転調の心得
みなさん今日も元気に転調してますか?私も昨日3つのキーで蹂躙してやったところですこんばんわ。
まあまあ自分も転調は良くやる方だと思うので今回は転調について書いていこうと思います。
具体的な転調のメカニズムとかの音楽理論は詳しく書いてる人がいると思うのでそれなりのキャリアを積んでしまった私が思う、ポップスの歌ものでの転調の心得な感じで行こうかと思います。
私の転調のルール
個人的には音楽理論って結構好きで若い頃よく勉強してまして、それなりに知ってる方だと自負していて、昔の曲はまああれこれ転調させていたものです。
でもポップス歌物の世界では転調は結構限られてて、定番の転調が多用されるなと思うわけです。その理由は
歌えないと意味ないから
の一言に尽きます。もちろん”どんな転調もお構いなし”なボーカリストもいるかもだけどテクニックよりも多くの人に響く名曲の方が本道です。
歌う人も心の中でそのキーのスケール(ドレミファソラシド)をイメージしてるわけで、いきなり関係のないとこにはいけないのです。歌手が気持ちよく歌えて曲がいい感じに聞こえればみんなハッピー。
なので歌いにくい転調はしないと言うのが自分の中のルールです。
前段で書いた定番の転調としては
・ラストサビで半音上のキーへ転調
・大サビ=Bridgeや間奏で+3(例:C→E♭)へ転調
・サビで+2(例:C→D)へ転調
とかがありますが、これって言ってしまえば人が聞き馴染みのある転調なんですよね。多少転調前後の配慮は必要ですが聞き馴染みがあるからこそ歌いやすさにつながって多用されてるのだと思います。自分もよくやります。
転調は旅行と捉える
具体的な転調例は後に回すとして、私は転調を旅行と捉えてます。
かの川端康成が書き出した言葉
トンネルを抜けると雪国であった
なんてモロ転調です。一気にこれまでの景色と違う景色に変わったわけですから。
なんか上手くできた話のようですが、実は深いとこもあって”景色が変わった”と言うことは変わる前の景色だってあるわけです。要は転調前の事です。転調を意味のあるものにするには、実はそれまでの部分も重要になってきます。
縦軸と横軸
転調はキーが”半音上がったと”か半音+2したとかお音使いが変わることですが、それは行ってしまうば音高的な縦軸なわけです。
で、私がそれに合わせて意識しているのは時間です。いわば横軸。例えばスライドショーみたいに世界の絶景が2秒おきに切り替わってたら『5枚目の雪山がグッときた!』ってなりにくいですよね。それより何時間も山道を見つめながら登った頂上で視界が広がって見渡す景色には感動があるはず。ちょっと極端な例ですが。
今『ここにいる場所』から『違う場所にきた』感を出すには今にちゃんと滞在することが必要と思ってます。なので闇雲な転調は世界絶景スライドショーと同じ、”聞き手が今をどう感じるか?”を意識して転調するようにしてます。
簡単に言うと”今のキーを浸透させる”って事ですね。
なので最後の最後のラストサビに半音上がる転調は、今も昔も”アガる”常套句なのだと思います。
私はその”今のキーを浸透させる”、”そのキーが耳に染み込んでいる状態”をトーナリティと読んでます。
聞き手のトーナリティを意識できれば転調も効果的に遊べると思ってます。
そのために意識するのは縦軸もそうですが横軸の時間も大事なのだと
転調の具体例
マインドばかりを書いていてもつまらないので具体例をいくつか
転調例①:最後のサビで半音上げる
自分世代では転調の代名詞といえばこれ。それまでのキーも浸透してるしお膳立てはバッチリ。半音上がって明るくドラマティックになりますね。
ただあまりにも定番なので私の勝手な感触ですが若干恥ずかしさもあり、やるにしてもちょっとひと工夫するのが好きです。
例えばこちら↓
落ちサビから最後のサビへ、ベタに半音上がる転調をしてるのですがそのままやっても普通なのでA→D→G→C→Asus4/Aな感じでキーから外れたメジャーコードの並行移動を入れてトーナリティ(そのキーが耳に染み込んでいる状態)をあえて崩してから次のキーの呼び水的にAsus4/Aを差し込んで結果半音上がった状態になるようにしてます。
前項で”前のキーにちゃんと滞在することが必要”とか言ってますが、逆手にとって”トーナリティを崩す違和感”を使って結果印象的になった部分かと思います。上手くいって超気に入ってます。
