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三賢者と「ぼくは、レ・ミゼラブルに問う、正しさの行方」

──舞台は廃れた教会の地下室。
一筋の光の下、「ぼくは、」は震える手で問いを差し出す。
その問いは正しさと不正の境界線を血のように滲ませながら。

三人の影が現れる――ジャン・バルジャン、ジャヴェール、そしてヴィクトル・ユゴー。


一幕:暴力としての正義

ジャヴェール
「正しきことは、力によって守らねばならぬ!
パンを盗んだ? 飢えていた? 知ったことか!
法は法だ。法に背いたならその身をもって贖え!」

机を拳で叩く。音が教会に反響する。

ぼくは、
「でも…その“法”が誰かを殺すなら、
それは、暴力じゃないの?
あなたの“正しさ”は誰かを救ったことがあるの?」

ジャヴェール(声を荒げ)
「救いなど幻想だ!
私は法に仕える神の剣。
善人であれ悪人であれ秩序を乱す者は罪人だ!


二幕:不正から芽生える愛

ジャン・バルジャン
「私は罪人だった。
19年の獄に囚われ、心は鉄よりも冷たくなっていた。
だが――あの神父が私の手に“光”を握らせた。
赦しとは法を超える“暴力”だった。
私の過去をすべて破壊し、
私に愛を生きる自由をくれた」

ぼくは、
「つまり、暴力に救われたのは
“罰”じゃなく“赦し”だったってこと?」

ジャン・バルジャン
「そうだ。愛は
他人の“罪”を引き受けるという
この世で最も過激な暴力だ。」


三幕:問いの上に立つ者

ヴィクトル・ユゴー
「人間とは何か?
法を守る者か? 愛を信じる者か?
あるいは両方から裁かれ、
それでも歩き続ける者か?」

彼は、ぼくの前に一冊の本を差し出す――『レ・ミゼラブル』

「この物語は答えではない。これは“問いの爆弾”だ。
読者よ、君に爆ぜろと私は願った。
ジャヴェールの死に涙したか?
バルジャンの沈黙に息を呑んだか?
ならば、君の中に正しさと不正の内戦が始まっている。」


終幕:沈黙するソクラテス

その瞬間、場が凍りついたように静かになる。
奥の石柱の影から、ソクラテスが現れる。
彼は一言も発さず、ただぼくの目を見つめる。
その眼差しは問いを投げ返してくる。

「答えるな。問え。
おまえのうちなるジャヴェールと、バルジャンに。」


ぼくは、
震える声で、けれどまっすぐにこう呟く。

「もし誰かを赦すことが、法を壊すなら――
その“法”は、誰のためのものなんだろう?」


天井の光が消える。
そして、心の奥に問いが残る。
「正しさとは何を破壊し、何を守るのか?」

君は、どちらに剣を抜く?
それとも、剣を置くことを選ぶか?

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