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【香川】天才の明暗 | 平賀源内 旧邸 | 香川県さぬき市 | 2011年アーカイブ


「器用貧乏」

平賀源内という人名を聞いて、自分がまず思い浮かべる言葉がそれだ。

江戸時代の科学者、発明家ということで、源内については小学生の頃から結構興味を持っており、本などでいろいろ調べたりした。有名な「エレキテル」や、源内が広めたともいわれる「土用の丑の日のうなぎ」に限らず、博物学、絵画、戯作、浄瑠璃、鉱山開発など、ありとあらゆる方面に才能を発揮しており、まさしく天才と呼ぶべき人物であったのは間違いない。

ただ、その多才さとは裏腹に、鉱山開発をはじめ思うような成果につながらなかった事業も多い。エレキテルにしても、西洋から伝わった装置を復元したものであり、その後広く実用化されたわけではなかった。

時代がこの天才についていけなかった面もあったのだろうが、一方で、源内自身も一つの物事を地道に突き詰め続けるタイプではなかったように思える。もしかしたら、俗にいう「秀才」型の人物であったなら、どれか一つの道で大成していたのかもしれない。

とにもかくにも、あれほど多方面で活動しながら、本人が本当に目指していたところには達しないまま、最後には殺傷事件を起こして投獄され、獄中で亡くなった。
子供ながらに、「天才という職業も大変だな」と思ったものであった。

ということで、香川二度目の来訪でようやく来ることができた。

旧邸には現在、それほど多くの展示物はなく、少し離れた平賀源内記念館で見ることになる。
記念館自体はそれほど広くないが、資料や解説は充実しており、多少なりとも源内に興味がある人であれば、十分見応えのある内容だと思う。

ただ、個人的には源内の功績を称賛する内容が中心で、そのダークな部分への踏み込みが少ないのが少々物足りなかった。

展示の中に源内の住居の変遷、というか江戸市中での引っ越し先を示したものがあり、その中に橋本町の「凶宅」という説明があった。
この橋本町の家は、以前住んでいた者が悲惨な末路を迎えたなどとして不吉な噂のあった屋敷で、源内はそこへ移り住み、その後この家で殺傷事件を起こしている。
説明の中でわざわざ「凶宅」とカッコ付きで書くのであれば、そうしたエピソードまで紹介した方が分かりやすいと思うのだが、その説明がないため、少々中途半端な印象を受けてしまう。

「何でもできるマルチ才能人間」というだけでなく、単なる天才への賛嘆だけでもなく、その多才さゆえの迷走や、晩年の悲哀まで紹介されていれば、人物としての平賀源内がもっと立体的に見えてきたのではないかと思う。



国道11号から少し外れた古い通りに源内の旧邸がある。
無料の駐車場が用意されているが、それほど広くはなく、自分が乗って来た軽のレンタカーでも後方にあまり余裕がない。


源内の顕彰会による施設なので仕方ないが、あまり何にでも「先生、先生」と付けるのはどうかと思う。


「平賀源内先生旧邸」の説明板でありながら、肝心の建物についての説明があまりない説明板。

係員のおばちゃんによると、この場所は平賀家の旧宅で、現在の建物は源内の死後、家督を継いだ妹の家系によって建て替えられたものらしい。
実際、現在残る主屋は文久2年(1862年)の建築とのこと。
つまり、「平賀源内が住んでいた江戸時代そのままの家」というわけではない。


源内への熱い思いが書かれた説明板。


平賀源内記念館が建つまでは、ここに展示品の多くが展示されていたらしいが、現在はそれほど多くない。
源内ゆかりの家の雰囲気を味わうにはいいかもしれない。


旧邸内部。
源内の子孫と思われる父親、母親、娘(嫁?)、その息子があちこち姿をあらわして妙にアットホームだった。
娘(嫁?)さんから薬草園で採れたと思われる薬草で作ったお茶をいただき、説明を受ける。


酢屋だったころの出入口。
説明がないと少々分かりにくいのが残念。


パンフレットや人物誌など、有料・無料を問わず、たくさんの源内関連資料が並ぶ棚。
よくまぁこれだけ源内関係の書籍をそろえたもんだな、と小さな驚き。


置かれていたエレキテル。

ないとは分かっていても、ものすごい電流が流れてくるのではないかと怖々ハンドルを回すも無反応。

ちょっと強気になってダイナミックに回してみても、やはり無反応。

骨格が透けてしまうほどの電流が流れても困るのだが、自分が壊したと思われるのはもっと困る。

仕方ないので、使い方を聞くこともせずにスルー。


小中学生の発明を発表する「第27回平賀源内発明くふう展」の作品が展示中だった。
こちらは優秀な作品に与えられる「源内賞」獲得作品。

子供の作品ながら、自分が苦手な電気や物理を駆使しているのが悔しいのでスルー。

「今年40歳で二児の父、それでいいのか?」
と自問するも、
「それでいい」
という結論を得る。


こちらも電気その他を駆使した優秀作品ながら、次点ということで許せた作品。

自分も小さい頃は科学者になりたくて、よく実現不可能な設計図をよく書いたものだ。
それに対し、これらの作品は当然ながら設計図だけでなく実物であり、そのうえ実際に動くものばかり。
こうした機会をきっかけに科学や物理に興味を持つ子供たちが増えていけば、日本の将来も安泰だ。

