「リーダーシップの失敗」がパワハラを生む理由|「自分アジェンダ®」で職場の困った状況を打開する方法

育児復帰したのに、なぜ疎外感を感じるのか
地方銀行のテラーとして復職した松倉さん(27歳)の話から始めましょう。
育児休暇を終え、「以前のように働ける」と意気揚々と職場に戻った松倉さん。しかし現実は厳しいものでした。テラー業務は窓口での積極的な営業が求められるものに変わっており、その経験のない松倉さんは課長からバックアップ業務に回されました。
仕事を教えてほしいと上司や同僚に頼んでも、「新人じゃないんだよ」「後で」「自分の仕事をしてくれるかな」という冷たい反応。復帰時の挨拶も十分でなかったため、周囲との関係はギクシャクしていました。
そして決定的な出来事が起こります。ある日、松倉さんを除く課の全員が課長の誘いでランチに出かけ、楽しそうに一緒に戻ってくる光景を目撃したのです。ショックのあまり早退した松倉さんに、課長は「あ、そう」の一言だけ。
これは典型的な「人間関係からの引き離し」というパワハラの一例です。
パワハラが成立する3つの条件と、なぜ被害者は動けないのか
パワハラには法的に3つの要件があります。
優越的な関係を背景とする(上司と部下の関係など)
業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
身体的もしくは精神的な苦痛を与えることや就業環境を害すること
松倉さんのケースでは、これらすべてが該当していました。しかし被害者が最もつらいのは、「なにも行動できない」状態に陥ることです。
「なぜこんな目にあわなければならないの?」 「逃げ場がない!」 「誰にも相談できない!」
このような感情に支配され、どう行動していいかわからなくなってしまうのです。
従来のリーダーシップ論の限界
多くのリーダーシップ研究は、権限を持つ管理職向けのものです。しかし、パワハラ被害者のような立場の人には、そうした理論は役に立ちません。
なぜなら、権限も影響力も限られた状況で、自分の環境を改善しなければならないからです。
「自分アジェンダ®」という新しいアプローチ
行動科学に基づく「自分アジェンダ®」は、まさにこうした困難な状況にある人のためのリーダーシップ手法です。
基本的な考え方はシンプルです:
もっともつらいのは、被害を受けている自分 ↓ 自分ゴト ↓ 自分が行動しなければ、自分が望むようには変わらない ↓ 自分による自分のためのリーダーシップ
4つのステップで状況を変える
ステップ1:自分アジェンダ®を思い描く
「安心を感じている未来の自分」を想像します。現状の延長線上ではなく、「私が○○である状態」という肯定的な表現で描きます。非現実的に思える希望でも構いません。
ステップ2:支援を探す
周囲360度から支援を探します。自分の能力を高めてくれる支援、意欲・自信を高めてくれる支援の両方が必要です。人だけでなく、モノ、カネ、情報、環境なども含めて想像を膨らませます。
ステップ3:資源を選ぶ
支援を得るために、相手が喜ぶもの、欲しがるものを提供します。自分が気づいていない資源もあります。アメとムチ、コネ、地位、人間性、情報、専門性など7つのカテゴリーから考えます。
ステップ4:リーダーシップを試行錯誤する
実際の道のりはクネクネ道です。相手が支援したくなるように自分の資源を感じさせ、失敗や停滞があっても新たな支援と資源で試行錯誤を続けます。
松倉さんの場合の具体的な実践
松倉さんの自分アジェンダ®は「私が、窓口営業を伴うテラー業務をしっかりこなしている状態」でした。
支援として特定したもの:
能力を高める支援:商品カタログ、模範となるテラーたち、上司、先輩、同僚
意欲を高める支援:家族、友人、ペット
自分の資源:
日頃の人間関係
商品を覚えたいという意欲
一所懸命取り組む姿勢
試行錯誤のプロセス: 相手が支援したくなるように自分の資源を感じさせ、一筋縄では行かないことを前提に、次の支援・資源で試行錯誤を続ける。
なぜ今、この手法が必要なのか
現代の職場では、権限の有無に関わらず、誰もが困難な状況に直面する可能性があります。ハラスメント、組織変更、人間関係の悪化、キャリアの行き詰まり…。
こうした状況で待っているだけでは何も変わりません。「自分アジェンダ®」は、立場や権限に関係なく、自分の状況を改善するための実践的な手法なのです。
継続的な学習の重要性
この手法は一度学んだら終わりではありません。状況が変われば、新しい支援や資源を見つけ、試行錯誤を続ける必要があります。
リーダーシップ研究アカデミーでは、こうした実践的な学びを継続的に提供しています。
パワーハラスメントの防止と解決
行動科学講座
状況対応リーダーシップ®講座
自分アジェンダ®講座
コーチング
最後に:あきらめない力を身につける
「自分アジェンダ®」の本質は、あきらめない力を身につけることです。失敗、停滞、後戻りがあっても、新たな支援と資源で試行錯誤を続ける。この繰り返しが、最終的に状況を変える力となるのです。
困った状況にいるあなたも、きっと変化を起こすことができます。まずは「安心を感じている未来の自分」を思い描くことから始めてみませんか?
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リーダーシップを難しく考えずに、いつもの行動がリーダーシップ、「だれもがリーダー」学習を提唱しています。わたしたちが長年かけて培ってきた知恵と知識を拡めたいと思っています。