イラストレーターのLINEスタンプ仕事術|「売れなくても意味がある」7つの理由
LINEスタンプは、売れなくても仕事になる。
LINEスタンプは収益商品というより、
イラストレーターにとっての営業ツールです。
もしあなたが
・イラストレーターを目指している
・すでに仕事はしているが、先が不安
・「営業が苦手」と感じている
どれか一つでも当てはまるなら、LINEスタンプは一度は本気で作る価値があります。すでに、「作ってみたい」「いつか作ろう」と思ったまま、手を動かさずにここまで来た人も多いのではないでしょうか。
先に申し上げておきますと、この記事は、
「LINEスタンプで一発当てたい人」のためのものではありません。
「イラストを仕事として続けたい人」のための記事です。
私はイラストレーター歴16年目です。広告、出版、公共施設など、さまざまな媒体や場所のイラストを手がけています
《お仕事の実績の一部》
・あちこちオードリー DVDイラストカット (テレビ東京)
・CM用キャラクターデザイン(Z会)
・CM用キャラクターデザイン(第一生命)
・パッケージ用キャラクターデザイン(祐徳薬品)
・男はつらいよ 55周年特別企画 図解寅さん(松竹)
・アメリカザリガニ防除啓発(環境省)
・福岡市地下鉄 駅壁画(トータルメディア開発研究者)
・すごい毒の生きもの図鑑(中央公論新社)
本業のイラストを描きつつ、2014年に最初にリリースしたLINEスタンプが腹話術人形の「トビーくん」です。

彼を皮切りに、今までに30種類以上のLINEスタンプや顔文字を作って販売してきました。

私個人の経験から言わせていただければ、すでにイラストレーターをやっている方も、イラストレーター志望の方も、最低でも1セットはLINEスタンプを作っておくことをオススメします。
その理由を、7つにまとめました。
※前半(理由③まで)は無料公開しています。
理由④以降では、実際の案件事例を交えた「営業としてのLINEスタンプ活用術」を詳しく解説しています。
どれも、「イラストレーターという仕事を本気で志しているのならば」という立ち位置が大前提です。その上で、私がLINEスタンプを制作し、イラストレーターのビジネスにつなげている活用術の実例を交えて紹介していきます。
以前、イラストレーターを志している方で絵が上手くなりたい方は、詐欺まがいの有料記事や、メンバーシップに入る前に、図書館で絵の描き方の本を読んだ方が良いと記事を書いたことがありますが、
その気持ちは変わっていません。ただ、この後に書く「イラストレーターのビジネスにおけるLINEスタンプの活用術」は、おそらく図書館の本棚には並んでいません。
読んでいただいたプロの声
イラストレーターの中川さんから、ありがたいコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。
とても面白いnoteでした! ぼくも昨年からLINEスタンプを作っていて 会う人会う人にオススメしているのですが どう良いのか言語化できていない部分までウラケンさんがわかりやすくnoteに書いてくださっていたのでら「このnoteを見て!」とオススメしたいと思います😁✨
— 中川貴雄/TAKAO NAKAGAWA (@ekakino-nakagawa.bsky.social) 2026-02-28T12:34:11.993Z
長い間40個もスタンプ作るの大変そうだなぁと思って作っていなかったのですが 作ってみたらメリットがかなりあるなぁと感じたので これからは定期的に作っていこうと思っています☺️イラストレーターを目指している人は、絶対やった方がいいですね✨
— 中川貴雄/TAKAO NAKAGAWA (@ekakino-nakagawa.bsky.social) 2026-02-28T13:01:22.886Z
このように、中川さんもイラストレーターがLINEスタンプを作ることのメリットを感じていらっしゃいます。
LINEスタンプのために手を動かす価値はあるのか?
LINEスタンプなんぞ作ったところで仕事は来るのか?その作業量に見合った対価はあるのか?と、手を動かす前に悩んでおられる方が少なくないと思いますが。手を動かす価値はあります。そして、LINEスタンプそのものが売れなくても、仕事につなげる方法があります。
私自身がLINEスタンプを作り続けてきた中で、
「これは確実にプラスになる」と断言できる理由が、以下に挙げた7つです。
LINEスタンプを作った方がいい理由①:直接は儲からない。でも、仕事は増える。
最初言わせていただくと、LINEスタンプそれ自体は、ハッキリ言ってそうそうお金にはなりません。
「ガッポガッポ稼げるから、スタンプ描かないと損だぜ!」
などと、景気の良いことを言ってる人がいたら気をつけてください。そういう人は大体ペテン師です。
まず、世の中にはLINEスタンプが大量に溢れているので、なかなか売れません。それに単価が低いため、仮にスタンプが1個売れたとて、チロルチョコ1個くらい買えるかな?程度の金額です。
大人が生活の支えにするには心元なさすぎます。30種類ほど作って、しっかりとPRすれば毎月お小遣い程度の売り上げは見込めますが、正直有料noteの方が遥かに効率が良いでしょう。
とはいえ、LINEスタンプが大ヒットして全国的に認知されているキャラクターもいるので、大金に化ける可能性はゼロではありません。ただ、私はもはやその点は、あまり考慮に入れていません。
しかし、スタンプを一個一個売らなくても、スタンプの売上以上の金額を生み出す方法があります。
その理由について説明します。
ここからが本題です。イラストレーターを志すのであれば、まず理由②をクリアできないと話になりません。
理由②:40カット描き切る実務訓練になる。
当たり前のことを言うようですが、イラストレーターは絵を描くのが仕事です。商業イラストレーターが収入を得るには、絵を描かないといけません。しかし、趣味で描くのと、仕事で描くのとでは意味が全く異なります。
クリエイターズスタンプは8、16、24、32、40と、8の倍数のセットで売り出すことができます。買う側からしたら、同じ価格なら8個入りより、40個入りの方が嬉しいのは当然です。
しかし、40個!
メインビジュアルやポスターなど、商業イラストレーターの仕事は色々ありますが、雑誌や本のイラストカットの仕事が回ってくることもあるでしょう。その場合、カット数をこなせないと話になりません。私も今まで本の作業で大量のカットを描きましたが、イラストを40カット描くというのは 、かなり気合いと根性が入ります。
具体的に40個のスタンプはこういう数になります。

