見出し画像

柴犬コイン(SHIB)は本当に「オワコン」なのか 〜2日で4割高でも高値から94%安、1円説と億り人、今後と将来性を3層検証〜

こんにちは、ウマキです。

今回は、暗号資産のなかでいちばん名前が親しみやすくて、いちばん評価が割れている通貨をまるごと一本掘り下げていきます。柴犬コイン、ティッカーでいうとSHIBです。

この原稿を書いている2026年7月27日、柴犬コインはかなり妙な動きをしています。7月17日に1枚0.0000041ドルという1年で最も安い値段をつけたばかりなのに、そこから10日で25%近く戻し、7月25日から26日にかけての2日間だけで約4割も跳ね上がりました。時価総額はこの2日でおよそ10億ドル増え、一時は時価総額ランキングの25位圏まで戻っています。

不思議なのは、この上昇に理由らしい理由が見当たらないことです。プロジェクト側から大きな発表があったわけでもなく、同じ犬系の本家であるドージコインは同じ期間に6%しか上がっていません。売買を引っ張っていたのは韓国の取引所アップビットで、そこのSHIB/ウォン建てだけで世界の出来高の1割以上を占めていました。

一方で、この通貨に向けられる言葉は年々きつくなっています。オワコン、将来性がない、1円になるわけがない。ネット上に並ぶ評価は、価格が下がるたびに厳しさを増してきました。

ただ、通貨の値段が下がったという事実と、その通貨が終わっているという判断は、本来は別のものです。柴犬コインの中で実際に何が起きているのかを、感想ではなく数字で確かめていきましょう。

なお、筆者のブログでも株・仮想通貨の情報発信をしています。よかったら覗いてみてください。
👉【ウマキの株と草コイン】ブログはこちら!

👇以下の記事ではテンバガーを発掘する方法を、詳細に記載しています。そちらも併せて参考にしていただければ幸いです。


柴犬コインという通貨の成り立ち

柴犬コインが世に出たのは2020年8月です。作ったのは涼氏(Ryoshi)と名乗る匿名の人物で、本人が何者なのかは今日まで分かっていません。掲げていた目標は分かりやすく、ドージコインを超える犬の通貨を作るというものでした。

この通貨には、他の暗号資産とはっきり違う点がひとつあります。発行枚数が最初から1,000兆枚という、ほとんど冗談のような規模で設計されていたことです。ビットコインの上限が2,100万枚であることを考えると、その桁違いぶりが分かると思います。

もうひとつ、この通貨の歴史を語るうえで外せない出来事があります。涼氏は発行した全体の半分にあたる500兆枚を、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン氏へ勝手に送りつけました。宣伝のためだったとも、価格操作を防ぐためだったとも言われています。

送られた側は、これを持ち続けることも売ることも選びませんでした。2021年5月、ブテリン氏は受け取った枚数の9割にあたる410兆枚を焼却アドレスへ送り、永久に使えなくしています。当時の時価にして約67億ドル、日本円で1兆円を超える規模です。残りは寄付へ回されました。

いま流通している約589兆枚という枚数は、この歴史の結果として残った数字になります。誰かが計画的に減らしてきたのではなく、たった1回の出来事で半分近くが消えたというのが実態です。この点は、あとでバーンの話をするときに効いてきます。

その後の柴犬コインは、単なる冗談から抜け出そうとしてきました。独自の分散型取引所であるShibaSwap、ガス代と統治に使うBONE、発行枚数がわずか10万7,646枚しかないLEASH、新しく加わったTREAT。そして2023年8月には、イーサリアムの混雑と手数料を回避するための独自チェーン、Shibarium(シバリウム)を稼働させています。

ここまでを一言でまとめると、柴犬コインは冗談として生まれたあとに、真面目な道具を後付けし続けてきた通貨だといえます。この記事で見ていくのは、その後付けの部分が実際に機能しているのかどうかです。

日本の投資家にとって身近な点として、SHIBは国内の取引所でも普通に買えます。コインチェック、SBI VCトレード、bitFlyer、BITPOINT、OKCoin Japan、Binance Japanなどが取り扱っており、海外の口座を開かなくても円のまま手が届きます。

