意味があったのかわからないメス
序章
今回の感想をかかれる本はこちら!
私としてはJAの本は2冊目である。以前"農協の闇"という本を読んだことがあるが、これがなかなか面白くそれから断続的ではあるがたまにJAを気にしていた私だ。JAの本は年に1回くらいの頻度で読もうかなという謎ルールも頭にうっすらうかんでおり、今回そのタイミングがきたというわけだ。
(以前の農協の本の感想は下記から)
本章
初発の感想
今回はJAの中でも2015年に起きた農協法改正のお話がメインだ。それをこの本ではJA解体と呼んでいる。解体という言葉を使っているが、実際JAは今でも残り続け今でもちゃんと存在し続けているのに解体という言葉は不釣り合いな気もするが、実際中身を知ると納得はいくのでこちらは後ほど解説していく。
何はなくとも今回JAの知見があったおかげか想像がしやすく結構面白く読めた印象。単行本にしては1ページの内容も濃かった印象だ。(それこそJAに対する知見のおかげかもしれないが)
安倍政権vsJAの構図がメインのドキュメンタリーものとして楽しめる要素があり、ここはぜひ手に取って読んでみてほしい。なかなか意地っ張りな人間の絡まり模様が堪能できる。
最後に地域農協の特に事業がうまくいってる(?)ところの紹介があったが、これは以前読んだ本を思い出し、ノスタルジックな気持ちに。家の地域農協はどうなのかとかも気にはなる。
大人の揉めあい
上記の通り安倍政権vsJAという構図で揉めあっていたというお話。それは農協改革と呼ばれており、政府側がJA側にメスを入れたことよって始まる。政府側曰く、「現状のJAの経営状況がやばく、このままでは日本の農業が廃れていってしまう。だからJAのトップの組織にメスを入れた」ということらしい。これが大雑把な政府の言い分。そしてこの政府のメスのい入れ方にJAのトップ組織ーJA全中は反発し、揉めるというのが安倍政権vsJAの概観である。
オチを言ってしまうと、JAが負けた。JA側が折れたと言うべきか。
一見結果だけ聞くといいように聞こえるが、揉めあいのプロセスを踏まえると少し腑に落ちない面もある。詳細には本書を読んでほしいが、結構政府が強引に施策を進めようとするのがうかがえる。それはJA側の意見を受け入れそうなそぶりをして、最終的に出したジャッジがそれが踏まえられていないという法案書ばかりだしたりなどしている。これが何回か続くのでオーディエンス側としては面白くなってくるのが正直なところだ。
安倍政権側も必要な改革だと謳っておきながら、民衆への打ち出しーパフォーマンスとしてやっていた側面も否めない。本書にも「もう少し慎重に議論すべきないようだった」というような旨の言葉も記されている。
かといってJA側も組織形態が変わらずタコつぼ化しており経営や農業事業に支障が出ている現状。なのにのほほんと現状維持に努めようとするJA全中。もしかすると己の金のためにJA全中という組織を維持しようとしていることもうかがえるーー己の金のためというのは本書には書かれてないが、以前読んだJAの本に記載されている事項ではあるーー。JA側はJA側で意地っ張りー頑固であった。
そしてJA側が折れたということだがここで私が思ったのが、政府もJA側もJAをよくしようという想いは廃れ、私情、己の利益のためだけに動いていた滑稽な揉めあいだったなということ。ちなみに言うとこの改革が行われたからといってJAの経営がよくなったかと言われれば頷けない。以前の通り経済事業(農業事業)は赤字、金融事業でカバーするという構図は変わっていない。当然ながらそのせいで共済事業でのカモビジネスや自爆営業も改善にはいたっていない。なんということだ。
まぁでもオーディンスからすればこの醜い争いは結構面白い。好みはあるかもしれないが私は好きだ。(最低か!)
一応なにが変わった?
一応今回の農協法改正で何が起こったのかは明記しておきたい。
・より農業事業者に寄り添った組織に再定義
・理事は過半数がプロ
・JA全農が株式会社化可能に
・中央会は削除
ざっとこんな感じだが、一番触れておきたいのが"中央会は削除"だ。この字面だけみると完全誤解する者が絶対現れるとも思うのでそれなりの解説ははさみたい。
JAは農業協同組合法(通称:農協法)に基づき設定されている。農協法がないと農協は今の存在の仕方は許されない。今回の”中央会は削除”の中央会はJA全中と都道府県中央会が対象だ。そもそも中央会とは経営指導や地域農協の取りまとめ役を担ってきた。それが県単位だと都道府県中央会、更にその都道府県中央会を取りまとめるのが全中ー全国農業協同組合中央会だ。だが、経営、農業が大赤字(金融事業は一旦含まない。)そして本来農協は地域に寄り添ってこそというのがあるので中央集権的な構図は実は不向きな側面もある(最近はどの企業もそうだが)。ということで中央会不要論が政府から提示され見事撃ち抜かれたというわけだ。
だが勘違いしないでいただきたい。全く都道府県中央会と全中がなくなったかと言われれば違う。法的に違う定義がなされ、それらが”中央会を名乗ってもよい”ということになっている。なけなしの政府側からの配慮なんでしょう。ちなみに言うとJA全中は一般社団法人化されたので農協法の下に設定された組織ではなくなっているということだけ抑えていただきたい。
そしてJA全中が一番奪われたものが、地域農協への監査権限である。これを奪われるのをなんとしても阻止しようして負けたのが今回のJA改革だ。簡単に言うと身内監査で今までやってきてたJA。そりゃタコつぼ化しますわ。そして積み上げてきたもの壊されたくなかったであろうJA。もうここからはご想像にお任せしよう。
他の改正トピックスはご自身で本書を手に取って確認してみてほしい。いずれも一応JAの今の経営状況改善という意味では筋は通っている。それが現実に適応できてるかはまた別の話…
終章
今回のお話は程よく前回のJAの本の内容を踏まえ新しい内容を得ることができた理想的なかんじではあった。3冊目読もうかな、ちょっと悩んでいる。実はこの本は1冊目の本よりも前に出ている本で、2015年初版だ。これを踏まえるとJAもまだまだ改善の余地があまりまくっている。
今後この組織が如何なる方向へ向いていくか、期待したい。
