三賢者と「ぼくは、暴力をゆるせない」
あの拳が落ちる音を、ぼくは忘れられない。
机が揺れて、筆箱が転がり、教室が静まりかえる。
「やめろよ」と言いたかったのに、声が出なかった。
先生も見て見ぬふり。
誰も助けない。
その日から心のなかに問いが生まれた。
どうして、暴力はなくならない?
どうして、止めることができない?
泣きそうな顔で家に帰る途中、
ぼくはふしぎな光景に出くわした。
空き地に現れた三人の男たち。
まるで映画の登場人物みたいだ。
一人目は軍服を着た凛々しい男。
⇒ ケマル・アタテュルク、トルコの“共和国の父”。二人目は葉巻をくゆらせる英国紳士。
⇒ ウィンストン・チャーチル、戦争と演説の男。三人目は静かに遠くを見るドイツの貴族。
⇒ オットー・フォン・ビスマルク、鉄血宰相。
彼らはぼくの悩みを言わなくても察していた。
アタテュルクは語る。
「いじめとは、制度の死角にある無法地帯。
教師が黙れば、それは暴力を許す沈黙だ。」
チャーチルは言葉を切り裂くように笑った。
「臆病な傍観者こそ最大の罪人だ。
“やめろ”と叫ぶ者が一人いるだけで風景は変わる。」
ビスマルクは冷ややかに断言した。
「理想だけでは足りん。暴力には抑止が必要だ。
恐れられる者が幅をきかすなら、
それを抑える“力の構造”を設計すべきだ。」
ぼくは震える声で叫んだ。
「でも……こわいんだ。
殴るあいつもこわいし、
誰にも見られてないのに声をあげるのもこわいんだ!」
すると、ビスマルクが言った。
「孤独な英雄は、必ず敗れる。
ならば“同盟”を結べ。孤立するな。」
チャーチルは笑った。
「一人の声があれば、
次に続く者が現れる。
その列は、やがて暴力を超える。」
アタテュルクはまっすぐに言った。
「子どももまた、未来の市民だ。
教室は共和国の原点。
だからこそ、沈黙を破る声が必要だ。」
次の日、
ぼくは仲間を探した。
「昨日のこと、見てたよね?」
「うん……見てた。ほんとは、止めたかった。」
放課後、
先生の前にぼくと二人の仲間が立った。
「昨日のこと、ちゃんと向き合ってください。
ぼくたちももう黙りません。」
風が教室を通り抜けた気がした。
共和国の風だ。
暴力を許さないことは、正義感ではない。
それは「黙らない」という選択。
そしてその選択は、
あなたの中の アタテュルク(理想)、
チャーチル(勇気)、
ビスマルク(構造)が目覚めることから始まる。
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