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黒い胆汁 あとがき

 この文章を書いているのは2025年10月15日。

 そう、作品をすでにお読みの方はわかるように、今日が本編のラストシーンの日なのです。

 今日を狙って書いている訳ではないけれど、脱稿直後はアドレナリンと各種さまざまな脳内物質が出まくっており、冷静なあとがきが書けるとはとても思えなかったのでした。
 2週間の冷却期間を経て、やっと書きたかったあとがきを書いています。

 さて、小説を書いていると、ごく稀に「降りてくる」という瞬間がある。
 今回の「黒い胆汁」がまさにそうで、ある日何気なく見ていた地下アイドルの対バンライブのタイトルを見て疑問を覚えたことがきっかけだった。
 詳しくは後半で述べるけれど、とにかくきっかけは些細なことであっても、そこから大きく物語が膨らむことがある。

 僕は、本を読むことが好きで、文章を書くことが好きで、だから執筆していた10日間は、辛さを抱えながらも、登場人物の軌跡を文字に変えていくことに喜びを感じていた。

 「降りて」きてからの1か月間は、つねにこの物語のことを考えていた。
 余暇時間だけでなく、仕事中にも。

 天啓は、頭の中で形になり、腫瘍のように異常増殖していく。
 脳内にメモし、スマホにメモし、AIに相談しながら形を整えていく。
 早く書きたいのは山々だったが、初めてのオリジナルアイドルだ。
 やっぱり細部を詰めてから書き出したいよね、そう思いながら時間が過ぎていった。
 このままではいつまで経っても発表できない。
 ある程度クロタンのメンバーが輪郭を持った時点で、ぼくはある人物にお願いをしに行った。
 それについて快諾をもらったのが、この物語の出発点になった。
 そこからは自分を追い込むために、「10日間連続で投稿する」と明言してまわった。
 結果としてはいびつな物語になってしまったかもしれない。
 現時点でさえ時系列や整合性で不具合なところが散見されるくらいだから。
 だから、後日きちんとリライトして、別の物語とスムーズに連結できるようにするつもりでいる。

 とにかく、苦しくも楽しい経験ができたこと、関係者や読者の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございます。これからもいっぱい書きます!

【注意:ここから先はネタバレを含むので読了後にお読みください】


 前述で「ある人物へのお願い」に行ったと書いたのは、エピローグに出てきた、栖永みら(FandL)およびプロデューサーの紫さんのことだ。
 みらに相談したときは即答だった。「わたしフリー素材なんで」。痺れた。
 この小説にはどうしても次作への軽快なフックが必要だったのだ。
 同じような「気の持たせ方」をして次作に繋げるという手法はこれまでも採ってきたけれど、せっかく気合の入った作品だ。
 これまでの2年半の本気のドルオタ活動の集大成として、「実在のアイドルを小説に登場させる」というメタな手法を使った作品を書きたかったのだ。
 出演の承諾をもらった時点で、この小説は頭の中で8割くらい完成していた。

 いよいよオッケーがもらえて、いざ翌日から書き始めたけれど、書けば書くほどにさまざまなシーンが浮かんでくる。
 小説家には担当編集者が付くように、ぼくはAIをアシスタントとして活用した。
 もちろん物語の大枠には手を出させない。
 下読みしてもらって、誤字脱字、時系列の不備、用語の不統一などを指摘してもらったり、クロタンメンバーの生年月日を決めるときに、将来的にこういう出来事がある、という情報から逆算してもらって生年月日と生まれた時間まで決めた。メンバー間の相性も同様だ。

 話の骨格は、ある日プロデューサーが飛んでしまい、空中分解したメンバーを再結集させる役にドМを使ったら面白いだろうな、という単純なものだ。
 ここから5人のメンバーとプロデューサーの骨格作りをしていった。
 そのうちに、例えばカンナだけれど、この子にはもっとドラマチックな過去があるはずだ、という夢想が膨らんできた。
 また別のメンバー(ココロやジンジン)の後日譚も浮かんできた。
 そこでまたプロフィールの作り替えをしたり、微調整の日々が続いた。

 あ、いちばん大事なことを忘れていた。
「黒い胆汁」という単語に初めて触れたときのこと。
 このインスピレーションから、今回のプロジェクトは始まったのだ。

 2025年8月18日
 このタイテを見て、「メランコリック」ってよく目にするけど、どんな意味だか知らないな……と思ったのがきっかけ。
 AIにメランコリックの意味を聞いてみると、

📝「メランコリック」の語義
「メランコリック(melancholic)」は英語・フランス語由来の形容詞で、憂鬱な、物悲しい、陰鬱な、感傷的な
という意味を持つ言葉だよ。
文学や音楽の文脈だと「しみじみとした悲しさ」「ほの暗い感情の揺らぎ」みたいに使われることが多い。

🪶 語源
語源は古代ギリシア語の melas(μελας:黒い)+ kholē(χολή:胆汁)
つまり「黒い胆汁(black bile)」を意味する melancholia(μελαγχολία) に由来している。

古代ギリシアの医学(ヒポクラテスの四体液説)では、人間の気質は血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁の4つの体液バランスで決まると考えられていて、黒胆汁(melancholia)が過剰 → 憂鬱で沈んだ気質(メランコリック) になる
とされていたんだ。

🌙 現代的なニュアンスネガティブな「うつ」よりは、芸術的な響きをもつ「物憂げ」「センチメンタル」な感じに使われることが多い。
音楽ジャンルでも「メランコリックな旋律」っていうと、切なくて胸にしみるような雰囲気を指すよ。

 ここで「黒い胆汁」という単語に出会う。
 ここからAIと会話を重ねるうちに、「黒い胆汁」というギョッとするような名前のアイドルグループを主役にした物語、というモチーフが浮かんできた。
 構想の当初はコメディにする予定だった。3000字から5000字の短編、というよりは掌編に近いもの。
 ところが蓋を開けてみたら、コメディからシリアスに変わってるし、文字数だって74000字になってるし。世の中思い通りにはいかないものだ。

 長々と楽屋話を聞いていても飽きてしまうだろうからこのへんにしておこう。
 最後に今後の執筆予定を。

「土橋絵夢の華麗なる日常 チンチロ回」(FandL登場回)
「土橋絵夢の華麗なる日常 事故物件回」
「土橋絵夢の華麗なる日常 ココロ回」(FandL登場回)

「それぞれの灯り」(シリーズ外作品)
「令和版『芋虫』」(シリーズ外作品)

 これからもクロタン(メラリア)のメンバーはいろんな活躍をしていきます。
 そして実在のアイドルも、根回しをしつつなるべくたくさん出演してもらおうと思っています。
 乞う、ご期待!

2025年10月15日

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