工務店経営の複線化——地域の住まい全体に関わるためのマインドセット
「住宅経営とブランディングの交差点」第2回目になります。
建材高騰・納期不透明化——住宅業界はいま、大きな転換点を迎えています。
そんな時代だからこそ、工務店経営者の皆さんに今、考えていただきたいことがあります。
それが、「工務店経営の複線化」です。
新築の棟数だけを目標にするのではなく、リフォーム・空き家活用・既存住宅の価値向上まで含めて、地域の住まい全体に関わる経営へ転換していくこと。
これからの工務店には、そのマインドセットが求められているのではないでしょうか。
では、なぜ今、工務店経営に「複線化」が必要なのか。
今回は、その背景と、これから求められる視点について整理していきたいと思います。
1,経営判断を停滞させる「流通・価格・納期」の不透明感
中東情勢の影響により、住宅業界にも大きな不透明感が広がっています。
ナフサを原料とする建材、設備、塗料、断熱材、樹脂系の部材など、家づくりに欠かせないものの価格が上がり、さらに最近では「価格が高い」だけではなく、「物が入りにくい」「納期が読みにくい」という声も聞こえるようになってきました。
これは、お客様にとっても、住宅会社・工務店にとっても、判断が難しい状況です。
これから注文住宅を検討しているお客様からすると、下記のような不安要素があります。
契約時点では予算が見えていたとしても、最終的にいくらで着地するのかがわかりにくい。
希望している建材や設備が予定通り入るのか、工事がいつ始まり、いつ引き渡されるのかも見えにくい。
こうなると、当然ながらお客様の気持ちは前に進みにくくなります。
住宅会社・工務店側も同じです。契約をいただいたとしても、
原価がどこまで上がるのか。
予定通りに着工できるのか。
予定通りに引き渡せるのか。
お客様にどこまで正確な説明ができるのか。
こうした不透明さの中で、積極的に受注を取りにいくことに慎重になる会社も多いのではないでしょうか。
2,「待つより今」を伝える——価格の現実から逃げず、顧客と納得の計画をつくる
ただ、今の状況を『新築は難しい』とだけ捉えるのは少し違うと思っています。
今後さらに住宅価格が上がっていく可能性を考えると、原価の不安定さはあるものの、実は「今、建てる家が一番安い」という見方もできます。
建材費、人件費、物流費、職人不足。長い目で見れば、住宅価格が大きく下がっていく未来は想像しにくい。
であれば、お客様に対しても、「今は不安定だから待ちましょう」だけではなく・・・、
「将来さらに高くなる可能性を考えると、今、動く意味もあります」
「大切なのは、不安を理由に止まることではなく、納得できる計画を一緒につくることです」
このような伝え方が必要になってくると思います。
また、分譲住宅にも、今ならではの価値があります。
すでに建っている分譲住宅は、現物を見ることができ、価格も明確です。
注文住宅のように「これからいくら上がるかわからない」「いつ完成するかわからない」という不安が少ない。
そのため、今のお客様にとっては非常に選びやすい選択肢になっています。
これまでの原価高騰や人件費高騰によって、価格が高くなってしまった分譲住宅も、今後さらに建築費が上がっていくとすれば、後から見たときに「今、建っているこの家が一番安かった」ということになるかもしれません。
だからこそ、分譲住宅を扱う会社は、単に値引きで在庫を動かすのではなく、
現物が見られること
価格が確定していること
すぐに暮らしをイメージできること
今後、同じ仕様で建てるともっと高くなる可能性があること
こうした価値をきちんとお客様に伝えていくことが大切だと思います。
また、中古住宅についても、今後は前向きに動いていく可能性があります。
特に、リフォームを大きくしなくても住める築浅の住宅や、もともと注文住宅としてしっかり建てられた中古住宅は、流通の中で注目されやすくなるのではないでしょうか。
これからは建てる住宅だけではなく、すでにある住宅にも目が向きやすい。
今は、このような市場環境になってきているのだと思います。
