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息子の誕生日に絵本をつくった話

11月は、息子1歳の誕生日というビッグイベントがあった。

初めてのバースデーなのだから、なにか記念になることをしたい。私が得意なことといえば、小説を書くこと、同人誌をつくること……同人誌……どうじんし……ハッ!

「そうだ、絵本をつくろう」

というわけで、息子1歳の誕生日のために絵本をつくった話である。

※なお、文中に会社名やサービス名が頻出しますが、アフィリエイトなどではございません。オタクが個人的に好きなものを語っているだけの記事です。




1.企画とリサーチ


絵本制作を考え始めたのが7月ごろだった。
まずGoogleで、「絵本 同人誌 印刷所」といったワードを調べ、取り扱っている会社を探す。
私がつくりたい絵本はボンヤリ以下のような感じだったので、これに対応できる会社を探した。

・ハードカバー本(上製本)であること
・判型A5くらい
・1冊から印刷可能なこと
・原稿作成のテンプレートがある、もしくは原稿作成上の説明がわかりやすい
・メールorアップロードによるデータ入稿が可能であること
・できれば低価格

絵本のボンヤリ構想


こうした条件で絞った結果、プリントオン株式会社を使うことに決めた。


プリントオンに決めた最大の理由は、過去に何度か同人誌制作でお世話になったからである。
このため、テンプレートのつくりや入稿の仕方がわかっているし、先方の応対の感じも知っている。だから安心感があった。

また今回、絵本の形式で同人誌をつくるのは初めてである(ふだんは小説専門)。
文字中心の同人誌とイラスト中心の同人誌とでは、テンプレートや原稿作成の方法が異なる。そして私は、イラスト中心の同人誌制作をしたことがない。

こうした不慣れな条件もある状況ならば、よりいっそう、慣れた会社に頼んでリスクを回避したほうがいい。
というわけで、プリントオンへお願いすることにした。

まず専用ページへログインして、本の仕様などをざっくり決めた仮見積をつくる。

プリントオンには「フルカラー本セット」「文庫本セット」「特殊紙セット」など、さまざまな本のセット商品がある。
自分がつくりたい本の装丁に合わせて、使いたいセットを選ぶのである。たとえば、和風の紙や加工を使った本にしたい場合は「和風セット」という具合だ。

私はハードカバー本セットを選んだ。
同時に本の判型(A5、B6など本の仕上がりサイズ)、表紙や本文に使う紙、施したい加工などを選んでゆく。

プリントオンは、使える紙の種類や加工が多くて楽しい。装丁にこだわりたい派にとっては、たまらなくワクワクする。
ずらりと並ぶ使用例を見ているだけでも楽しいので、興味がある方はぜひ公式サイトをご覧いただきたい。

そして、もっとも重要なのがページ数と印刷部数である。2つの条件によって、最終的な金額が変わるためだ。
現時点では原稿を作成していないため、ページ数を確定できない。このため、仮のページ数を見積もっておく。

また、今回は関係しないが、ふつうの本はページ数が決まらなければ背幅(本の厚み)も確定しない。背幅が決まらないと表紙もつくれないので、この点でもページ数は重要である。

小説本だと、たいがいこのページ数はのちのち変わる(私の場合は大幅増)のだが、絵本はそう変わらないはずである。絵本が100ページなどになることは、まずないからだ。
今回は全20ページと想定した。最終的にページ数は変わらなかったので「あ~よかった」というところである。

部数は2部とした。1部が本体、もう1部は乱丁・落丁があった場合や、息子が破壊したときにそなえる予備である。
本当は印刷部数が多いほど単価も下がるため、1部や2部だけ発注するのは大変コスパが悪い。しかし今回は息子の誕生日プレゼントなので、そこは考えないことにした。

こうして仮見積を作成し、なにが見たいかというと入稿までの締切日時である。
当たり前だが、本の作成=原稿がなければ始まらない。なので見積から締切日時を割り出し、原稿完成のためのスケジュールを立てるのだ。

