種苗法勘違いあるあるに対する回答集
種苗法の再改正法案が国会を通過しました
今更なんですが、種苗法に関する盛大な勘違いをしている人がいるので、そんな馬鹿なこと無いよって話しを解説付きで備忘録的に書き連ねていきます。
皆さんもSNSに潜むインプ稼ぎのクソ垢に騙され無いように気をつけてください。
大前提として種苗法は以下のサイトから確認できますので、興味があれば全文読んでいただくとよいかなと思います。
以下、ネットでよくある誤解に対する農家の回答になります。前職がゲーム開発のディレクターをやっていたこともあり、それなりに著作権法は運用段階の現場を見ていますので、その時の知識を合わせて記載しています。
1.種苗法によって農家が種を毎年買わなければならない
【回答】ほとんどの事業者は既に毎年買ってます
種と苗にわけて思考したほうがよいのでわけます。
まず種の場合ですが、種に関しては今でも大半の農家は購入しています。これは種採り技術が非常に特殊かつ専門的技術で、自分でやるより専門事業者がやったほうが安く、効率よく、品質が高くなるからです。例外的に常に種採りしている自然栽培などをする農家さんがいますが、この場合はそもそも種苗法の適用範囲に入りません。
なぜなら毎年A株とB株を交配させていることにより別形質の種になっているはずだからです。
種苗法によって困る農家はαという品種の種を買い、それを自分で交配させて作った次世代βをαという品種名で売っている場合です。当たり前ですが親と子では形質はかわります。そのためαで売られると種苗メーカーとしては困るわけですね。
そういう理屈を理解していない農家以外は困らないわけです。
次に苗の場合ですがこちらは厄介で種苗法の本丸はむしろこちらなはずです。要は種と違い完全なクローンが作れてしまうからです。
有名なのが
イチゴ、さつまいも、ぶどうなんかです。
イチゴは1つの株からランナーが伸び、ランナーが根付くとそこで同じ個体の別株を生成するため、新たにできたこの別株は完全なクローンになります。

このため、究極的には1株だけ作れば大量に同じ株を作り出せてしまいます。
さつまいもはツルを切って地面に植えると、そこから根付いてさつまいもを形成しますし、ぶどうも枝を切って土にさしていると根付きます。
どちらも完全なクローンを作ることになりますので、無闇矢鱈に増やせてしまうと種苗事業者は種苗開発にかけたお金を回収できなくなりますし、品種の海外流出につながります。多額の税金を投じて作られた品種が泥棒されることは国益を損ねるわけです。
そのため、購入時にどれぐらいの子株を作るのを許すのか?各種苗事業者、登録品種ごとに契約に盛り込まれているはずです。ちなみにこう書くと、やはり制限だ!みたいに言い出す人も言いますが、契約に無制限という契約形態だって当然あるんだよ?となります。なんかこの辺の権利があることと、許諾契約形態の違いを理解していない人が多い印象です。
2.家庭菜園ができなくなるの?
【回答】できます
普通に家庭菜園を行う限り取り締まられません。安心してください。
これは著作権の私的使用の複製と同じです。
昔はCDを買ってきて、夜な夜なカセットテープに録音し自分だけのアルバム作りをしたという人は多いかと思いますが、これがなぜ許されるかというと私的使用の範囲だからです。

しかし、この複製したカセットテープを売ったり、貸し出してお金を取ったりしたら違法です。

これと同じで、普通に家庭菜園をしている限り種苗法を問われることはありません。しかし、例えば家庭菜園で作ったさつまいものつるを販売したりした場合は違法になります。そこだけご注意ください。
3.在来種が作れなくなる!
【回答】作れます
種苗法は頒布権などの問題で著作権法をだいぶ参考にしたと言われてますが、基本的に著作権法と大きく異なるのは
特許や商標権と同じく、申請登録形式です。
そのため、他とは違う形質であること、その生産の形などを申請段階で審査され許可されたものが登録品種となります。著作権法の場合は例えば自分が新たなキャラクターを作成した時点で著作権が発生します。
しかし、そのキャラクターがドラえもんに酷似していた場合にはドラえもんの著作権者から訴えられると裁判でキャラクターの同一性が吟味され、新しく作ったキャラクターの著作権が認められないなどという可能性はあります。
しかし、種苗法の場合は先に述べたように申請登録式で、かつその申請料もかかることから既に流通認知されている在来種をわざわざ誰かが申請する意味はあまりありませんし、形質の統一性担保が難しいのですいわゆる在来種に関して種苗法の対象になることはないです。
4.米は登録品種が多く農家に不利益になる
【回答】なりません
1で述べたような理由で、そもそも農家は種籾を買ってます。また米の種籾は各都道府県が戦略的に品種開発をして、ブランド品種は県内農家しか作れないようにしてます。
なので不利益になることはないです。
もし仮に種籾を自家増殖し形質が変わっているのにそのブランド名で売っている農家がいたら困るかと思いますが、そもそも次世代、次次世代と形質がかわっているのにブランド名乗るのは詐欺みたいなものなので、そんな農家の不利益を心配する必要は無いかなと思います。
5.外資に買われてしまう!(特に米)
【回答】無いとは言えませんが無いでしょう
これは最早種苗法とは別な話なので、種苗法文法で話すようなことではありませんが、やろうと思えばやれますが以下の点からあり得ないかなと思います
日本の市場は世界的に魅力的なマーケットではない
日本の米は世界のスタンダードな米ではない
日本の農地はマーケットから見て小さすぎる
日本は少子高齢化が酷く成長性に乏しい
というわけで、わざわざ外資が独占を目的にするなら労多く実入りが少ない日本に資本投下する意味はほとんどなく、脅威は少ないでしょう。
外資に握られるという方は海外や日本の立ち位置に対してあまりにも無知すぎるので、聞くべき点はないかなと思います。
以上です。
気になる意見をまた目にしましたら、今後追記していきます。
