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【質問箱回答】​高市政権に関する英国の報道は?

質問箱に質問いただきました。わーい、ありがとうございます!

高市首相の就任時にはやはり「日本初の女性首相誕生」として報じられました。彼女は「尊敬する人;マーガレット・サッチャー」と言っていたことに言及する記事もあったかもしれません。

サッチャー氏は「鉄の女」と呼ばれた英国初の女性首相(任期:1979-1990年)ですが、実は国内では毀誉褒貶が激しく、経済をどん底から救った立役者と称える人もいれば、福祉とコミュニティを破壊した悪魔のように憎んでいる人もいます。

そういう「女性首相」を知っている英国ですから、こちらでの高市首相の紹介も、決してフェミニズムの文脈で評価しているだけではなく、その選択的夫婦別姓への反対姿勢など、保守・タカ派の側面もはっきり言及されていたと記憶しています。

ただ、英国人の多くはそんなことには無関心で、日本と中国の違いをはっきりわかっている人も半分いるかどうか怪しいってかんじなので、特別なイベントでもなければこちらのメディアで日本の政権の動向が報じられることは、基本はありません。

しかし、先月(2026年6月)に彼女が来英した時は、国家安全保障の文脈で大きな報道がありました。日英伊3カ国による次世代戦闘機の共同開発プロジェクト(GCAP)について日本がひきつづき協力姿勢であることに加え、英国に対して、クリーンエネルギーやインフラ分野で数兆円規模の投資・経済協力を約束したので。英国からみると今の日本は「敵ではない、やりやすい相手」と認識されていると思います。

GCAPの拠点はロンドン西のレディングという街にあります。だから、アクトンやリッチモンドなどでは特にその開発や実務に関わる駐在日本人とその家族が増えているようです。友達から「最近、日本人が増えた」という肌感覚の話をよく聞きます。私の住むテディントンは交通の便が悪すぎて誰も来てくれないけど。ほんとにお金と人が動いてるんですね。

しかし、この時高市氏と握手をしていたキア・スターマー氏も、つい先日(6月22日)に首相辞任を発表してしまいました。5月の地方選挙で彼の率いる労働党がボロ負けしたからね。

私がロンドンに来たのは2021年の12月ですが、それ以降英国の首相は、ボリス・ジョンソン→リズ・トラス→リシ・スナク→キア・スターマー…と、次の首相で五人目。実は毎年入れ変わっています。

英国で日本の政権が話題にならない理由の一つは、何しろ自国の問題で火の車だからです。深刻な財政難、それに追い打ちをかけるロシアウクライナ情勢、ここ数日でまた再燃したアメリカ・イランの戦争。燃料費の高騰は国民生活にダイレクトに響くし、本当に「みんな」ピリピリしていて、どっちかというと友好的な遠国の首相の言動を気にする余裕はないのだと思います。

まあ、日本の側もね…一歩引いてみると、GCAPプロジェクトも前任の岸田元首相が仕込んだものを高市首相が引き継いでいるだけです。この世界情勢の中での英国と日本との利害一致の関係性は、それぞれのリーダーが誰であろうと、当面は変わらないのかなという気がします。

以下は余談ですが、政治や軍事の面では実利をベースの交渉が進む一方で、両国の文化的な結びつきはまた別ものだなと感じています。

2024年に天皇陛下が国賓として来英なさった時の扱いは、政治ニュースとはまったく違って、英国から祖国日本に対して明確な好意が向けられていると感じられる、嬉しい出来事でした。

ザ・マル(バッキンガム宮殿前の大通り)には日本の国旗がずらりと掲げられ、笑顔のチャールズ国王が出迎えられての馬車パレードなど、ロンドンの中心地は祝賀ムードに包まれました。この私でさえちょっと見に行きたいと思ったほど。ロイヤルファミリー同士の、深い信頼関係を感じられ、日本人として嬉しかったです。

​また、イギリスの日常のあちこちにも「日本文化への好意」は転がっています。どの街にもあるジャパニーズ・レストランの「itsu」や「Wasabi」は、日本人が食べると最初深〜くがっかりするものですが、何年かいると、そのオーナーは外国人でも日本に対して愛とリスペクトをもってこの事業を展開してくれてるということを知るようになります。街を歩けば、日本語入りのTシャツやポケモンやサンリオのキャラクターを身につけた人に必ず出会います。

そういえば、こちらで定番のアリの殺虫剤はなぜか「NIPPON」という名前で、最初「うわっ、なんかいやだなあ」と思ったのですが、そのネーミングも、かつて化学がイケイケだった時代に、日本製=高性能というイメージに基づいてつけられたポジティブなブランディングだったようです。

​現地で「日本から来た」と言うと、だいたいみな「行ってみたい」「行ったことがある」と好意的に反応してくれます。訪日経験のある人は口を揃えて「食事が最高、何でも安い、みんな親切、治安も良い。また行きたい!」と言ってくれます。

ただ、金融関係などで仕事で行ったことがある人は「遊びに行くには最高だけど、あそこで暮らしていくのは…長時間労働はちょっとねえ…」と、何かを知っていたりします。

「地球の反対側の不思議な国。ぶっちゃけ何を考えているかよくわからないが、ユニークな歴史があって、今は共通の敵に対して一緒に戦いやすい友好国」という距離感が、今の英国の日本に対する月並みな感想で、首相がその後半の文脈を妨げるような言動をしなければ、とりたてて報道されることもないと思います。

そういえば…米米クラブの「Everybody サムライ、スシ、ゲイシャ、Beautiful フジヤマ Ha! Ha! Ha!」(1989年)の歌詞は海外輸出する際に、ポリコレで芸者が忍者に差し替えられたんだそうですね。は、は、は!


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