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インド旅日記

 笑うしかないLCCと夜明け前のデリー


今回の空の旅はVietjet Air。LCCもコロナ後からだいぶ別物になってしまっている。十年程昔は機内食が当たり前で、ビーフもチキンも「両方試したい」と言えば出してくれたし、ビールとおつまみスナックも三本までは無料で出てきた。あの大盤振る舞いはいったいどこへ消えたのか。


今では機内持ち込み7kgの規定をほんの少し超えただけで、10kg分に6,400円の追加料金を請求される。しかも乗客は後部の3列席に押し込められ、前方の3列席はまるごと空席のまま。そこへ横になって眠りこけたインド人のおじさんがいるのはもはや当然であるが、そこに添乗員がやって来るや否や「追加料金です」と金をせびる。もはやコントだ。さらに出発も到着も、両方きっちり1時間ずつの遅延。笑うしかなかった。


ようやくデリーに着いたのは深夜。まずは空港でAirtelのSIMを調達。500INR(この時点では1INR=1.7円ほど)で28日間、毎日1.5GBずつ使えるプラン。昔も今も仕組みはシンプルで、変わらないところにちょっと安心する。


安宿街パハールガンジに直行するのがいつものパターンだが、LCC同様、深夜料金だの細かい追加だのと金をせびられるのは目に見えている。そこで方針転換、直接カシミール・ゲートへ向かうことにした。北行きバスの拠点だ。


Haldwani行きは朝8:05発のACバスを確保。料金は420INR。座席に腰を下ろすと、バスはゆっくりと動き出した。揺られること数時間。窓の外の景色は時折変わるが、大半はあまり変わらない田舎道が続く。疲れた体を座席に預け、時折窓の風景をチラ見しては、すぐに仮眠に戻る。何度か目を覚ますと、すぐ横の席の乗客も同じようにうたた寝している。長時間の移動の単調さが、逆に穏やかな時間の流れを作っていた。結果、所要時間は7時間だった。


ようやく移動の目途が立ったが、そこに至るまではトラブル続きだった。Wiseのデビットカードに入金を忘れていたことに気づき、朝まで時間を潰そうにもパワーバンクもタブレットも充電切れ。手詰まりの状態で途方に暮れていたら、近くの交番で「充電していけ」と椅子と机まで用意してくれた。ノートPCまでフル充電、さらに冷えた水のペットボトルまで渡される。LCCとは真逆のサービス精神に、思わず笑ってしまった。


外に出れば、バス停の周囲は安飯の屋台が軒を連ねている。40INRのチョレバトレ、10INRのチャイ。深夜の空腹にこれ以上のご馳走はない。出国準備のドタバタから、デリー到着の喧騒を経て、こうして夜明け前のインドで一息つく。旅は相変わらず試金石のままだった。



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