見出し画像

②SL理論®・状況対応リーダーシップ®|【新人育成の悩み完全解決】学生気分が抜けない部下を自律的な戦力に変える、リーダーシップ地図®活用法


3:レディネス診断 – 新人の本当の状態を知る

レディネスとは何か

レディネス(readiness)とは、「Are you ready?(準備できていますか?)」の意味で、そのタスクを進める準備ができているかを示す指標です。

レディネスは2つの軸で診断します:

1. 能力(知識・経験・スキル)

  • 高い:タスクのやり方を知っており、実際にできる

  • 低い:タスクのやり方を知らない、またはできない

2. 確信・意欲(自信・コミットメント・動機)

  • 高い:やり遂げる自信があり、コミットしている

  • 低い:自信がない、不安がある

4つのレディネスレベル

R1:能力も確信・意欲も低い

  • やり方を知らず、自信もない

  • 他律的で不安

R2:能力は低いが確信・意欲は高い

  • やり方は知らないが、やる気はある

  • 他律的だが意欲的

R3:能力は高いが確信・意欲は低い

  • やり方は知っているが、自信がない

  • 自律的だが不安

R4:能力も確信・意欲も高い

  • やり方を知っており、自信もある

  • 自律的で確信がある

新人のレディネス診断で最も重要なこと

「はい!何でもやります!」はR2ではない

多くのリーダーが陥る罠があります。入社時の新人が「何でもやります!」と言うと、「確信・意欲が高い」と誤診断してしまうことです。

しかし、新人はまだ:

  • やり方も知らない

  • 結果として何が求められているかわからない

  • 最後までやり遂げる自信もコミットメントも低い

つまり、入社時の新人の多くはタスクを知らないR1(能力も確信・意欲も低い)なのです。

レディネス診断の鉄則

1. 目の前で実証された能力と意欲のみで診断する

「きっとできるだろう」「やる気になればできる」という推測は禁物です。実際にできているときだけ「能力が高い」「意欲が高い」と診断します。

2. レディネスはタスクごとに異なる

営業でR4の人が、事務作業ではR1ということもあります。仕事バリバリのキャリアでも、家事はR1かもしれません。

3. レディネスは流動的

自信や意欲は、夫婦喧嘩や叱責、失敗などでも瞬時に変わります。能力ですら、大事な人を亡くした場合などは一気にR4からR1に下がることがあります。

4. レディネス診断は評価ではない

レディネスが低いことは、悪いことではありません。「現在の状態」を客観的に把握し、「次にどうするか」を考えるためのツールです。

4:4つのリーダーシップ・スタイル

レディネスに応じて、取るべきリーダーシップ・スタイルが変わります。

2つの行動の軸

リーダーシップには2つの軸となる行動があります。

指示的行動

  • いつ、誰が、何を、どこで、どのようにすべきか

  • タスクを進める方法を細かく丁寧に伝える

  • 能力を高めるための行動

協労的行動

  • 双方向のコミュニケーション

  • 励まし、なぜに答える、笑顔、スキンシップ

  • 見守り、気配り、労りの気持ち

  • 確信・意欲を高めるための行動

4つのリーダーシップ・スタイル

S1:教示的スタイル(指示的行動が多く、協労的行動が少ない)

  • R1に適合

  • タスクのやり方を細かく丁寧に伝える

  • まだ質問できるほどの知識がないので、一方向的

S2:説得的スタイル(指示的行動も協労的行動も多い)

  • R2に適合

  • やり方を細かく伝え、なぜや質問に答える

  • 双方向コミュニケーションを多くとる

S3:参加的スタイル(指示的行動は少なく、協労的行動は多い)

  • R3に適合

  • 一緒に取り組み、必要なときにサポート

  • 下支えして自信を持たせる

S4:委任的スタイル(指示的行動も協労的行動も少ない)

  • R4に適合

  • 任せて見守る

  • 最小限の関わり

リーダーシップ・スタイルは、「タイプ」ではないことに注意してください。相手のレディネスが成長したり退行するのと同様、リーダーシップ・スタイルも状況に合わせて変える必要があります。SL理論®・状況対応リーダーシップ®では、自分のリーダーシップ・スタイルをタイプとして固定化させないことが重要です。

5:新人が「学生気分」のままになる本当の理由

ケーススタディ:木村さんの事例

ある営業一課に配属された木村さん(新人)。OJT終了後、自分の担当先を持ち、一人前の営業活動をスタートするはずでした。

しかし:

  • なかなか営業に出かけない

  • ボーッとしている

  • 遅刻や欠席が目立つ

  • 結局休職してしまう

鈴木課長(上司)は「様子を見よう」と何もせず、伊藤係長(先輩)も「OJTは終わったから、そろそろ始めてくれ」と急き立てるだけでした。

何が問題だったのか

1. タスクのすり合わせ不足

木村さんの期待されているタスクは「自分の担当先に一人で営業に行き、目標数字を上げること」でした。しかし、このタスクについて十分なすり合わせがされていませんでした。

2. レディネス診断の誤り

鈴木課長は、木村さんが実際には:

  • 一人で営業に行けていない(能力が低い)

  • 不安そうにしている(意欲が低い)

つまりR1の状態なのに、「様子を見よう」とS4(委任的スタイル)を取ってしまいました。

3. R2からR3への移行の難しさを理解していなかった

他律的状態(R2)から自律的状態(R3)への移行は、リーダーシップで最も難しいステップです。

R2(他律的だが意欲がある)の状態では:

  • リーダーのサポートがあるので安心

  • タスクの進め方もコミュニケーションも多い

R3(自律的だが不安がある)の状態では:

  • 一人で進めなければならない不安

  • 本当に自分でできるのかという自信のなさ

この移行期には、十分な協労的行動(S3:参加的スタイル)が必要でした。

本来取るべきだったリーダーシップ

OJT中(R1)→ S1(教示的)

  • 営業ノウハウを一つひとつ教える

  • 実際に営業している模範を見せる

  • 知識を身につけさせる

模擬演習(R2)→ S2(説得的)

  • 実際にやってもらい経験を積ませる

  • 湧いてくる「なぜ?」に答える

  • やり方の質問に応じる

担当先を持つ移行期(R3)→ S3(参加的)

  • やり方はもう教えないが、下支えをする

  • サポートがあるという安心感を与える

  • やればできるという自信を持たせる

  • やり遂げる覚悟(コミットメント)を感じさせる

自律的に活動(R4)→ S4(委任的)

  • 最低限必要な指示だけ

  • 任せて見守る


いいなと思ったら応援しよう!

リーダーシップ研究アカデミー|【公式】SL理論®・状況対応リーダーシップ® リーダーシップを難しく考えずに、いつもの行動がリーダーシップ、「だれもがリーダー」学習を提唱しています。わたしたちが長年かけて培ってきた知恵と知識を拡めたいと思っています。