また、プリントオンは入稿の早割特典がある。この特典を使い、納品日を極力後ろに倒し、逆に入稿日を限界まで早める。
こうすることで大幅な値引きができるのだ。この早割特典を使うと、いろいろ装丁を盛っても安めになるのでお得である。
(ただ、イベント参加する場合は納品日を後ろ倒しにできない。この場合は、自分が早めにスケジュールを立てるしかないのだが……)

私もこの早割特典を使わせていただき、仮見積を作成した。
こうして本の仕様やスケジュールを決めたところで、原稿作成にとりかかる。


2.原稿作成


原稿でまず必要なのは、本の方向性決めである。

今回は息子1歳の誕生日用ということで、いままで撮った写真を活用した絵本にしたいと思った。
このため、写真を絵画風にアレンジして、美術館の展示を回覧していくような進行の絵本にするのはどうだろうと考えた。

方向性が決まったら、まず文章だけの本文を作成する。
小説本であれば、その前にプロット(物語の展開を記した概略)を作成するのだが、絵本の長さであればそこまでは必要ない。いきなりWordでの本文作成にとりかかった。

とにかく本文さえ完成すれば、原稿のページ数を確定させることができる。なので、完成した時点で見積を正式にとりなおす。
そして発注手続きまで済ませ、入稿の締切日時・納品日も確定させる。

こののち、イラストを組み合わせた正式な本文を作成する。
プリントオンは、各セットごとに原稿作成用のテンプレートを用意してくれている。私もこれを使わせてもらった。

私はイラストや表紙の加工に、FireAlpacaというフリーソフトを使っている。フリーだが使い勝手がよく、これまでも小説本の表紙やおしながき作成に利用してきた。


以下は今回の作業風景である。

作業風景


また、私は自分で絵が描けない。このため、写真以外のイラスト部分については、いらすとやを使わせてもらった。


商用利用は制限ありだが、今回は個人的な息子用の絵本である。なので非商用として使わせてもらっている。
商用利用をお考えの方は、公式サイトの「ご利用について」と「よくあるご質問」をご覧いただきたい。

そして、写真部分の加工はQnipaintというアプリを利用した。


無料アプリなだけあって広告が多いのだが、写真はどれも綺麗に加工できたので満足である。また、同じ水彩画でも複数のタッチで作成できたのはポイントが高かった。

このようにして、本文を作成してゆく。

最初はレイアウト配置などの調整に時間がかかるが、慣れれば1時間で3~4ページくらい作成できる。
しかし長時間パソコンを見つめていると、目も体もバキバキである。そのうえ私は、産後に体調を崩しまくっている虚弱女だ。
このため、確実に集中できるのは2ページくらいが限度であった(子どもも起きるし)。

また、本文と並行して表紙もつくる。
背景色は息子に似合う(と個人的に思っている)やわらかめの空色で、絵画を連想させるデザインにした。

表紙作成風景


なお、表紙や本文に用いる文字のフォント(書体)も、オタクにとっては語り倒したい領域である。

シンプルな明朝体やゴシック体以外でも、かわいいフォントや趣味ドストライクなフォントを見つけると大興奮してしまう。
しまいには、街で見かける広告やフリーペーパーに使われているフォントですら「あっこれは○○フォント」と分析しだす始末である。

というわけで、今回の絵本に使用したフォントも挙げておく。なお、まるがめ本丸ゴシック、えるまーはフリーフォントである。

・本文:まるがめ本丸ゴシックmini、HGPゴシックM
・表紙:えるまー、まるがめ本丸ゴシックmini

使用フォント


まるがめ本丸ゴシックは、やわらかい丸みとすっきりした細さが印象的なフォント。絵本の本文にぴったりだと思った。

https://www.flopdesign.com/marugothic/marugame-font.html

HGPゴシックMは、カギカッコや!?の記号に使用した。まるがめ本丸ゴシックにはこれらの記号が含まれていないので、代わりのフォントを使う必要があるためだ。

https://www.fontfactory.jp/font/detail/hggothicm/

えるまーは、まるまるしたフォルムがかわいいフォント。線が太めなので、表紙と背タイトルに使用した。漢字に対応しているのもありがたい。
(フリーフォントだと、ひらがな・カタカナのみの場合が多い)