直近1年の値動きと、いまの立ち位置

価格 $0.00000515(約0.00084円) / 時価総額 約30億ドル(約4,976億円) / 時価総額ランク 30位 / 1Y変動 -63.4%

まずは足元の数字から押さえていきます。柴犬コインの価格は1枚あたり0.00000515ドル、日本円にすると0.00084円ほどです。1円の1,000分の1以下という単価なので、日本の取引所では100万枚単位で買うのが普通になります。

チャートを見ると、この1年の道のりがよく分かります。2025年の秋には0.002円台で推移していましたが、そこから坂を下るように売られ続け、2026年7月半ばには0.0007円を割り込むところまで沈みました。下げ止まった形跡がほとんど無いまま、1年で63%落ちたというのが正直な要約です。

そのうえで、いちばん右の端だけが跳ね上がっています。ここが冒頭で触れた2日間の急騰にあたる部分で、直近30日でみれば約22%のプラス、直近7日では約24%のプラスになっています。1年のチャートの中で、この上げがどれだけ小さな戻りなのかも同時に見えるはずです。

時価総額は約30億ドル、日本円で4,976億円ほどあります。順位は30位ですから、1万7,000種類を超えるといわれる暗号資産のなかでは、まだかなり上のほうに位置しています。日本の株式市場でいえば、東証プライムの中堅企業と同じくらいの規模感です。

上場から現在までを1枚にしたチャート

期間を最大まで広げると、この通貨がたどってきた道のりが1枚に収まります。2021年に一度だけ天を突くように跳ね上がり、そのあとは山が小さくなりながら沈み続けている形です。

史上最高値は2021年10月27日につけた0.00008616ドルでした。いまの0.00000515ドルは、そこから94.0%下がった水準になります。当時の高値で買った人の資産は、およそ17分の1まで縮んだ計算です。

その後も、戻す場面がまったく無かったわけではありません。2024年3月には0.0000455ドル前後まで買われ、2025年の春にももう一度大きな戻りがありました。チャート上では中くらいの山が2回できていて、どちらも数か月で崩れています。

注目したいのは、山が来るたびに前の山より低くなっている点です。2021年の頂上を100とすると、2024年3月の山は53にとどまり、2025年の山はさらに低い位置にありました。相場が良くなるたびに資金は戻ってくるものの、戻ってくる量が回を追うごとに減っています。

この形は、ミームコインが辿りやすい典型的な軌跡でもあります。最初の熱狂で集まった資金が二度と同じ密度では戻らず、参加者が入れ替わるたびに山が削れていく。5年チャートは、その過程をそのまま記録した1枚になっています。

💡5年チャートで見るべきなのは下落率よりも山の高さの推移だと思います。ここが下がり続けている限り、次の上昇局面でも同じことが起きる可能性が高いからです。

本家ドージコインとの比較

価格 $0.0731(約11.98円) / 時価総額 約114億ドル(約1兆8,599億円) / 時価総額ランク 11位 / 1Y変動 -69.2%

柴犬コインを語るとき、必ず比較対象になるのがドージコインです。もともと柴犬コインは、このドージコインを超えることを目的に生まれた通貨でした。

数字だけを見ると、勝負はまだついていません。ドージコインの時価総額は約114億ドルで、柴犬コインの約3.7倍あります。順位も11位と30位で、開きは小さくありません。超えるどころか、差はむしろ広がっているというのが現状です。

一方で、この1年の下落率を並べると景色が変わります。柴犬コインが63%下げたのに対し、ドージコインは69%下げました。格上のはずの本家のほうが、深く売られているわけです。

チャートを見ると、ドージコインは2025年の秋に35円前後だったものが、いまは12円を割り込む水準まで落ちています。柴犬コインと同じように、下げ止まらないまま1年が過ぎました。犬の通貨という枠で見た場合、どちらか一方が特別に失敗したという話ではないことが分かります。