でも悔しいからスルーだけどね。
たとえそれが小学生相手であろうとね。


源内の人生を紹介しているパネルというか絵。
場所の都合もあるのだろうが、少々読みにくい。
やはりというか、晩年の殺傷事件については描かれていない。


裏にある薬草園。
源内の著書『物類品隲』に掲載されている薬木・薬草を含め、100種類以上が植えられている。

初老のおじいさんが草木の面倒を見ていた。
人当たりのいい人だったが、気が小さいので、
「源内さんの子孫ですか?」
とは聞けなかった。

まぁ、いつものことだが。


薬草園の由来書き。
平成16年(2004年)8月、台風16号による高潮・塩害で薬草園は壊滅状態となったらしい。
その後、源内薬草研究会などによって復旧が進められ、平成19年(2007年)に再生されたとのこと。


はとむぎ、なつめ、きはだ等々。
十六茶に入ってそうな薬草が名を連ねる。


アスパラガスが薬草だとは驚きだが、それ以上に驚いたのがこの姿。
アスパラガスって、ほっとくとこうなるのかと驚愕せずにはいられない。


アスパラガスの隣に植えられていた「げんのしょうこ」
その姿や効能はどうでもいいのだが、その「源野 祥子」チックなネーミングが気にいったので撮影。


椿。
効能は止血、滋養…、

養毛!


だいだい。
効能は健胃…、

抜け毛防止!


薬草園の中に復元された源内焼の窯。
源内焼は、源内の指導によって志度の陶工たちが製作した焼き物とのことらしいが、具体的に何が特長なのかよく分からない。


「源内焼クラブ」の皆さんの作品が天日乾燥中だった。
普通の陶芸作品との違いは最後まで分からなかった。


薬草園を出て、旧宅の裏に建つ源内像を見に行く。
昭和9年建造ということで、なかなか年季が入った像だ。


なかなか恰幅のいいデザインだが、何となく右手の造形がおかしい気がする。
足元に置かれているのはエレキテル。

電極から出たカールした電線が、ボヨヨ~ンという感じで、壊れた機械っぽい

旧宅、記念館の前は古い家屋が並ぶ通りで、「源内通り」と名付けられた観光ストリートとなっている。
残念ながら、それほど観光客の姿は見られなかったが。


源内通りの幟。
右手にウナギ、左手にエレキテルを持ったデザイン。


通りのあちこちには、同時期に生きた人々による源内評が記されたプレートが展示されている。

杉田玄白は源内との交流も深く、源内の死後に墓碑を記している。
「ああ非常の人、非常のことを好み…(現代語訳)」は有名。

源内に蘭画を学んだ小田野直武は、玄白らによる『解体新書』の挿絵を描いた人物でもある。


旧宅から西へ100mほど行ったところにある石灯籠
当時この一帯には、高松藩の年貢米を保管する大きな米蔵と付帯施設があったが、現在は幕末に建てられた石灯籠などにその名残を見ることができる。


用心掘と石灯籠の説明板。


旧邸の外観を撮影していると、30過ぎくらいの女性が二人、旧邸の駐車場に車を滑り込ませてきた。

助手席の眼鏡をした小太りの女性は、車が停まるや否や、嬉々とした表情で降りてきて、いきなりマンホールを2,3枚撮影すると、続いて旧宅を撮影しだした。

怒っている時に、自分よりさらに激怒している人を見るとなぜか冷めてしまうのと同じで、ものすごいテンションで撮影し続ける女性を見て、自分はクールダウン。

嵐のような撮影が終わると、女性達は旧宅内へ。
ぽつんと取り残された自分はとりあえずマンホールを撮影してみた。
源内関係かと思ったら特別関係なさそうなデザイン。

……あの人達は源内マニアなのか、マンホールマニアなのか…。
やっぱり女性の方がパワーがあるなと思いつつ、車に乗り込んだ。


旧邸から東へ500mほど行くと、平賀源内記念館がある。
平成21年(2009年)に開館した記念館で、残念ながら館内は撮影禁止。

館内には平賀家の家系図や、源内が11歳の頃に作ったとされる「からくり掛け軸」、源内焼、源内が描いた蘭画、エレキテルなど、内容豊富な展示が並ぶ。

ただ、冒頭で書いたように、源内の陽の当たる部分を中心に紹介している感があり、その点では少々物足りなかった。


旧邸でもらった「源内まちぶら帖」を参考に付近を散策しようかと思ったが、よくよく見てみると付近の商店の紹介ばかりだったので、いまいち使えず撤退。

まぁ文句ばかり書いてしまったが、源内という人物自体には今でも非常に興味がある。

しかし、西田敏行主演の「翔んでる!平賀源内」はひどかったなぁ。


<おわり>

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