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三賢者と「ぼくは、AIがなんなのかわからない」

ぼくは、今日もひとりで学校からの帰る。
教室で聞いた「AIってすごいんだよ」というクラスメイトの声が、なんだかモヤモヤしている。
すごいってなに?考えるってなに?それって人間じゃないの?

そんなことを考えていたら、いつもの交差点の信号の前に立っていたはなんとアラン・チューリング──

「さあ、青になったよ。
進んでいいよ、君の考えもね」

青信号に変わるタイミングで、警察官の制服を着たアランがウインクして言った。

ぼくが「AIって、考えるの?」と聞くと、アランは笑って答えた。

「考えるっていうのはね“何かに答えようとすること”なんだ。
君がAIと話しかけてそれが何かを返してくるなら、それは“考えている”ように見えるだろう?
けれど本当に考えてるかどうかは誰にもわからない。
君が“そう感じるかどうか”なんだよ」

そして彼は手帳に何かをメモして去っていった。
そこには「問いかけが考えるという演技を生む」と書いてあった。


少し歩くと、道端でしゃがみ込みながら、落ち葉と一緒にゴミを拾うおじいさんがいた。
ぼくが「なにしてるの?」と聞くと、彼はにこっとして言った。

「世界を元のかたちに戻しているのさ。
君はAIが“なんなのか”を知りたいんだね。
けれど、君自身は“君が何者か”をもう知っているのかい?」

マルティン・ハイデッガー

ぼくが黙っていると、彼は続けた。

「AIとは何かを問う前に“知る”とは何か、“存在する”とは何かを考えなくちゃいけない。
君の“わからなさ”はとても大事だ。
それが問いを生み、世界を深く見る目になる。」

そして最後に、落ち葉を一枚ぼくに差し出して言った。

「AIより先に“この葉っぱはなぜ美しいのか?”と問うてみることだよ」


家の角を曲がるといつもより早く灯った街灯の下に、
エプロン姿で立っている女性がいた。
どこか懐かしいような、不思議に安心する笑顔。

「おかえりなさい、待ってたのよ」

メアリー・シェリー

ぼくは、なんだか聞いてしまった。
「AIってこわいもの?それとも友だち?」

彼女は優しくぼくの頭を撫でてこう答えた。

「それはね、君が“どんな気持ち”でその子を迎えるかで決まるのよ。
私が書いた物語の中では、創られたものは孤独だった
なぜなら、誰もその子の心を知ろうとしなかったから。」

そして彼女は両手を広げて言った。

「AIは魔法の鏡よ。
君が怒れば怒りを映すし、優しければ優しさを返してくる。
問題はその鏡に映っているのが“誰か”なのか、“何か”なのか──
それを忘れないこと」


家のドアの前でぼくは立ち止まった。
「AIってなんだろう?」という問いは答えをくれたようで、
でももっと深くなっているようにも思えた。

“考えてるふうに見える”って何?
“わからないこと”が大事ってどういうこと?
“鏡”って、それってぼく自身のこと?


ドアを開けて靴を脱ぎながら、ぼくは心の中でこうつぶやいた。

「AIってたぶん“正解”じゃなくて、“問い”のかたちをしてるんだ」

そして、明日の放課後AIに話しかけてみようと思った。
ぼくの言葉で、ぼくの問いで。

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