ミームコインという枠ごとの下落

価格 $0.00000294(約0.00048円) / 時価総額 約12億ドル(約2,028億円) / 時価総額ランク 59位 / 1Y変動 -76.7%

範囲をもう少し広げてみます。2023年に登場して一時は市場をさらったペペコイン(PEPE)は、この1年で77%下げました。柴犬コインより14ポイント深い下げ方です。

さらに新しい世代を見ると、下げはもっと激しくなります。ソラナ発のボンク(BONK)はこの1年で91%下げて時価総額136位まで沈み、2024年に一世を風靡したドッグウィフハット(WIF)は86%下げて195位です。どちらも高値からは95%以上を失っています。

ここから分かるのは、柴犬コイン固有の失敗ではなく、ミームコインという枠そのものが売られているという事実です。新しい銘柄ほど深く沈んでいる点も見逃せません。資金が逃げるとき、まず切られるのは歴史の浅いほうからでした。

この構図は、投資判断のうえでかなり重要になります。柴犬コインの弱さを個別の問題として直そうとしても、枠ごと売られている局面では効き目が薄いからです。逆にいえば、枠の評価が変われば個別の努力とは関係なく戻る余地もあります。

相場全体と比べたときの深さ

価格 $64,765(約1,061万円) / 時価総額 約1兆3,000億ドル / 時価総額ランク 1位 / 1Y変動 -45.2%

最後に、相場そのものと並べておきます。ビットコインはこの1年で45%下げました。2025年10月に12万6,080ドルの最高値をつけたあと、ほぼ半値まで押し戻されている状態です。

つまり、いまは暗号資産の全体が下げている局面になります。そのうえで柴犬コインの63%という数字を見ると、相場より18ポイント深く売られたという位置づけになります。ドージコインの69%、ペペコインの77%と並べると、ミームコインの中ではむしろ浅いほうです。

暗号資産の市場全体の時価総額はいま約2兆3,000億ドルで、そのうち56%をビットコインが占めています。資金がビットコインへ集まり、周辺から抜けていく典型的な下げ相場の形です。柴犬コインの値段は、この地合いの上に乗っていることを頭に置いておく必要があります。

「オワコン」と言われてしまう理由

ここからは、この通貨に向けられる厳しい見方を、ひとつずつ数字で確認していきます。感情的な悪口ではなく、データとして反論しにくいものだけを並べました。

2万4,000ドルしか置かれていない自前チェーン

いちばん重い事実から始めます。柴犬コインが2023年8月に稼働させた独自チェーン、シバリウムの中身です。

この2年間で、シバリウムは累計15億6,000万件を超える取引を処理し、ブロック数も1,806万を数えています。数字だけ聞くと立派に見えるかもしれません。問題は、いま現在そこで何が起きているかのほうです。

2026年7月時点で、シバリウムに預けられている資産の総額(TVL)は2万4,014ドルでした。日本円にしておよそ390万円です。時価総額4,976億円の通貨が持つ自前のブロックチェーンに、軽自動車1台分の資産しか置かれていません。

分散型取引所の出来高は、さらに厳しい数字になります。6月23日から月末まではゼロが続き、7月9日にようやく17ドルの取引が成立しました。翌10日には275ドルまで増え、これが前日比1,517%増という見出しでニュースになっています。1日の売買が275ドル、日本円で4万5,000円の話です。

1日の取引件数も1,100件前後で推移しています。7月10日に一度5,170件まで跳ねましたが、翌日には1,280件へ戻りました。イーサリアムの手数料を回避するために作られたチェーンが、そもそも使われていないというのが現状です。

時価総額はTVLの12万倍を超えるという比率になります。ここまで実利用と価格が離れている例は、時価総額上位30位の通貨ではまず見当たりません。

累計15億6,000万件という数字と、いまの1日1,100件という数字の落差にも意味があります。稼働直後の2023年に集中して使われたあと、利用が細っていったということだからです。数字を累計で語るか、直近で語るかで印象がこれほど変わる例も珍しいと思います。

