なぜ隠すのか? 欧州医薬品庁(EMA)のファイザー文書黒塗りが示す規制当局の闇

欧州医薬品庁(EMA)は「例外的な透明性」を繰り返し約束してきたはずだった。しかし、2025年12月に再開示されたファイザー/BioNTechのComirnaty(mRNAワクチン)の技術文書を見ると、残留DNAの実際の測定値、qPCRの詳細データ、バッチごとの変動—これら安全性に直結する肝心な数字が、すべて黒塗りされたままだった。
商業機密を盾に、独立検証を不可能にするこの対応は、単なる慎重さでは説明できない。EMAは公衆の知る権利と健康を軽視し、製薬企業の利益に過度に忖度しているのではないか?
Kevin McKernan氏ら専門家が指摘するように、「隠す必要がないなら、なぜ黒塗りするのか」。この不透明な姿勢は、規制機関が国民ではなくメーカーの味方であることを如実に示している。
Dr. Silvia Behrendt(元WHO法務官、透明性活動家)は、12月14日にSubstackで公開した記事の中で、EMAがファイザー/ビオンティックのComirnatyのCommon Technical Document(CTD、規制申請のための詳細技術文書)を一部再開示したものの、重要な部分が商業機密(CCI: Commercially Confidential Information)として黒塗りされたまま提供されているばかりでなく、公衆がアクセスしにくい形で提供されていると強く批判した。
https://drsilviabehrendt751446.substack.com/p/update-dec-25-ctd-comirnaty-new-disclosures
Behrendt博士は、EMAは「例外的な透明性」を約束していたのに、ZIPファイル形式で入手しにくくしたり、個別請求者にしか提供せず、EMA Transparency Initiative (ETI)に参加して情報公開請求をした2,100人以上のEU市民の権利を侵害していると主張している。彼女は、個別共有された文書をSubstackで独占公開した。
新規/更新文書の中には、製造プロセス検証(Process Validation)と残留DNA特性報告書(Residual DNA Characterization Report)が含まれる。
▲ 新たに公開された文書の問題点
1. プラスミドDNAの重要性に関する矛盾
文書でプラスミドDNAがmRNA製造に不可欠と記述されているが、これは過去の主張と矛盾している。しかも一部黒塗りで詳細を隠している。https://x.com/Kevin_McKernan/status/2000619799039086641?s=20

2. 残留DNAの具体的な測定値がすべて黒塗り
「Comirnaty Residual DNA Characterization Report」では、商業バッチの残留DNA量(ng DNA/mg RNA)の表(例: バッチごとのMin/Max/Mean値を示すセクション)で、数値データが全面的に黒塗りされている。
https://www.ghr.agency/wp-content/uploads/2025/08/comirnaty-residual-dna-characterization-report_en.pdf
また、SV40シーケンス検出関連のTable 7(PCR Primer Design)でも、プライマーシーケンスの詳細がCCIで黒塗りされている。

リリース基準として「≤330 ng/dose」の記載だけが一部見えるが、実際のバッチデータは隠蔽されている。
Kevin McKernan氏はこの報告書の黒塗り表を共有し、「Confidential DNA levels」と批判した。

https://x.com/Kevin_McKernan/status/2000620368910856625?s=20
https://x.com/Kevin_McKernan/status/2000621818386788605?s=20https://x.com/Kevin_McKernan/status/2000620368910856625?s=20
3. 測定方法の詳細(Ct値、計算式)も黒塗り
同報告書のTable 8(SV40シーケンス要素の検出結果)では、qPCR測定によるMean Ct Value(サイクル閾値)がバッチごとに黒塗りされ、Ct値からng量への換算方法や推定式("Estimation of SV40 Sequence Element Content in Residual DNA"セクション)も全面黒塗りされている。
さらに、文書では残留DNA測定前にDNase処理(「浄化」処理)を行っていることが記載されており、Kevin McKernan氏はこれを「残留量を意図的に低く見せかけるトリック」と指摘している。
Kevin McKernan氏はこの部分を共有し、直接「Why redact this unless you have something to hide?」と述べ、「隠す必要がないなら、なぜこれを黒塗りするのか? 何か隠したいものがあるからに他ならない」と強く批判した。

