「う〜む」タイムがあるので、採血をするときは両腕を差し出すようにしている。

だが、もう一本腕が足されたところで看護師さんの唸りは「う〜〜〜む」と長くなるだけなのである。

血管が埋もれているのだ。

2回くらい刺し直されることは当たり前になっている。
仕方ないとはいえ、痛いのが多いのは嫌だ。
だから採血があるとつい身構えてしまう。


数年前、人間ドックに行った時のことだ。
わりと若い看護師さんが採血の担当だった。
生年月日を告げ、両腕を差し出す。

数秒の「う〜む」タイムの末、左腕から採ることになった。

私は腕から視線を逸らすため右上を向く。

一発で採れたらいいなぁと思いながら「採りにくい腕ですんませぇ〜ん」などと軽口を叩く。

カラ元気である。

思い切り隣の人を見ているような格好になってしまうが許してほしい。


この時だけ血管がジョジョの作画並に浮き上がる魔法が使えたらいいのに……


そんな願いもむなしく、ちくっとした痛みが左腕に走る。

「血管探しちゃってすみません!」と謝られた。

看護師さんの「う〜む」タイムは針を刺してなお続いているらしく、針は血管を探していた。血管が見えたんじゃなかったのか。

ちくっ&う〜むタイムがじわじわ続くのはわりと拷問である。

結局血管は見つからず、針を抜いて再トライになった。
「すみません!もう一回刺しますね」
看護師さんもちょっと焦っている。

『大丈夫、まだあわてるような時間じゃない』と私の心の中の仙道がつぶやくが看護師さんに聞こえるはずもない。

再度左腕に針が刺さるがこれまたダメだった。

「本当にすみません、右腕でお願いしてもいいですか?」

この間、隣のブースを眺め続けているような格好になっているため、やってきた人と目があってしまいギョッとされること数回。
すみません針を、注射器を見たくないんです……。

ちょうどこのときは夏真っ盛り。
朝食を抜いて水分を取らずにいるのでむくんでいるのもあったのか右腕もダメだった。

私の血管よ何処へ???

「何回もすみません!!ちょっとベテランの人呼んできます〜!」


ついにベテラン看護師さんにバトンが渡された。
私の血管が埋もれているばっかりに申し訳なさすぎる。

「よろしくお願いしますね〜」

ベテラン看護師さんが私の前にピットインした。
圧倒的ベテランオーラが感じられ、これで何とかなるだろうとまた両腕を差し出す。

「じゃあ左でいきましょうかね。暑いから大変よねぇ〜どこからきたの?」
「あ、〇〇からですぅ〜〜」

さすがベテラン看護師さん。

リラックスを促してくれる心遣いが染み渡る。

雑談をしている間にチクリとした痛みが腕に走る。

刺しますよと言われるより素知らぬ顔で刺してもらった方がいいタイプだ。
わかってらっしゃる。
さぁこれでドゥルっと取れるであろうとベテラン看護師さんも私も思っていた。

が、


「おかしい、血管に刺さっているのに(血が)上がってこない……!」
「へ?」


さすがの私も見知らぬ天井から自分の腕に視線を戻した。

針は刺さっているが、注射器の中身はカラのままである。


ベテラン看護師さんから笑顔が消えていた。

ジョ○゛ョだったらコマ背景に「ドドドドドド……!」と効果音が浮かびこの後絶対ピンチに陥るフラグである。


えっワイ、死んでる????? リビングデッド???????


自分の体なのにコントロールが出来ないというのはちょっと怖いものがある。


「ごめんなさいね、一回抜きますね」

まさかの4回目も成功ならず。

ベテラン看護師を持ってしても抜けない血。

私が左右の天井を見上げている間に両隣のブースでは軽く10人ほどが採血を終え去っていた。

いいなぁあの人たちには真っ赤な血潮が流れているんだ……と人間を羨むリビングデッド。

「へへ、もう水飲んだ方がいいすかねぇ〜〜?」
「いや、まだ検査あるんでしょ??」


リビングデッドは腹が減ったのと喉が渇いたのとでヘラヘラ軽口を叩くしかできなくなっていた。
絶対このあと禁忌を破り、何かに取り憑かれてやられるモブキャラムーブである。

「まあ何とかなるわよ〜」

その後少し雑談をしてから5回目のトライをすることになった。

ベテラン看護師さんの目が光った。(ように見えた)
針が左腕に刺さり、

「きた……!」

ベテラン看護師さんの静かなつぶやきが聞こえた。

ちらっと注射器を見ると血が上がってきていた。
真っ赤に流れる僕の血潮!!よかった、ワイ生きてた!!

「最高難易度だったわ……ほら、汗びっしょり」

ベテラン看護師さんが手を見せてくれた。手の甲に汗が浮き上がっているのが見えた。

そんなに??????
でも確かにジョ○゛ョだったらこの病院ごと事件に巻き込まれるフラグだったもんな!


その後の検査は問題なく進んだが、採血ではフェリチン鉄の値が6、ヘモグロビンも基準値を下回る結果となり
「子宮筋腫もテニスボール大になってるし貧血状態ですよっ!!」と婦人科の先生に言われた。


やっぱりリビングデッド状態であった。

現在もフェリチン鉄6からは脱したものの基準値は下回る状態が続いており、子宮筋腫を取る手術をするか鉄剤を飲みつつ様子見状態である。

ちらっと今年のカルテを見たら「採血困難者💉」とマークされていた。
申し訳ない。

このまま放っておいても貧血状態が良くなるわけではないが、悪性ではないので必ず手術をしなければならないというわけでもない何とも宙ぶらりんな状態だ。

手術かぁ……まぁ手術したらnote書けばいっか。と思いはじめている今日この頃である。

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