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アニメ「ガンバレ!中村くん!!」第13話(最終話)「それでも!君が大好きで!!」


最終話感想

広瀬に彼女ができたと知った中村は、密かに応援することを決意する。
――でも、この気持ちは、止められない。俺は広瀬愛貴に恋をしている。

アニメ「ガンバレ!中村くん!!」公式サイト

原作が未完で2巻までしか出ていない本作。全13話のなかにオリジナルのエピソードを加え、中村くんたちの高校入学からの1年間を1クールとして描き切ったアニメオリジナルのストーリーと演出は、本当に見事でした。
梅木葵監督をはじめとするスタッフの方々の素晴らしい手腕には、感謝しかありません。
原作者である春泥先生の1990年代を思わせるノスタルジックな絵柄や、現代の高校生の青春・恋愛模様をコメディタッチに描きつつも、その奥にある思春期特有の繊細な心の揺れを見事に表現していました。
放送延期を経て、これほどのクオリティで世に送り出されたことにも深く納得がいきます。

そして迎えた最終話本編。
中村くんが気持ちを切り替え、広瀬の恋を応援しようとした矢先、なんと序盤で広瀬は「花ちゃん」と別れてしまいます(広瀬が彼女に振られた形です)。
理由は「つまらなかったから」というものでした。​そもそも、中村くんが2人の恋を応援しようと思ったきっかけを振り返ると、彼の人柄がよく見えてきます。
以前、中村くんと花ちゃんがぶつかった際、彼女はすぐに謝罪して、落ちたシャープペンシルを拾って中村くんに手渡してくれました。
広瀬とお揃いのタコのデザインを純粋に「可愛いね」と笑いかけて広瀬と共に下校していく彼女の姿を見て、中村くんは「悪い子じゃない、お似合いだ」と思ったのではないでしょうか。
一方で広瀬は、彼女とどう接していいのか分からなかった様子でした。
私から見ると、広瀬はどこか人との間に距離があるというか、壁を感じる部分があります。
「友達と一緒にいる方が楽しい」という彼の言葉は、決して強がりなどではなく本心だったのだと思います。
そんな広瀬に対し、中村くんは「きっと広瀬の魅力に気づいてないんだよ」と、ついつい本音を漏らしてしまいます。
気恥ずかしくなってその場を去ろうとする中村くんを、広瀬は慌てて追いかけ、「LINE交換して」と引き止めました。
今までの広瀬は、自分から積極的に連絡先を聞くタイプではなさそうに見えましたが、彼なりに精一杯の勇気を振り絞って中村くんに声をかけたのではないか……そんな風に想像すると胸が熱くなります。
その後、早速LINEでのやり取りから映画の誘いがあり、2人は土曜日に映画館へ行くことに。
当日は待ち合わせて映画を鑑賞し、ファミレスで感想を語り合い、天気がいいからと公園を歩いて、静かな2人きりの場所へと向かいます。
そこで広瀬は、「俺の魅力って何?」と中村くんに問いかけます。
その瞬間、中村くんの脳裏には入学式での一目惚れから、これまでに広瀬と過ごした大切な出来事が駆け巡ったはずです。
中村くんの出した答えは、まっすぐな「全部!」でした。
中村くんの中で、広瀬との距離が近づくたびに、その人となりを知るたびに、「好き」という気持ちはどんどん大きく、深く膨らんでいきました。
一言では到底言い表せないほどの魅力が、中村くんにとっての広瀬には詰まっているのです。
若干、中村くんの勢いに押されつつも、「やっぱ良いやつだな、中村って」とどこか嬉しそうな広瀬。そして彼は、中村くんにタコのキーホルダーを手渡します。
「中村が好きそうだから」と。
ここで、かつて水族館で中村くんが広瀬に渡した「カニのキーホルダー」の伏線が鮮やかに回収される演出には鳥肌が立ちました。お互いがお互いを想って選んだ一対のキーホルダー。
中村くんにとって、このタコのキーホルダーは一生の宝物になるに違いありません。
何があっても、どんな結末を迎えようとも、「広瀬が大好き」というこの気持ちだけは絶対に揺るがない。
そう確信させてくれる最高のラストからエンディングへの流れは、まさに完璧でした。

