映画『爆弾』と日常と
NETFLIXで「爆弾」という映画を観る。日本アカデミー賞をいくつか受賞した佐藤二朗さんが悪役の映画。
その日は朝にサッカー「イングランド対日本」の試合が終わり、出勤すると、誰もサッカーに興味ないものだから、「れいわの誰それは捕まるだろうな」「あいつらの態度は〜」とか私の全く興味のない話ばかりしていた。
しかし政治の話ばかりする東北訛りの坊主の小太りの「うるせえ」と常々思っていたおじさんがとうとう今日から職場を離れることになった。少しは静かになるだろうか。。
映画「爆弾」に出てくる佐藤二郎が演じるスズキタゴサクがその思想の強さや東北訛りの喋り方や風貌がそっくりなのだ。仕事辞めて役者デビューしたんか。と思うぐらい。
もしや原作者の方?そんなわけはないか。。全然名前違うし。ペンネームということもありえるか。
まさか、とは思うけどもこれもスズキタゴサクからの挑戦状?
職場のスズキタゴサク似のおじさんはもう職場には来ていない。
その前日にタゴサク似おじさんと2人で仕事の伝言を頼まれた。タゴサクは一度職場に戻るというので、タゴサクに伝言を頼んで私は帰宅した。
内容的には、我々は下請けなものだから、本社のPCに外付けのハードディスクでデータ保存したいんだけどセキュリティに引っ掛かる為、下請けの会社のPC担当に「なんとかならないかな?」という事でそのPC担当に「本社のセキュリティだと私も下請けなんで、本社の担当じゃないと無理ですね」との回答をタゴサクと私達の職場のボスに伝えて、という内容だ。
他にも「プロパティから~どうのこうの」とPC担当が言っていて、私はタゴサクさんには多分プロパティとかはわからないだろうな、まぁいいや明日私がそれはやろう。と家に帰った。
次の日、タゴサクのいない職場に行くと、ボス的なおじさんが騒いでいた。「爆弾がまだ残っているらしい」ではなく、「ちょっと問題が起こった」
私は、ハテ?と思いつつ、「何があったんですか?」と訊ねると、「いや、タゴサクが昨日こんな事言ってたんだけど、なんか知ってる?」とタゴサクのPC担当からの内容を聞くと伝言の内容の意味合いが大きく歪められていた。
タゴサクの伝言を要約すると「あっしらが、仕事に関係ないサイト、Yahooニュースとか見てるの監視されているんです。そう、監視です。だから、セキュリティが強くなったんでスゥ」
あのハゲ…。
監視されてるという思想が入ってきて、ボスが「サボっててすみません」的な電話をさらに上の人にしようかどうしようか悩んでいたようだ。
PC担当とそんな話一切してないのに。
いや、待てよ。
思い返すとPC担当との会話が終わり、部屋を出て廊下を歩いてる途中にタゴサクが「たしか誰か仕事に関係ないサイトを見過ぎで注意されたんですぅ。やっぱり監視されてるから、仕事と関係ないサイト見たら、ダメですねぇ」とか話してたな。私も「たしか〇〇さんが注意されてた事ありましたねぇ」と雑談をしていた記憶が甦ってきた。
あれか。あの雑談が起爆装置か。思想を爆発させるための。
はげぇええ。俺も加担してることになるのか、これは。
俺も爆弾作ってたあああ。クソがあああ。
さらに記憶を掘り起こすと、ぬか漬けの雑談をした数日後に、頼んでもいないのに、ちょっと持ち帰るには大変そうな壺と、ぬかをビニール袋に詰めたものをセットで「あげますぅ」と私に贈り物として持ってきた事があった。
さすがに私も壺は持ち帰るの面倒くさそうだし、いらないなぁ。それに糠はすでに持っていて、「よく漬けてるんですよ」とかいう会話だったはずなんだけどな。と
「私、壺欲しいって言いましたっけ?」
と尋ねると、「言いましたよぉ。ぜったい」と折れない。
すると、私も言ってしまったような気にも不思議となってくるもんで、
「糠は欲しいかな。でも壺は奥さんに怒られるから、いらないです」と私の方で半分折れた形で伝えると、ようやく大きな壺を自分のカバンにしまってくれた。
糠だけもらって家に帰ると、あれ、おかしいな。糠を欲しいとか、やっぱり言った記憶ないな。おかしいな。なんで糠を欲しいと思ったんだろう。
みたいなことが本当によくあった。
私がPC担当からの伝言をボスに改めて伝えると、「なんだ、たいした話じゃないじゃん」とボスは納得して、仕事は事なきを得た。
家に帰り。
「爆弾」を見始めたら、タゴサクがいた。
あれ、どっちがどっちだっけ…。
おしまい