いかがでしょう。結構多いと思いませんか?
LINEスタンプ40カットというのは、「イラストを描き続けられるか?」という根気と熱量のトレーニングにもなるのです。
イラストレーターではなく平日働いてる方は、
●まずは土日で8カット
●次の週末は16カット
など、区切りを決めて作成してみてはいかがでしょう。この程度をクリアできないスキル、メンタル、集中力であれば商業イラストレーターへの道はかなり厳しいと言えます。逆にいえば、スタンプを描くこと自体が、商業イラストレーターまでの修行になるのです。
理由③:描きたいものより、“求められるもの”を考える訓練になる。
私が、ゼロからLINEスタンプを作る際の手順は、
企画を考える
↓
文言を考える
↓
文言に沿った絵を描く
です。
この「企画を考える」は、イラストレーターやキャラクターデザイナーを目指す方には、かなり実践的なトレーニングになります。
LINEではすでに膨大な数のスタンプが売られています。この中で、キャラの魅力のみでヒットを飛ばそうとするコースは、茨の道です。しかし、それでもキャラの魅力でスタンプを作りたいのであれば、それを考える段階で「LINEで爆発的に人気になる魅力的なキャラを考える」という訓練が発生しています。
逆に、ニッチなニーズで活路を見出そうというのであれば、それもすでに、「どんな界隈でどんなスタンプならニーズがあるか」を考える訓練が発生しているのです。ニッチなニーズを狙うのであれば、自分自身が欲しいものや、自分の周りのニーズから攻めるのが一番早いです。
CM業界特化型スタンプ
例としては、私はもともとCM業界の人間だったので、CM業界界隈の人たちに需要がありそうな文言をまとめ、それをスタンプにしました。全部で4作あります。
以前、CM関係で動画用のイラスト発注の打ち合わせに行った際に、初対面の方にスタンプの話をする機会があり「え!ちょっと待って!それってこれですか?使ってます!」と言われた時はとても驚きました。
あの、コンテくんさんもご存じだったので、業界認知度が高いスタンプと言えます。
このように、現在イラストとは別業種だけど、イラストレーターを目指しているという方々は、どんなスタンプにニーズがあるかリサーチ済みとも言えるので、痒い所に手が届くスタンプを作れる素地があると言えます。これを使わない手はありません。
映画好き用スタンプ
CM業界だけでなく、映画が好きなので、映画の感想を共有したり、友達を映画に誘ったり、プレゼント用に使えるLINEスタンプも作りました。