最終話ED「だいすき」岡村靖幸 1988年リリース

最終回のエンディングを飾ったのは、なんとオープニング主題歌を担当されている岡村靖幸さんの代表曲「だいすき」でした。
中村くんの心の叫びそのもののようなタイトルですよね。
さらに驚いたのは、アニメのOP映像に、この「だいすき」のミュージックビデオ(MV)のオマージュシーンが仕込まれていたという事実です。
第1話からずっと観ていたあのオープニングが、最終回のこの瞬間のための壮大な伏線だったなんて……!スタッフの方々の作品への深いリスペクトと、遊び心溢れる粋な仕掛けには脱帽するしかありません。

​そして、エンディングパートはまさに「オールスター登場」といった賑やかさ!
​乙切先生は「今日でこのクラスは終わりだが、2年でも頑張れよ〜」と、いつもと変わらないマイペースさ。
武内は最後の最後まで浜岡にアタックするも玉砕し、向井に泣きつくというお馴染みのパターンを見せてくれました。
クラスが変わったらこの関係性はどうなることやら(笑)。
また、卒業生なのに未だにいがみ合っている青木山先輩と田村先輩の姿も。
本来なら大森、広瀬、中村くんの3人で帰るはずが、大森は2人の仲裁というより、田村先輩を止めるために「先に帰って」と2人を促します。
大森の苦労人っぷりがここでも光っていましたね。
校門の前では、いつものジャージ姿ではなくスーツ姿の仁王先生が立っており、卒業式ならではの新鮮味がありました。
そして、片思い中の郡先生が横に来た瞬間に姿勢がピーンと伸びるのがなんとも可愛らしい!
もしかすると、この2人の春も近いのかもしれません。
その一方で、またしても広瀬に食事の約束を忘れられている松村の不憫さにはクスッとしてしまいました。
そんな賑やかな映像の裏で、ED曲が流れる中、中村くんのモノローグでは広瀬と物理的に離れることを前提とした、少し切ない気持ちが語られていました。
これからの未来、クラスが変わって接点が少なくなり、再び疎遠になってしまうかもしれない。
あるいは、1年間積み上げてきた関係があるから、同じ学校に通っている限りは変わらないかもしれない(広瀬の中学時代からの友人である大森や轟だって、別のクラスだけど仲が良いですしね)。
さらに先、高校を卒業して別々の道へ進めば、今後会わなくなるかもしれないし、逆に離れていても定期的に連絡を取り合う仲になっているかもしれない――。
ただ、友達から「友達以上」の関係になることには、やはり高いハードルがあるような気がしてなりません。
第9話のED曲に使用されていたREBECCAの「フレンズ」の歌詞のように、告白してしまうと、もう二度と元の関係には戻れないような怖さもあります。
もしも広瀬が中村くんの気持ちを受け入れてその先の関係になったとして、今回の「花ちゃん」のときのように、いつか気持ちのすれ違いが生じてしまったら?
「友達のままでいたほうが、ずっと一緒にいられるのではないか」
そんな風にぐるぐると考えさせられる、中村くんのリアルな思春期の葛藤が詰まったモノローグでした。
……なんて、下手したら視聴者である私のほうが色々と深く考えすぎなのかもしれません(笑)。
でも、未来がどうであれ、中村くんが現在(いま)猛烈に「広瀬愛貴に恋をしている」ということ、それだけは間違いのない事実です。
(ただ、感動的なモノローグの後に流れる「だいすき」の歌詞の「ヘポタイヤ〜」というフレーズが、絶妙に気になって頭から離れなくなってしまったのも白状しておきます笑)
そして物語は、新学年の春を迎えます。
掲示板に張り出された新しいクラス発表。それを見た中村くんが「あッ!」と反応したところで、アニメ「ガンバレ!中村くん!!」は幕を閉じました。広瀬と同じクラスになれたのか、それとも別のクラスになってしまったのかは、私たち視聴者には分かりません。
しかし、これ以上ない最高の余韻を残す形で物語は完結しました。
原作の魅力を何倍にも膨らませ、中村くんと広瀬の不器用で愛おしい青春の1年間を、アニメという最高の形で届けてくれた制作陣に、心からの拍手を送りたいです。
そして、何よりもこの素敵な物語を生み出してくれた原作者の春泥先生に、最大限の感謝を込めて。

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