ちなみにトーナリティを崩す=現在のキーがあやふやな状態を作ると案外どんなキーへも転調できるのでたまに調子乗りすぎて転調を駆使して戻れなくなった時に駆使したりします。
まあシンプルに潔く半音上がる転調が無難ですけどね。ごちゃごちゃやりすぎて”半音上がった感”が薄れるのは本末転倒なので手を加えるにも注意が必要です。
転調例②:大サビや間奏で+3(例:C→E♭)へ転調
大サビや間奏などに景色を変えたい時によくやるのが半音3つ分=+3の転調です。いわゆる突然転調ってやつで簡単に言うとお膳立てなしでいきなり転調していいケースです。便利で大好きなやつです。
詳しい説明は他所にお願いするとして、CのキーからE♭に上がる、またはE♭キーからCのキーへ下がることもできます。ま、難しい話は置いておいて手軽な転調って感じです。
”最後サビの半音上げ”は片道切符の転調がほとんどですが、この+3の転調は-3も容易なので曲中のここだけ景色を変えたいって時に便利。恥ずかしいくらい私もやってます。
+3転調の面白いのを一個紹介すると↓
イントロ〜Aメロ(Cキー)→Bメロ前半(E♭キー)→Bメロ後半(G♭キー)→サビ(Aキー)→リイントロ(Cキー)
と+3の突然転調の自由さと3半音を繰り返し上げると元に戻るのを使って1コーラスの中で+3を繰り返して間奏で元のキーに戻るなんて事になってます。
ちなみにこの+3の転調、C→E♭って事ですが同時にC→Cmキーの転調でもあるんですよね。なのでCのキーでA♭、B♭、E7とかよく出てくるのはCmのキーからコードを拝借してる=部分転調なわけで、景色を8小節でも1小節でも変えれてこれも+3/-3転調のおもろいとこですね。
転調例③:サビで+2(例:C→D)へ転調
2010年代からめっちゃ聞くようになった転調。いわゆる”サビをもっと印象的に!”って効果のあるやつですね。とりあえずサビまでできたけど、なんかサビでパッとしないんだよね。。って時にもやられるやつです。例えば
サビで+2(半音2つ分=全音)してるわかりやすい曲。
これのいいところはわかりやすく景色がパッとするのと、1コーラスのボーカルレンジが狭い曲とかはサビの転調した分広げられてダイナミックになるとこでしょうか。もちろん元々音域が広い曲は広がりすぎて場合によってはアレですが。
+3の突然転調みたいにいきなり転調できないので歌いやすくするにはある程度呼び水を作ってやる必要があり、やっぱ最大の注意点としては、+2した後また平歌に行く時は元のキーに戻らないといけないので戻し方ですね。歌がある箇所で元のキーに戻す(-2)はかなりハードル高いのでざっと書くと
・サビで歌い切って歌が被らないように次のリイントロで元のキーに戻す
・サビ後のリイントロまでは転調したキーで平歌の前に仕掛けを作って元のキーへ戻す
前者の方がよくあるパターンですね。
後者は結局ヒラ歌の入りがちょっと難しくなるので私はあまりやらないかもです。
転調は戻し方が命
と、実例含め書いてますが転調は”最後半音上げ”以外は行き方よりも戻り方の方が腕の見せ所だと思ってます。転調は作者のエゴであってはダメで、転調するため/戻すために無駄なスペースなんてあっちゃダメだなって思っているので、必要な場面転換、景色を変えてスムーズに/時に大胆に戻るれるかを縦軸と横軸を考えながら大事に思って日々やってます。
でも超絶転調も最高
色々書いてますが結局私は”誰かに歌ってもらう曲”を書くのが専門なので多少守りもあるのかなって思うところも正直あります。根はテクニカルな転調があると「うぇ〜い!」ってなるタイプです。
ちなみに自分の凄いなって思った転調も紹介
編曲を私が担当したのですが、私のセオリーにない方法で縦横無尽に転調していて、でも一貫性があってキャッチーで、界隈の方々に名曲と謳われるほどの曲。
どんな思考で作ってるのか知りたくて一度作曲者ご本人に聞いたら「普通ですよ〜」(だったと思う)みたいな返答で天才肌だと舌を巻きました。
アーティスト、ボーカリストに「チャレンジングしてみたい!」って思ってもらえる曲も曲書きには必要な要素なのかも知れません。
まとめ
そんなわけで転調の心得について書きました。長くなりそうな題材だな〜と思いいつつ、結局長い内容になってしまった。3行にまとめると
・歌いにくいのはダメ
・縦軸と横軸、特に横軸
・戻り方大事
ってのが私の転調の心得でした。
最後まで読んでくれた方ありがとうございます。
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