▲ 黒塗りの全体的な問題点
EU規制(Regulation (EC) No. 1049/2001)では、overriding public interest(優先的な公衆の利益)が存在する場合、商業機密主張を上回って完全開示が可能である。
ワクチンの品質・安全性データ(特に残留DNAのような潜在リスク関連)は明らかに公衆の利益が優先されるはずなのに、EMA/ファイザーは頑なに黒塗りを維持している。具体的な数値・方法が隠されていると、第三者の科学者がデータを検証できず、規制当局の判断を盲目的に信じるしかない状態になる。EMAは透明性を約束しながら、重要なバッチデータや測定詳細を非公開にしている。
結果、残留DNAの実際のレベルや変動が不明瞭になり、安全性評価の信頼性が損なわれる。
要するに、この一連の開示は「透明性の進展」ではなく、肝心な部分を隠したままの不十分な対応として批判されている。黒塗りが多用されることで、規制プロセスの信頼性がさらに揺らぎ、独立科学者によるチェックが実質的に阻害されている状況である。
▲「ついにファイザーがSV40の混入を認めた」という誤解
X上では「ついにファイザーがSV40の混入を認めた」という投稿が見受けられるが、これは事実ではない。ファイザーは2023年頃から公式に、製造用のプラスミドDNAに出発物質として非感染性のSV40プロモーター(enhancer)断片を使用していることを認め、EMA開示文書でも、商業バッチで「残留DNAにSV40配列要素が検出されるのは予期した通りである(as expected)」と記載している。
● ファイザーの公式コメント
「ファイザーとビオンテックが使用する出発物質には、SV40配列の非感染性断片が含まれています。このDNA出発物質には、がんを引き起こす可能性のある遺伝子である癌遺伝子(オンコジーン)は含まれていません。多くのワクチンには微量のDNA(残留DNA)が含まれており、規制当局はこれに対する基準値を設定しています。ファイザー・ビオンテックCOVID-19ワクチンに含まれる残留DNAの量は、すべてのワクチンに求められる通り、標準的な規制ガイドラインで認められている範囲内です。」
https://www.pfizer.com/about/responsibility/misinformation
● 新規公開文書原文:
"All DS batches were confirmed positive for SV40 sequence elements, as expected based on the understanding of the residual DNA composition."
(すべての原薬バッチでSV40配列要素が陽性であることが確認された。これは残留DNA組成に関する知見に基づき予想された通りである。)
https://www.ghr.agency/wp-content/uploads/2025/08/comirnaty-residual-dna-characterization-report_en.pdf
だからと言って、彼らの主張通りワクチンが本当に安全かどうかは分からないというのが現実であり、メーカー側と規制当局に対して情報提供を要求するのは当然の権利である。
問題の本質はファイザーがSV40の存在を認めたかどうかにあるのではなく、EMAが公開した文書で、残留DNAの具体的な測定値(ng/dose)、qPCRのCt値、計算方法、バッチごとのデータがすべて商業機密(CCI)として黒塗りされている点である。問題のない安全な量なら、なぜ隠す必要があるのか? EU法では公衆の利益が優先される場合、黒塗りを解除できるはずなのに、EMAはメーカー側の主張を優先し、独立検証を不可能にしている。これは規制機関が真実を国民に届けず、製薬企業の利益に過度に忖度している証左に他ならない。こうした不透明さが、誤情報や過剰な反応を生む土壌にもなっている。
▲ 問題の本質
新規公開文書でSV40シーケンスの存在は「as expected」と明記されているのに、具体的な量(ng/dose)、qPCRのCt値、Ctから量への換算方法、バッチごとのデータをすべて黒塗りしている。ファイザーはSV40の存在を「予測通り」と認めているのに、なぜ肝心の測定値や方法を商業機密で隠すのか?
▲ 当初の非開示(SV40プロモーターの強調不足)
Health CanadaやEMAが指摘したように、ファイザーは初期申請でプラスミドの完全シーケンスを提供したが、SV40プロモーターを「特に強調していなかった」。
ファイザーはSV40プロモーターの使用を当初十分に明示せず、規制当局の質問で後追い説明した。これは潜在リスクを軽視した不誠実な対応だ。
▲ リスクの潜在性
SV40プロモーターはオンコジーン(T-antigen)をコードしないが、核移行促進やP53結合などの文献があり、残留DNAの文脈で懸念がある。「設計上当然だとしても、SV40プロモーターの残留がLNPで細胞核に入る可能性を十分評価せず、genotoxicity試験を怠った規制は無責任である。公衆の利益を優先せず、メーカーに忖度している。
▲ 規制機関(EMA/FDA)とメーカー側の癒着体質
EU法で「overriding public interest」があれば黒塗りを解除できるのに、EMAが頑なに維持している。EMAは透明性を約束しながら、重要なデータを隠蔽している。メーカー守りで国民の知る権利を侵害している。
この一連の文書開示(Dr. Silvia BehrendtのSubstackで明らかとなったEMAのComirnaty CTD関連資料)を見ると、規制機関の姿勢に深刻な問題があると言わざるを得ない。
黒塗り部分のデータは、ワクチンの品質管理と潜在的なリスク評価に直結するものであり、公衆衛生に関わる極めて重要な情報だ。にもかかわらず、EMAはこれらを公開せず、ファイザー/ビオンテックの商業的利益を優先しているように見える。EUの透明性規制(Regulation 1049/2001)では、明確に「overriding public interest(公衆の利益が優先)」の場合、商業機密の主張を退けて完全開示が可能であり、むしろ義務づけられている。
結論として、EMAの黒塗り多用は、規制機関が公衆の知る権利と安全を二の次にし、製薬企業の利益を優先していることを強く示唆している。「黒塗りするのは隠したいものがあるからである」。隠すものが何もないのなら、公開すべきであり、隠したいものがあっても、公開すべきである。この不透明さが続く限り、規制プロセスへの信頼は回復せず、当局の宣伝とは裏腹にCOVID-19 mRNAワクチンの安全性が証明されることはない。