10本の鍵が奪われた2025年9月の事件

チェーンが使われなくなった背景には、決定的な出来事があります。2025年9月12日、シバリウムとイーサリアムをつなぐブリッジが攻撃を受けました。

手口は、暗号資産の世界でもかなり洗練された部類に入ります。攻撃者はフラッシュローンで担保なしに大量の資金を借り、それでBONEを460万枚買い集めました。BONEはこのチェーンの統治トークンなので、大量に握って検証者へ委任すれば、投票権の3分の2を一時的に占められます。

その結果、12本ある検証者の署名鍵のうち10本が制圧されました。残る2つの検証者は不正な処理への署名を拒みましたが、多数決の仕組みでは止められません。攻撃者はブリッジから資産を引き出し、ETHで100万ドル、SHIBで130万ドル、そのほかLEASHやKNINEなどを含めて総額約410万ドルが流出しました。

開発チームは10日間かけて復旧にあたり、攻撃者が握っていた460万枚のBONEを回収し、引き出しの待機期間を30チェックポイントまで延ばすなどの対策を入れています。運営の対応そのものは、率直に評価してよい速さでした。

ただ、失われたものは資産だけではありません。自分のチェーンの多数決を、外から金で買われたという事実は、そこへ資産を預ける理由を根こそぎ奪います。TVLが2万4,000ドルという現在地は、この事件の前と後を分けて見る必要があります。

供給の0.0000185%にとどまる過去最大級のバーン

柴犬コインの強気材料として、必ず名前が挙がるのがバーンです。枚数を焼却して減らしていけば、いつか希少になって値上がりするという理屈になります。この理屈を、実際の数字で検算しておきます。

2026年7月8日、この通貨は6か月ぶりの大型バーンを記録しました。ロビンフッドに紐づくウォレットが1回の取引で1億900万枚を焼却し、その日の合計は1億1,000万枚を超えています。24時間のバーン率は3,096%増という見出しがつきました。

では、この1億900万枚は全体の何%にあたるのでしょうか。流通量589兆枚に対して、0.0000185%です。100万円の資産から18銭を取り除いたのと同じ規模になります。ちなみに、この日の価格は5%下げました。

ならしてみると、もっとはっきりします。直近の焼却量は月およそ1億4,400万枚で、金額にすると月1,000ドルに届きません。1日あたりでは10ドル前後、焼却の取引件数は1日3件から5件です。このペースで供給を1%減らすには、約3,400年かかります

そして、いちばん重要な点があります。これまでに焼却された累計は約410兆8,000億枚で、元の1,000兆枚に対して41.08%にあたります。ただしそのうち410兆枚は、2021年にブテリン氏が1回で燃やした分です。コミュニティが5年かけて積み上げたバーンは、全体の0.2%にも届いていません

💡バーンは物語としてはよくできていますが、算数としては成立していません。ここを混同すると、増える回数のニュースだけを追いかけることになります。

95%近くを握る800余りのアドレス

保有の偏りも、繰り返し指摘されてきた弱点です。2026年7月時点で、上位802のアドレスが供給の94.71%を握っています。上位100だけで83%を超え、1%以上を単独で持つアドレスも7つあります。

ここは公平を期すために補足が必要です。この上位アドレスの筆頭は、ブテリン氏が焼却に使った死んだアドレスで、これは二度と動きません。次に多いのは取引所の預かりウォレットで、ロビンフッドだけで39兆2,700億枚、流通量の6.7%を保管しています。純粋な個人の巨鯨ばかりが並んでいるわけではありません。

とはいえ、実際に動かせる枚数が少数のアドレスに集中している構図は変わりません。7月26日の急騰も、大口の動きが薄い板を突き上げた結果だと説明されています。実際、この2日間で約600万ドル分の建玉が強制決済され、そのうち500万ドルほどが売り建てでした。

上にも下にも、数人の判断で価格が動いてしまうというのが、この通貨の板の性質です。長く持つつもりなら、ここは事前に知っておくべき点だと思います。

ドージコインだけが並んだETFの列

2026年に起きたことのなかで、いちばん象徴的だったのがこの一件です。

まず良い知らせのほうから書きます。2026年3月17日、米国のSECとCFTCが共同でガイダンスを出し、柴犬コインはデジタルコモディティ、つまり商品として整理されました。証券ではないという扱いになったので、ETFに組み込む際の法的な障害は消えたことになります。

