休学日記⑤
Bocchiさんの後は、少しお盆休みで旅行をして、8月中旬ごろから約1ヶ月間、鳥取県智頭町にあるパンとビールを作るタルマーリーさんでインターンをさせていただきました!
タルマーリーのパンは本当に美味しく、素材の味を感じられます。そしてたくさんの経験と学びを今回もさせていただき、感謝しています。
著書もとっても興味深い内容なのでぜひ、読んでみてください!
インターンをした理由
※休学決意までの過程などは、休学日記①に書いています。
私はこの休学期間の最初のインターン先の方から、もともと本で紹介されていたのを見たことがあったタルマーリーにも、インターン制度があることを教えていただき、田舎のパン屋さんであるということ、天然の菌を使って素材の味を引き出すパン作りをしていることが、単純に面白そうだし、素敵だなと思い応募しました。自然栽培やオーガニックに関わりを持っていると、発酵や菌のことは必ず話に出てくるのですが、私はそこまで詳しくもなく、意欲的に勉強するまでに至っていないというのが現実です。ただ、そういうお話を聞いたり本を読んだりすると、すごく腑に落ちるというのがいつも感じることでした。だから、よくわからないけど、きっと大きな学びがあるだろうという思いを持ち、参加させていただきました。
また、ローカルでのお店作りにも関心があったので、鳥取県の智頭町という美しい自然と共に暮らしながら、働かせていただく経験をしたいと思いました。
何をしたのか
実際の業務としては、パンの製造補助・発送業務・カフェ・ホテル・イベントの補佐など多岐にわたりお仕事をさせていただきました。業務を行う中で学ぶことや感じることの他にも、オーナーのイタルさん、女将のマリコさんを中心としたさまざまな方との関わりを通じて、多くの学びを得ることができ、本当に感謝しています。
タルマーリーでは、発酵や菌に関することや、素材の大切さなど、パンとビールづくりのこと以外にも、田舎での商いのこと、家族や人のあたたかさ、仕事との向き合い方や自分がどう生きていくかというところまで、たくさん学ばせていただいて、間違いなく私の最後のインターン先として、ふさわしい場所でした。
タルマーリー以外でも、私が休学をしてお世話になった場所では、特定の知識やスキルを得る部分もあれば、考え方や生き方について人から学ぶことが多かったように思います。



美味しかった〜
何を感じたか
ここで感じたことは、大きく分けて3つあります。
1つ目は、家族についてです。タルマーリーでは、オーナーのご夫婦と、学生のお子さん二人と一緒にお仕事をする場面もありました。なかなかできない経験です。お子さんが小さな頃から、イタルさんとマリコさんはタルマーリーとしての事業をしてきたわけですが、協力という言葉だけでは収まりきらないほど、進む先・目的を定めて、時には話し合い、意見をすり合わせながらも、同じ方向性で進んでいくことができているということに、感銘を受けました。それに加えて子育てもしてきたお二人ですが、私と話す中で、「子供がいるからできないということはないよ」「むしろ助けてくれる存在」というふうにお話をされていました。マリコさんはどんなに忙しくても、お子さんをおんぶしながら働いていたそうで、“離れなかったこと”が、今に生きているとおっしゃっていました。今ではお二人のやっていることを理解して、手伝ったり、その経験や家庭環境を生かして、自分なりに学ぶ方向を選択したりしている姿が、とても印象的です。家族の協力と言うよりは、家族がひとつのチームという言葉の方がしっくりきます。それは、「協力しないと、助けないと」という気持ちではない気がしたからです。今まで培ってきた家族の形そのものに、当たり前のように染み渡っているお互いを尊重する気持ちが、感謝の気持ちとともに行動に現れている気がしました。