https://fontfree.me/2359

これらのフォントを使い分け、表紙・本文を作成する。文字オタクとしては楽しくて仕方がない時間である。


3.校正と入稿


本文と表紙ができたら、入稿前に校正をする。平たく言えば全体の見直しである。

ふだんの小説本ならば、まず本文にバンバン朱を入れることになる。しかし今回は絵本なので、本文の直しはあまりなかった。

とはいえ、本文全体のレイアウトは揃えておかねばならない。とくに横書きの本の場合、見開きページの左右で文字やイラストの高さが合っていないと読みづらくなる。


このため、文字やイラストの配置にズレがないか、左右のページで文章量に差がありすぎないか、といった事項を確認するのだ。

また、表紙も点検する。
タイトルを画面の中央に配置したつもりでいても、印刷してみると左右どちらかに文字がズレている……というのはよくある話である。
なので、何回か印刷しながら微調整するのがいちばん早い。
(本当は本文も印刷すべきだが、今回は分量が少ないので省略した)

これらの内容を確認し、OKだと思えたらデータを入稿する。イラスト中心の本だと、ファイルをそれ用の形式(psdなど)に変換して入稿しなければならない。FireAlpacaは対応しているので、作業が楽である。

なお、今回入稿したのは9月15日だった。入稿締切が9月29日だったので、まあまあ余裕をもって入稿できたと思う。

私は極度の不安症なうえに自分の体力のなさを重々承知しているので、余裕のある日程でしか本をつくらない。締切に追われるプレッシャーに耐えられないからだ。

このため今回も、(息子の誕生日は11月だが)7月ごろから企画を始めるという石橋を叩きまくったスケジュールにした。虚弱人間による、一種の生き残り戦略である。

さて、入稿後の作業は印刷会社に完全バトンタッチとなる。

もし原稿に不備があれば、プリントオンの場合は連絡してくれる(連絡がない印刷会社もある)。
不備連絡があると急いで対応することになるが、さいわい今回は連絡がなかった。これで一安心である。あとは発送の連絡を待つばかりだ。

なお、私は本の印刷過程にも興味がある。
もし印刷会社で見学ツアーがあったら、ぜひ見てみたいな~と長年夢みているほどだ。
どこかの会社さんで対応してくれないだろうか……と、この場を借りて願望を語っておく。
(もしかしたら、すでに行っている会社があるかもしれないが)


4.完成


印刷部数が少なかったのもあってか、10月にはプリントオンから発送の連絡がきた。

中身は衝撃防止のプチプチと、本を痛めないようツルツルした感触の紙に包まれている。以下が完成品の絵本である。


なお、全体の装丁詳細は以下のとおりである。

・判型:A5
・部数:2
・ページ数:20
・表紙用紙:コート紙(クリアPP加工)
・本文用紙:コートカード180kg
・印刷方式:表紙、本文ともフルカラー
・見返し用紙:デュークブラウン

装丁詳細


A5サイズなのは、ふだん小説本でつくり慣れているため。部数とページ数については先述した。

本文と表紙の用紙は「とにかく厚くて破れにくそうな紙」という基準で選んだ。表紙にはクリアPP加工(表面をツルツルにする加工)を施している。また、絵本なので表紙も本文もフルカラーである。

見返しは、2枚目の写真左側に見えている薄茶色でしましまの紙である。レトロさと素朴なかわいさが感じられて選んだ。

こういう感じで、自分の好みやアイディアを好きなだけモリモリにできるのが同人誌のよいところだ。
今回も息子のためと言いつつ、実際は完全に私の趣味である。ビッグイベントに合わせて楽しませてもらった。


5.まとめ


産後は、なかなか趣味の同人誌づくりまで手が回らずにいた。

しかし息子の誕生日にかこつけて制作ができ、改めて「本づくりって楽しい~」とワクワクした。
さすがに毎年バースデー本をつくる気力はないが、機会があればまた息子のためのオンリー本をつくってみてもいいかなと思う。
(それと、ふつうに趣味としての小説本もまたつくりたい……)

本記事も完全に趣味全開のオタク語りとなったが、「本づくりって楽しそう」「おもしろそう」という気持ちが伝わっていれば幸いである。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


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