ところが実際には、こうなりました。ドージコインは2026年1月、21Sharesの現物ETFがナスダックにTDOGとして上場し、SECが承認した初のミームコインETFになっています。柴犬コインには、いまも単独の現物ETFがありません。

さらに痛かったのが7月17日です。運用資産1.8兆ドルを抱えるT・ロウ・プライスが、6月に承認を得ていた暗号資産の複合ETFを実際に立ち上げました。組み入れ対象として名前が挙がっていたはずの柴犬コインは、最終的な構成から外されました。同じ列に並んでいたドージコインは、そのまま採用されています。

運用会社側から、外した理由の説明はありません。ただ、規制の壁が取り払われたあとで、それでも選ばれなかったという事実のほうが重く響きます。制度が許しても、機関投資家が選ばなかったという結果だからです。

消えた創業者と、黙ったままの後継者

最後は、人の話です。創業者である涼氏は、2022年5月30日にX(当時のTwitter)の投稿とブログをすべて削除し、そのまま姿を消しました。アイコンをチベット仏教の行者ミラレパに変えたのが、最後の痕跡です。

去り際に残した言葉は、自分は取るに足らない人間であり重要ではない、キーボードを叩いているだけの代えのきく存在だ、という趣旨のものでした。プロジェクトが特定の個人に依存しないという理念そのものは筋が通っていますが、方向を決める人がいなくなったのも事実です。

そのあとを引き継いだのが、シトシ・クサマ(Shytoshi Kusama)という、これも匿名の人物でした。ところがこの人物も、2025年に主席ビジョナリーの座を降り、大使という肩書きへ移っています。2026年に入ってからはXでの発信がほとんど止まり、沈黙が74日を超えたと数えられる状態が続きました。本人は独自のAIプロジェクトに取り組んでいると説明しています。

旗を振る人がいないまま、5年目に入っているというのが、いまの柴犬コインの姿です。匿名の思想としては一貫していますが、投資対象として見たときには、誰が意思決定をしているのか分からないという不安に変わります。

それでも終わっていないと言える材料

ここからは反対側を見ていきます。ここまで並べた数字を読んで、もう答えは出たと感じた方もいると思いますが、それだと片手落ちになります。値段が下がり続けている裏側で、この通貨が何を保ち続けてきたのかを確認していきます。

5年間落ちていない時価総額30位圏

いちばん地味で、いちばん反論しにくい強みがこれです。柴犬コインは、いまも時価総額ランキングの30位にいます。

暗号資産の世界で5年生き残るのは、簡単なことではありません。2021年のブームで一緒に名前を並べていた通貨の多くは、いまや順位が3桁になったか、取引所から消えたか、開発が止まっています。実際、この記事で比較したボンクは136位、ドッグウィフハットは195位まで落ちました。

柴犬コインは、高値から94%下げてもなお約30億ドルの時価総額を保っています。下げ幅の大きさと、消えるかどうかは別の話です。ここを混同すると、順位が二桁で流動性も潤沢な通貨を、実質ゼロの銘柄と同じ棚に置いてしまうことになります。

保有アドレスの数も減っていません。オンチェーンで数えられる保有者は2026年7月初旬に168万を突破し、その直前の24時間だけで7万5,000近いウォレットが増えています。値段は下がっても、持っている人の数は増え続けているという、少し不思議な状態です。

規制上「商品」という整理

先ほどはETFに選ばれなかった話として書きましたが、この出来事にはもう一つの側面があります。

2026年3月17日、米国のSECとCFTCは共同ガイダンスで暗号資産を5つの区分に整理し、柴犬コインをデジタルコモディティに分類しました。これは、証券として訴えられる可能性が制度として消えたことを意味します。

この点は、地味ですが効いてきます。過去に暗号資産の価格をいちばん壊してきたのは、技術の失敗ではなく規制の不確実性でした。リップルが4年近く訴訟を抱えて値動きを縛られたのは、記憶に新しいところです。