単純に、現在の家族間の「仕事と暮らし」両方における連携プレーも素晴らしいのですが、それができるのは、イタルさんとマリコさんが今仕事としてやっていることは、自分の感情や経験を大切にしてきたからだと思います。そしてそれは日々の暮らしを見つめることにもつながり、それを新たな動機として仕事を選択しているということです。なぜ、パンとビールを作り、地域内経済を回すのか、ここに行き着くまでのストーリーにはお二人が社会に対する違和感や、自分がぶつかった壁に真剣に向き合い、考え、熱中してきたものがあります。その中に、家族が増えたり、環境が変わったりすることで、新しい考え方ややるべきことを再確認して、ステップアップしていった歴史があるのです。だからこそ、家族みんなにとって価値があるものだし、みんなが一緒になってトライできる環境になるのだなと感じました。
2つ目は、田舎での小商いについてです。イタルさんの著書「腐る経済」をぜひ、読んでいただきたいです。マルクスの「資本論」を紐解きながら、現在の働き方や食に対する矛盾を指摘してくれます。私は衣服の大量廃棄問題を知った頃から、利潤ばかりを追求する世の中に疑問を感じていましたが、その疑問の中身を深めてくれたように思います。労働力さえも商品になる仕組みで、結局自分の首を締めることになるというお話が、とても勉強になりました。個々人が生産手段を取り戻すことが大事とされていて、そういう人たちが町に還元する仕組みを作っていくことになり、地域内で経済がまわり、じわじわと良くなっていくという流れを作りたいという考えが、今のタルマーリーにつながっているのです。
私はずっと自分が幸せになるために行動してきたつもりなのですが、「行動力すごいね」とか「農業に興味あるなんて珍しい」みたいな意欲的な活動をして熱心だという見方をされることもあります。それはそれでありがたいのですが、自分の心地良さや豊かさを考えた結果こういう活動にもつながっているので、けっして自分をよく見せようとかお金がたくさん欲しいという部分を重視したわけではなかったということは、よかったなと自分を認めてあげたいです。評価されることに固執したり働く意味を見失ったりせずに、主体的な働き方を実現させることができる気がしています。
この資本主義社会の矛盾や、生きることと働くことについて、イタルさんの本の他にも関連する本を読んだり、周りの人と会話したりしていて、すごく納得というか、感動してしまい、なかなか言葉にならないのですが、今は社会課題に向けて取り組む組織や人、SDGsという概念が浸透してきたからこそ、それが「流行」的な意味合いを含むものも増えてきたような気がしていました。ですが、イタルさんが考える「腐る経済」では、現状に真摯に向き合い、しっかりと足元を見てから自分たちがやるべきことをされていて、単にそれが見せ物のようになっているのではなく、課題の根本を掘り起こしているイメージが素晴らしいと感じました。
3つ目は、目的と手段に沿った働き方の選択についてです。事業をする中で、人を雇うことが1番難しいとお話をされていました。やっぱり自分たちがやりたいことを一緒になって創造していくためには、「働いてみたい」のレベルがどのくらいなのか重要になってきます。スタッフがたくさんいるわけではないので、自分の力で実行する力も必要です。だからこそ会社の軸をいかに理解できるかが大切だと感じました。また、お二人の著書を読んで来る方の中には、「想像と違かった」というような理由で去る方もいるみたいで、期待してしまう部分には自分の主観が大きく関わっていたり、外側から物を見たりしているのかもしれないと感じました。いかに自分の中にその想いを組み込むことができるのか、そしてそれを自分の意思の表現として仕事に生かすことができるのかが、どんな働き方であったとしても、大事にしていきたいことだと思います。
また、現在の販売スタイルで一生懸命にやっていても、何か理不尽な指摘を受けると、それに悩まされることもあるようで、本来の目的を考えた時に、それは重要なのかな?と考えながら、今後そのスタイルを止める選択肢も視野に入れているというお話もされていました。このように、自分たちが夢中になるほどやりたいことに深い意味があるからこそ、選択していかなければならないことも多く出てきます。その時に初心に帰り、今何をすべきなのか、改めて考える時間も大事だと思います。何か問題があったとしても、後悔するのではなく、それは目の前のことをより良くしていくための手段を選択した結果だからこそ、次はそれをどう変化させたら問題を改善できるのか考えることが重要で、ないものよりもあるものに着目するのだということを学びました。