映画館と言えばポップコーンのイメージなので、ポップコーンのキャラクターにしました。他のスタンプに比べ、やや割高な値段設定にしていますが、それでも売れています。
未来を変えたいネコのスタンプ
毎回投票行くけど、暫く選挙行ってない人や、初めて投票する人に選挙の話するのはちょっとハードル高いって方も多いだろうと、選挙を活性化させるために作ったスタンプです。期日前投票のスタンプもあります。

大きな選挙の前は、ご購入いただくことが多く、しっかりニーズに応えていると言えます。しかし、選挙や投票という言葉は、LINEの規約上使えません。なので、全体的に選挙を匂わせるフレーズに変えています。
このように企画を考えることは、どんなイラストが世に必要とされているのかを考える訓練になります。闇雲に描きたいものだけ描いていて売れるケースもなくはないですが、イラストレーターは結局のところ受注産業なので、発注者の要望に応える必要があります。キャラクターデザインなどは特にです。LINEスタンプはその訓練に打ってつけです。
企画のヒントは身の回りにある
企画は、自分の身の回りのニーズから考えるとスムーズです。家事育児で使い勝手の良いスタンプ、現場スタッフ間でのやりとりに使えるスタンプ、どちらもすでにかなり数があります。しかし、ニュアンスがピタッとあったスタンプ、面白いけど実際に使えるスタンプと巡り合うこともなかなかありません。そういう場合は自分で作ってしまえば良いのです。
例えば、バスで習い事に通っているうちの長女は、「バス停ついた」「バスのったよ」など、バスユーザー用のスタンプを作りました。これは、小2の春休みに作ったものです。ただ紙に描いたものを、切り出しただけですが、この程度のレベルからでも始められるのがLINEスタンプのいいところです。

私は佐賀県出身なのですが、使い勝手の良い佐賀弁のスタンプが少ないと感じていたので、こちらもクリエイターズスタンプのサービスが始まった当初、かなり早めに作成しました。
企画や、フレーズを思いついた時は、すかさずスマホのメモ機能などにストックしておきましょう。
ここから先は、LINEスタンプを「作品」で終わらせないための実務の話です。作っただけでは仕事にはなりません。どうやって“「仕事を呼び込む営業ツール」に変えるか。”を、次の理由④以降では、実例を紹介しつつ具体的に書いていきます。
理由④:スタンプは、“一人歩きして営業を始める”ツールになる。
チラシ(告知用画像)を作ろう
スタンプは認知してもらえないと売れません。数多あるLINEスタンプの中から、偶然の出会いで購入してもらえる確立は非常に低いです。なので、スタンプをリリースしたタイミングで、SNSなどの告知用の画像を作る必要があります。
先ほどのCM業界特化型スタンプは、古巣のCM制作会社のカフェスペースにチラシを貼らせていただくなどして、認知の増加を図りました。


チラシのレイアウトを工夫したり、UPする場所、貼る場所を考えたり、これが既に“営業”という修行につながっています。SNSにイラストをUPしていつか発注が来るのを待つというスタイルもありますが、ふとした挨拶が仕事につながることも多々あります。
LINEスタンプをプレゼントしよう
私は事あるごとにLINEスタンプをプレゼントしています。
・LINEでやり取りすることになったスタッフ
・誕生日の友人
・本を買ってくれた人
・取引先
もちろん、せっかく作ったのでたくさんの人に使ってほしいという気持ちも大きいですが、結局のところ使ってもらわないと、LINEスタンプは認知されません。多くの方に使ってもらうことによって、一人歩きして勝手に営業を始めてくれるツールでもあります。
実際このような動きが実を結び、CMという思わぬお仕事に繋がったりしました。ここからは、実際に私がLINEスタンプをきっかけに受注した仕事の例を2つ紹介します。
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