#16 ちいさな探検隊
毎日暑い。
もうすっかり夏である。
こんな日は、クーラーの効いた部屋から一歩も出たくない。
今日も朝からソファでぼーっとしていると、来た。
やつが。
頭に何かを乗せている。
「セミの抜け殻…?」
「ふむ。」
どや顔である。

「かっこいいじゃん。でも落とさないようにね。」
そう言ってテレビを見始めた。
しばらくすると、視界の端でかうぽんがちょこちょこ動いている。
「どうしたの?」
「ない…」
頭を見ると、抜け殻が消えていた。
どうやらどこかで落としたらしい。
「しょうがないなぁ~。一緒に探してあげるよ。」
そう言って立ち上がった瞬間。
クシャッ。
足の裏に嫌な感触が伝わった。
恐る恐る足を上げると、そこには無残な姿の抜け殻。
「あ…。」
かうぽんは大ショックを受け、
その後はまるで抜け殻みたいにしょんぼりしていた。
見ていられなくなって聞いてみる。
「新しいの、探しに行く?」
「行く。」
返事だけはやたら早かった。
* * *
夕方とはいえ外はまだ暑い。
保冷剤とスポーツドリンクを持って家を出る。
エアコンで甘やかされた体には、なかなか厳しい暑さだ。
スマホで調べた公園へ向かい、探検開始。
「かうぽん隊員、木の幹と葉っぱの裏を重点的に確認せよ!」
「らじゃ!」
しばらくして、
「はっけん!!!」
かうぽんが誇らしげに掲げた手には、立派なセミの抜け殻。
「やったな、かうぽん隊員!」
「ふむ。」
二人でスポーツドリンクを飲みながら、小さな祝勝会を開いた。
* * *
帰り道。
木の根元に、もう一つ何かを見つけた。
近づいてみると、抜け殻じゃない。
それは羽化する直前のセミだった。
「かうぽん隊員。」
「ふむ?」
「…見たいよね。」
「みたい。」
意見は一致した。
コンビニでアイスを買い、長期戦の準備を整える。
少しずつ背中が割れ、
白くてきれいな体がゆっくり現れる。
その間ずっと、隣では
「がんば…がんば…」
と、かうぽんが小声で応援していた。

約2時間後。
羽化を終えたセミは、夕暮れの中で静かに羽を伸ばした。
思わず二人で顔を見合わせ、小さくガッツポーズをする。
最初は
かうぽんの付き添いのつもりだった。
でも気が付くと
一番はしゃいでいたのは私だった。
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