最後に
タルマーリーでインターンをしている期間中、イタルさんマリコさんのおかげでたくさんの出会いがありました。それは、人はもちろん、考え方や本、新しい興味などさまざまな分野での出会いです。そしてそれらは、これまで自分が社会に対して「なんで?」と思うことに対してモヤモヤがすっきりするような言葉をくれたり、一緒に考えてくれたり、ヒントもたくさんいただきました。おかげで私のこれから、将来のことがとてもポジティブに考えられるようになり、楽しみになりました。ゆっくりでもひとつひとつの経験をしっかり次に繋げて、自分の道を進んでいきたいです。
ここで休学中の活動は終了になりますが、卒業論文について準備をしながら、この休学を生かして内容を深めていました。ざっくりとしたテーマは「暮らしと仕事の分断」に関することを書きたかったのですが、あまりにもスケールが大きく、いろいろな切り口があるなと考えていました。そして論文は良し悪しを論ずる物ではありませんが、私の主観では分断があまりなされていない方が良いと思ってしまう部分がありました。しかし、この分断にはさまざまなフェーズがあって、世の中が良くなっていくためにはそうするべきだった時代もあるという考え方に出会いました。それは、その時代の人たちが選択しているし、今こうして現代に生きている私たちが、歴史を振り返っているからそういう捉え方もできるので、「立場・役割」をキーワードに、それらを最大限発揮できるような手段を選ぶことが大事だということを教えてくれた気がします。選択肢をたくさん持つことができるような社会を作っていくことが、今の私たちに必要なのではないかと考えました。
少なくとも、ここでの経験は必ず私の中で生きていきます。なぜ私が地方に魅力を感じるのかは、Bocchiさん(ひとつ前のインターン先)で学んだことにも書きましたが、新しく付け加えるとしたら、「排除しない」からではないかと思います。たくさんの人がいるわけでもないし、だからこそルールがたくさんあるわけでもありません。田舎特有の問題はあるかもしれないけれど、自然の中に身を置くことができるから、地球から排除されず、助け合いが必要だから人から排除されず、むしろあたたかな関係を気づけるチャンスがたくさんあり、心の豊かさにも影響するのではないかと思います。この「排除しない」考え方は、タルマーリーのイーストを使わないパン作りからも学んだことです。自然栽培も何も「排除しない」です。排除しないということは否定しないことにもなりますが、伝え方によってはそう感じる方もいるということが十分に考えられます。物事はすべてつながっているから、ひとつの物差しで見てしまいそうなところを一度踏みとどまって考えてみると、目的と手段に合わせた行動ができるのではないでしょうか。社会的な活動を概念だけで捉えるのではなく、自分たちの暮らしと仕事を通じて、人生をかけてやっている人たちとともに働くことができて、とても刺激をいただきました。
文章がまとまらず申し訳ありません...働くこと以外でも、智頭の暮らしでは温かみを感じる場面がたくさんありました!お気に入りの図書館、豊かな自然と素敵なお料理を提供するみたき園さん、カッコ良すぎる職人技を見せてくださった大塚刃物鍛冶さんなど、ひとつひとつの瞬間が、私にとって大事なことを教えてくれた気がします。そして私の彼の働くレストランとタルマーリーのご家族にもつながりがあったことを知り、偶然ながら、何かご縁を感じました。同じ想いや方向性に向かっている人は必然的につながるのだと思います。
ここでしかできない貴重な機会をくださったイタルさんマリコさん、そして関わってくださった皆さん本当にありがとうございました!また会いましょう〜!


職人技とお人柄が素敵すぎました



