CPAO WORKS|なぜ、シーパオはチョコレートをつくるのか
現場より──子どもと社会のはざまで
私たちは、最初からチョコレートをつくりたかったわけではありません。
シーパオは、子どもの貧困や虐待をなくしたいという思いから、食事、居場所、相談の活動を続けてきました。
「まずはごはん!」は、今も大切な入口です。
おなかがすいているときに、きれいごとは届きません。
まず食べること。
まずつながること。
そこからでなければ始まらないことが、たくさんあります。
でも、現場を続ける中で、何度も見えてきたことがありました。
ごはんだけでは、命と尊厳を守りきれない。
食べるものが届き、少し安心して、困りごとを話せるようになっても、その先に役割や仕事がなければ、暮らしはまた不安定になることがあります。
食支援も、相談も、居場所も必要です。
けれど、子どもを支えるには、親の暮らしも支える必要があります。
そのためには、食べ物や相談だけでなく、役割や仕事につながる道も必要でした。
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シーパオが、シングルマザーや若者の仕事づくりを本格的に考え始めたのは、2020年ごろです。
コロナ禍で仕事や収入を失い、暮らしが急に不安定になる人が増えました。
その中で始めたのが、子どもたちのお弁当づくりでした。
経済的な支えであると同時に、役割や出番をつくる試みでもありました。
そこから少しずつ形になってきたのが、CPAO WORKSです。
チョコレートづくりを始めるきっかけの一つは、長年応援してくださってきたネパリ・バザーロさんから提案をいただいたことでした。
ネパリ・バザーロさんに背中を押していただき、関西よつ葉連絡会さんにも販売面で支えていただきながら、少しずつ育ててきました。
ただ商品を増やしたかったのではありません。
支援の先に仕事をつくる。その一つの形として、チョコレートづくりを始めました。
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シーパオの支部がある和歌山県橋本市では、自然栽培でハーブや果物を育てています。
畑で育てたものを、加工し、商品にする。
育てる仕事と、つくる仕事がつながることにも、大きな意味があります。
そして、チョコレートは、関わる人にとって取り組みやすい仕事でもありました。
一度でうまくできなくても、もう一度溶かしてつくり直せます。
やり直しながら覚えていける。
親に頼れなかった若者や、しんどい経験を重ねてきた人にとって、最初から「失敗できない仕事」は大きな負担になることがあります。
何度でも試せることが、失敗への怖さを少し下げてくれます。
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必要な制度につながり、暮らしが少し安定しても、それまでの傷つきや心身の不調が、すぐに消えるわけではありません。
制度やお金だけでは埋まらないものもあります。
自分にも出番があること。
自分にも役割があること。
自分で選びながら、何かをつくれること。
そうした感覚が、少しずつ人を支えることがあります。
ここで言う尊厳は、立派に働くことでも、誰かの役に立てることでもありません。
役に立てるかどうかにかかわらず、自分にもいてよい場所があると感じられること。
そのうえで、自分の役割や出番を持てることです。
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私たちが目指しているのは、
「かわいそうだから買ってもらう商品」
ではありません。
これは、支援のおまけではなく、仕事です。
きちんとおいしく、自分たちでも納得できるものをつくる。
そのうえで、商品として選ばれる。
そこまで成立して、初めて仕事になります。
仕事として続くからこそ、若者やシングルマザーが、それぞれのペースで関わり続けられる場になります。
最初は自信がなく、続けられるか不安そうだった人が、
「もっといろいろチャレンジしてみたい」
と、次にやってみたいことを話すようになることもあります。
子どもが、働くお母さんの姿を見て、
「お母さん、かっこいい!」
とうれしそうに言うこともあります。
仕事を通して得られるものは、収入だけではありません。
自分にもできることがあると感じられること。
誰かと一緒につくること。
次の一歩を、自分で選べるようになること。
そのことが、本人だけでなく、子どもの安心や誇りにもつながっていくのだと思います。
まだ小さくても、この道を自分たちの手で育てていきたい。
チョコレートは、そのために生まれた仕事です。
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