三賢者と「ぼくは、借りたものを返さないやつは、ぜったい悪いと思う」
ぼく「ねえ、ソクラテス。借りたもの返さないって、それだけで悪だよね?“正義”ってまず“返すこと”じゃないの?」
ソクラテス「ふむ、それは一見もっともだな。だが、ではこう問おう。もし君が友から剣を借りたとして、その友が発狂し、“今すぐその剣を返せ!”と言ってきたら?」
ぼく「え……えっと……そ、それは……(銃刀法違反だよ)」
ソクラテス「さあ、返すのかね? 君が“返さない”ことで彼の命が救われるとしたら?」
ディオゲネス(くい気味に)「返す前にその友の頭に水でもぶっかけてこい。冷静にならせてからまた話せばいい」
プラトン(真面目に巻物にメモしながら)「“借りたものを返すのが正義”という定義には明確な条件が必要だ。状況、意図、結果……」
ディオゲネス「うるせえ、プラトン。
お前、俺から食器借りて返してないだろうが」
プラトン(赤面)「ち、違う! あれは“借りた”んじゃなくて、研究用に――」
ディオゲネス「皿は皿だろうがァ! 真理を探す前に俺の皿を返せ!」
「返さぬ正義は正義か否か」
ソクラテス「では、正義とは返すことそのものではない。むしろ“何をどう返すか”を判断する知性と、返すことによって“秩序を保つ心”だ。君の言う“返さぬ者=悪”というのは早計だ」
ぼく「うーん……じゃあ、借りパクは正義?」
ディオゲネス「借りパクってなんだ? パクって返さない? そんなもん、正義とか以前にダサい。俺だったら堂々と“盗んだぞ”って言う」
プラトン「それはそれで犯罪だよ!」
ソクラテス「だが面白い。ディオゲネスのように“すべては共有されるべきだ”と考えれば、そもそも“借りる”という概念自体が成り立たない。正義はそこでもまた姿を変える」
「つまり、正義ってめんどくさい?」
ぼく「もう、わかんないよ……! 正義ってそんなに条件つけなきゃいけないの? “借りたら返す”じゃダメなの?」
ディオゲネス「だったらお前、人生で借りた“愛”とか“時間”も全部返せよ。なに? できない? ほら見ろ、正義ってのは理屈だけじゃ測れねえんだよ」
プラトン「うぅ……“愛”とか”時間”とか……巻物にどう書けばいいのか……(混乱)」
ソクラテス「正義とは返すことではなく、“返すべきと判断する心”だ。君が“返したい”と願ったその瞬間、正義は君の中に生まれている」
【笑いながらちょっと泣きそうになりながら】
ぼく「……あのさ、僕、図書館で本を借りっぱなしだった。延滞して、ちょっと恥ずかしくてずっと行けなくなってた」
ディオゲネス「行け。返せ。正義の前に罰金が増えるぞ」
ソクラテス「そして、返しに行ったときに自分を責める必要はない。“返しに行こうと思った”その心が、正義のはじまりだ」
プラトン「……その記録、次の巻物の冒頭に書いておこう。
“正義とは、延滞本を返しに行く勇気である”」
【小さな一歩】
ぼく「よし、図書館行ってくる。ついでに……皿も返しとく?」
ディオゲネス「おう。あとパンもな。お前の“正義”、ちゃんと味見してやるよ」
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