「見えない時代のリーダーシップ – 善き目標で小さな動きを創る」
「善き目標が世界を変える – 混沌とした21世紀を生き抜くリーダーシップ」
〜アジェンダとプロセスで創る、あなたの小さな動き〜


この講座は、「だれもがリーダー」を支える意識ー自分アジェンダ®によるリーダーシップ(アマゾン)
をもとにしています。
第2章:リーダーシップの働き
世の中にリーダーシップという言葉や会話は溢れています。たいがいは、強烈な称賛か、痛烈な批判ではないでしょうか? つまり他人事です。
リーダーシップを自分のものとしてとらえたとき、もっと身近で地道で堅実なものになります。リーダーシップの働きのエッセンスは、目標を設定すること、そして達成させること、この2つだと言われています。
かれこれ30年間、行動科学と状況対応リーダーシップ®を勉強してきましたが、リーダーシップについての以下の2つの解釈が、わたしの原点です。
「目標達成へ向けて、個人または集団の活動に影響をおよぼすプロセス」(Dr.ポール・ハーシィ)[1]
「行き先を決め、行き方を保証すること」(Dr.山本成ニ)[2]

ここでおもしろいのは、リーダーシップでは、「どんな目標でも、目標になる」ということです。
マネジメントとリーダーシップの違いについて、マネジメントは組織目標を正しく遂行すること、リーダーシップは個人目標を設定すること[3]、といわれます。リーダーシップでは、個人目標ですから、どんな目標でも目標になるわけです。極端にいえば、犯罪でも目標になるということです。
20世紀は、日本に限らず先進国は右肩上がりの時代、多くの人々にとって目標は与えられていました。よくわからないけれど指示に従っていれば、そこそこ生きていかれる時代でした。
しかし、21世紀、まわりを見渡してください。人間社会だけではなく、自然現象も異常事態、なにをどうしていいのかわかりません。目標は与えられていません。なにをどうすればいいのか、「見えない時代」では、だれも導いても動かしてくれもしません。わたしたちひとりひとりが真剣に考えて行動しなくてはならないのです。
そんなときに、「目標はなんでもいい、犯罪でもいい」などと言っていては、貧困、偽装、詐欺、紛争、他人の痛みを感じられない、自分さけよければいい、見て見ぬふりが横行するばかりです。「見えない時代」では、「善き目標」をかかげるリーダーシップが必要です。「善き目標」をかかげて、自分のまわりに小さくても「動き」を創りだすリーダーシップが必要です。
アジェンダとプロセス
先ほど、リーダーシップの働きには、目標を設定すること、達成させることの2つがあると紹介しました。「見える時代」では、目標も達成も違和感のない言葉だったと思いますが、「見えない時代」では、はっきりした目標もわからないし、達成方法もどうすればいいのか定かではありません。
そこで、21世紀の「見えない時代」では、目標ではなく漠然とした方向性、自分が信じる善き未来としての「アジェンダ」、達成までの道筋はいくつもの動きを作っては失敗しながら進む試行錯誤の「プロセス」といいかえます。


自分が信じる善き未来としてのアジェンダは、だれでも幸せを実感するあたりまえのことです。たとえば、結婚式でよく親族がスピーチする「夫婦は、喜びは2倍、悲しみは2分の1」、チーム活動でよく言われる相乗効果(1+1=3以上)のような助け合い、一日一善、どこでどうなるかわからないけれど、善いことをすれば報われると思う因果応報の感覚、動物や植物、自然の美しさに心を打たれる万物への愛情、万物との同一感[4]など、労りや痛みを知る人間としてあたりまえの目標が「善き目標」です。

以前、あるフォーラムで「リーダーシップはアートかサイエンスか」というテーマが出てきました。ビジネススクール時代も「経営はアートかサイエンスか」というテーマで話し合ったことがありました。
リーダーシップには目標設定と目標達成の2つの働きがあるといわれています。20世紀を引きずる現代社会では、「善き目標」はまだまだ夢物語です。ジョン・レノンの「Imagine」[5]も、USA For Africaの「We Are The World」[6]も夢物語です。

しかし、夢物語でも、漠然とした方向性でも、アジェンダとして掲げることは、掲げた人間の使命、ビジョン、価値観、生き方を物語ります。それを伝え続けることは、その人の人生です。生きた証、その人の美学、アートだと思います。
掲げたアジェンダを達成すること、それは夢物語だけではできません。ヒト、モノ、カネ、情報、空間、などあらゆる資源を駆使してマネジメントする、つまりサイエンスが必要になると思います。
「リーダーシップはアートかサイエンスか」、リーダーシップを2つの働き、目標設定と目標達成ととらえるならば、アートとサイエンス、どちらも必要だということになると思います。
[1] 「入門から応用へ 行動科学の展開」p.89.
[2] 「状況対応リーダーシップ®事例集Ⅰ」p.123.
[3] 「入門から応用へ 行動科学の展開」pp.7-8.
[4] 四層構造モデル、「システム思考と行動科学」より
[5] ジョンのソロ時代のアルバム『イマジン』のタイトル・ナンバーである。国家や宗教や所有欲によって起こる対立や憎悪を無意味なものとし、曲を聴く人自身もこの曲のユートピア的な世界を思い描き共有すれば世界は変わる、と訴えかける。Wikipedia(日本語)より
[6] USAフォー・アフリカ(USA for Africa, United Support of Artists for Africa)は1985年にアメリカのスーパースターが一堂に会したプロジェクトの名称。当時深刻化していたアフリカの飢餓救済のためのチャリティーソングである「ウィ・アー・ザ・ワールド(We Are The World)」をリリースした。Wikipedia(日本語)より
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リーダーシップを難しく考えずに、いつもの行動がリーダーシップ、「だれもがリーダー」学習を提唱しています。わたしたちが長年かけて培ってきた知恵と知識を拡めたいと思っています。