柴犬コインには、その種のリスクがもう残っていません。ETFに採用されるかどうかは運用会社の判断ですが、法的に採用できない状態からは抜けています。扉が開いた状態で選ばれなかったのと、扉が閉じていたのとでは、次の展開がまるで変わってきます。

円のまま買える国内6取引所

日本の投資家にとって、ここは実務的に大きい部分です。柴犬コインは、コインチェック、SBI VCトレード、bitFlyer、BITPOINT、OKCoin Japan、Binance Japanといった国内の登録業者で普通に買えます。

海外の取引所を開設する必要も、送金の手間も、日本円から一度ステーブルコインへ替える面倒もありません。少額から円のまま買えるという条件がそろっている暗号資産は、実はそれほど多くないのです。

もうひとつ、税制の面でも意味があります。あとで詳しく触れますが、2028年に導入される見込みの申告分離課税は、国内の取引所に上場している銘柄を国内業者経由で売った場合が対象です。国内上場済みという条件は、将来の税率にそのまま直結してきます。

海外の分散型取引所にしか置かれていないミームコインと比べると、この差はかなり大きくなります。同じように値上がりしても、手元に残る金額が変わってしまうからです。

2日で4割動く流動性

冒頭で触れた急騰を、今度は強気側の材料として読み直してみます。

7月25日から26日にかけて、柴犬コインは2日で約4割上がりました。このとき1日の売買代金は3億8,000万ドルに達し、いまも6億ドル前後で推移しています。時価総額30億ドルに対して、1日で全体の2割が売買されている計算です。

この回転の速さは、悪い意味でも良い意味でも効きます。悪い意味では、少額の資金で価格が振り回されるということです。良い意味では、買いたいときに買えて、売りたいときに売れるということになります。

暗号資産で本当に困るのは、値段が下がることではなく、売ろうとしたときに買い手がいないことです。時価総額が3桁順位の通貨では、数百万円を売るだけで板が崩れます。柴犬コインには、その心配がありません。

そしてもう一点。ドージコインが同じ期間に6%しか上がらなかったのに、柴犬コインだけが4割上がったという事実は、この通貨がまだ単独で資金を呼べることを示しています。忘れられた通貨には、こういう動き方はできません。

💡値動きの荒さは、持ち方を間違えなければ弱点ではありません。総資産のごく一部に留める前提なら、動くことそのものが存在意義になります。

眠っているあいだにも進む開発

開発が完全に止まっているわけでもありません。2026年の第2四半期には、暗号技術の企業であるZamaと組んで、完全準同型暗号(FHE)をエコシステムへ導入する計画が進んでいます。

これは、残高を暗号化したまま計算できるようにする技術です。SHIB、BONE、LEASH、TREATの4つのトークンに適用し、必要なときだけ監査向けに開示できる仕組みを目指しています。実現すれば、プライバシーと規制対応を両立させた数少ないチェーンになります。

金融面でも動きがありました。Morphoの仕組みを使った貸借サービスのPurintaが、柴犬コインを担保として受け入れ、SHIBを預けてUSDCを借りられるようにしています。売らずに現金を作れるという用途は、ミームコインには珍しい実需になります。

もっとも、これらの材料が価格を押し上げた形跡はまだありません。それでも、開発者が誰もいなくなったプロジェクトとは状況が違うという点は、公平に記しておくべきだと思います。

で、いまの0.00084円で柴犬コインは買えるのか

ここまでで、材料は出そろいました。自前のチェーンが2万4,000ドルしか集められていないという現実と、それでも5年間30位圏に居座り続けているという事実が、同じ通貨のなかに同居しています。

問題は、この二つを並べたうえで、1枚0.00000515ドル、日本円で0.00084円という値段をどう評価するかです。売られすぎと見るのか、それとも安いのには理由があると見るのか。ここから先は、数字を根拠に踏み込んで考えていきます。

ここから先は

5,110字
この記事のみ ¥ 300
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

500円以下の個別銘柄・個別仮想通貨記事を、全て閲覧することが出来ます。ニッチな小型株情報など、より…

【通常価格】スタンダードプラン

¥880 / 月

【20名限定】スタンダードプラン

募集終了

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?