-第2話:改札を抜けてから、ホームへ向かうまでの数分。
改札を抜けた瞬間、空気が少しだけ変わる。
東京駅のグランスタ。
朝の光が、天井から静かに降りてくる。
棚に並んでいる、小さな缶ビール。
冷蔵ケースを開けて、一本手に取る。
指先に、冷たさが伝わる。
袋に入れて、そのまま隣の店へ向かう。
生ハムの真空パック。
パテの小さな瓶。
袋から出すだけで食べられるものを、ひとつずつ選ぶ。
指先が汚れない。
車内で開けて、そのままテーブルに置ける。
旅の準備が、静かに整っていく。
階段を降りる。
ホームの風が、少しだけ顔に触れる。
電車の音が、遠くから聞こえている。
袋を持ったまま、ホームを歩く。
サフィール踊り子が、すでに停まっている。
乗り込んで、席に座る。
袋から缶を取り出して、テーブルに置く。
生ハムのパックも、そのまま置いた。
出発まで、あと数分。
窓の外の景色を見ながら、
缶を開けるタイミングを待っている。
次の旅も、同じように始まる。
改札を抜けて、棚の前に立って、
冷えた一本を手に取る。
それだけのことが、旅のスイッチになっています。
※ サフィール踊り子の実用ガイド(座席・予約・宿・動線)は、ブログにまとめています。
