コールセンターのはなし。



大学生の時、2年間コールセンターのアルバイトをしたことがある。損保の下請けの会社で、保険金請求の電話受付や、軽い事故の査定をするという仕事内容だった。3年生の就活で保険業界に興味を持ち、その業界に少しでも触れておこうとアルバイトに選んだ。

わたしは火災保険の部署に所属することになり、壁が壊れたり、お風呂から水漏れしたりなどのさまざまな事故の受付を担当することになった。アルバイト採用はわたしのみで、他はベテラン社員さんばかりの会社だった。年上の女性の方が多く、仕事の1から丁寧に教えていただいた。

少し会社に慣れてきたころ、取り扱う事故の数が多いということで、今までのやり方では捌ききれなくなり、わたしも簡単な家財の査定を任せてもらえることになった。わたしは派遣社員のBさんに査定方法を教わった。Bさんは特にわたしに優しく接してくださり、質問すればなんでも教えてくれた。

そうして査定にも慣れてきた時、わたしは室長に呼び出された。わたしの査定方法が間違っており、会社に損害を出してしまったということだった。呼び出した室長は、わたしに自分から会社を辞めてほしいということを遠回りに伝えた。「あなたは損害保険業界を見てみたくて入社したのでしょう。それならもうその目的は果たしたんじゃない?」

4年生の秋ごろの話だった。一人暮らしをしていたわたしは、このアルバイトがなくなってしまったら生きていくことができない。

邪魔者を消したいのだなと、漠然と感じた。会社の損害は、同時に元請けの損害になる。わたしがいなくなれば、元請けに顔が立つだろう。処分しましたと、問題は解決しましたと、胸を張って言えるだろう。

でも、わたしにこの査定方法を教えたのはBさんだ。わたしはBさんのやり方を真似ただけだ。そう伝えると、室長は「それはあなたの解釈違いでしょう?」と言い放った。絶句した。会社は、何も守ってくれないのだなと学んだ。あと半年で退職する大学生のわたしなんかより、長年細々と働く時短勤務の派遣さんの方が会社にとって大事だ。わたしはただ会社が雇ってくれているだけの存在なのだと身をもって体感した。

席に戻ると、隣のBさんはバツが悪いような顔をしていた。わたしはもう笑えなかった。

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