3,提案の幅が、工務店の強さになる——新築を守りながら、リフォーム・空き家活用で地域との接点を増やす
では、地域の工務店さんは何を考えるべきなのか。
私は、新築を諦める必要はないと思っています。
むしろ、新築の価値をもう一度、丁寧に伝えていくべきです。
ただし、新築だけに頼る経営は、これから少し難しくなっていくかもしれません。
人口は減っていきます。
住宅価格は上がっていきます。
お客様の判断も慎重になっています。
そして今は、価格や納期の不透明さもあります。
だからこそ、工務店さんは新築を大切にしながらも、既存のお客様との関係、リフォーム、空き家活用、中古住宅の価値向上といった領域にも、しっかり目を向けていく必要があると思っています。
3-①「地域の暮らしを守る」という大義のもと、既存顧客との向き合い方を強化する
まず、これからの工務店にとって大切なのは、今まで以上に既存のお客様に向き合うことです。
これまで家を建てていただいたお客様。
お世話になってきたお客様。
地域の中で、すでに関係性のあるお客様。
そうしたお客様を一件一件訪問し、点検を行い、修繕や改修、リフォームの相談を受けていく。
これは、新築が難しいから仕方なくリフォームをやる、という話ではありません。
家を建てた後も、その暮らしを守り続ける。
そこに、地域工務店の本来の価値があると思います。
もちろん、リフォームはすぐに大きな収益につながるとは限りません。
新築に比べれば手間もかかります。単価も低いかもしれません。
それでも、お客様との関係性を深め、地域の家を守り、未来の建て替えや大型改修につながる仕事として、今こそ本格的に取り組む意味があるのではないでしょうか。
3-②工務店が動けば価値に変わる——地域の「空き家」活用の担い手になれる強み
そしてもう一つ、UNIIDEO(ユニィディオ)としても以前から提案しているのが、空き家の活用です。
地域には、まだ使える家がたくさんあります。
空き家のまま放置されている家を借り上げ、必要な修繕をし、賃貸住宅やコミュニティスペース、グループホーム、宿泊施設などに転換していく。
新築を建てることと、空き家を活用することは、対立するものではありません。
地域に新しい住宅をつくることも大切です。
同時に、地域にすでにある住宅ストックを活かして、新しい価値に変えていくことも大切です。
この両方に関われることが、地域工務店の大きな強みです。
こうした空き家活用を進めるうえで、地域の不動産会社との連携は欠かせません。
工務店が「直す」、不動産会社が「人へつなぐ」。この両輪が揃うことで、空き家は地域の新しい価値に変わっていきます。
4,地域の暮らしを守り、地域の未来をつくる——これからの工務店に必要なマインドセットの転換
今、住宅業界は大きな転換点にあります。
原材料の高騰。
建材の供給不安。
人口減少。
新築価格の上昇。
お客様の慎重化。
どれも簡単な問題ではありません。
しかし、こういう時期だからこそ、会社のあり方を見直すタイミングでもあると思います。
会社のあり方が変われば、お客様に伝える価値や、工務店として関わる領域も変わっていきます。
新築の価値を伝える。
分譲住宅の安心感を伝える。
中古住宅の可能性を伝える。
既存のお客様との関係を深める。
リフォームで暮らしを守る。
空き家を活用し、地域の資産に変える。
工務店さんは、ただ家を建てる会社ではありません。
地域の暮らしを守る存在です。
地域の住まいの価値を高める存在です。
地域の未来をつくる存在です。
新築を大切にしながら、リフォームや空き家活用、既存住宅の価値向上まで含めて、地域の住まいに幅広く関わっていくこと。
そこに、これからの工務店さんの可能性があるのだと思います。
工務店さんが地域の住まいに深く広く、関わり続けること。
それ自体が、将来、地域のブランド力の向上や地域活性化などにも大きく貢献していくのだと思います。
そう信じて、UNIIDEOは工務店・不動産会社の皆さんとともに歩み続けます。
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