中医学薬剤師が教える タイプ診断の食材選びは対処療法。伝統薬膳が「なぜ」から始まる理由
はじめに
TikTokライブで、こんな質問がありました。
「薬膳の本を読んで、瘀血タイプと診断されました。おすすめの食材を教えてください」
その気持ち、よくわかります。でも少し待ってください。そのタイプ診断、結果に対して食材を当てているだけになっていませんか?
なお、このブログで紹介する薬膳レシピはあくまでも参考です。本来の薬膳はもっと個別に、もっと深く考えるものです。その話を今日はしたいと思います。
結論
タイプ診断の結果に食材を当てるのは対処療法です。
伝統薬膳は「なぜそのタイプになったのか」という原因を探るところから始まります。原因が違えば、同じタイプでも必要なアプローチはまったく変わります。
理由
タイプ診断は「結果」にすぎない
最近の薬膳本には、タイプ分け診断がよく載っています。
気虚タイプ(エネルギー不足)
血虚タイプ(血の不足)
陰虚タイプ(潤い不足)
気滞タイプ(ストレスで気が滞る)
瘀血タイプ(血が滞る)
痰湿タイプ(水分代謝の乱れ)
診断して、そのタイプに合った食材を食べる。一見、理にかなっているように見えます。でもこれは対処療法です。
西洋医学で「高血圧だから降圧剤を飲む」というのと、発想は同じです。最近の漢方薬も同じで、「生理不順だからこの漢方薬」という使い方が増えています。症状や結果に対して何かを当てる。それが対処療法です。
伝統薬膳は「なぜ」から始まる
伝統薬膳の考え方は、ここが根本的に違います。「なぜ、そのタイプになったのか」を先に考えます。
たとえば、同じ瘀血タイプでも、原因は人によって違います。冷えから来ている人、ストレスから来ている人、食生活から来ている人。年齢・性別・既往歴によっても、アプローチはまったく変わります。
原因がわかれば、内側からのアプローチ(食事・薬膳)と外側からのアプローチ(整体・運動・入浴)を、その人に合わせてオーダーメイドで組み合わせることができます。
タイプが同じでも、あなたと隣の人では、必要なものが違うのです。
薬膳レシピ
5月の薬膳レシピ:鶏肉と春菊の生姜炒め
気の流れを整え、冷えによる滞りをほぐす一品です。
材料(2人分)
鶏もも肉 200g
春菊 1束
しめじ 1/2パック
生姜 1かけ
醤油 大さじ1
ごま油 小さじ1
塩・こしょう 少々
作り方
鶏肉はひと口大に切り、塩・こしょうで下味をつける。
生姜は千切りにする。
フライパンにごま油を熱し、生姜を炒めて香りを出す。
鶏肉を加えて焼き色がつくまで炒める。
しめじ・春菊を加えてさっと炒め、醤油で味を調える。
薬膳ポイント
春菊:気の巡りを助け、胃腸の働きを整えます。香りの成分が気の滞りをほぐします。
生姜:体を内側から温め、冷えによる滞りをほぐします。気と血の流れをスムーズにする働きがあります。
鶏肉:気を補い、体を動かすエネルギーを与えます。消化に優しく、胃腸が弱っているときにも向いています。
まとめ
タイプ診断の結果に食材を当てるのは対処療法。西洋医学の発想と根本は同じ
伝統薬膳は「なぜそうなったか」の原因を探るところから始まる
原因に対して、内側・外側からオーダーメイドでアプローチすることが本来の薬膳
同じ食材でも、調理方法や組み合わせによってその人に合った薬膳に変えることができます。それが伝統薬膳の面白さであり、奥深さです。
病気が怖いのではなく、知識がないことが怖い。正しい知識を持つことが、自分と大切な人を守ることにつながります。
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